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愛すべきものすべてに

愛すべきものすべてに

壊れた扉から

Through The Broken Door

前作よりもさらにストーリーテリング的な要素が濃くなっている。
尾崎が影響を受けたアーティストの中に佐野元春や浜田省吾がいるが、そうした先駆者との決定的な違いは
作品が全て実話に基づいて作られているという点だ。
それゆえに18歳でデビューし、それまでの経験から詩を紡いで歌ってきた彼の引き出しは、この頃にはほとんど
空っぽになりつつあった。
何かを表現し伝えたいという欲求は絶えることがなかったが、その一方で歌詞のテーマとなるようなエピソードの
在庫は尽きてきていた。
しかしそうした製作背景とは無関係にこのアルバムの出来栄えはとても素晴らしい。
10代を締めくくる作品としては、歌詞もメロディーも極めて完成度の高いものだ。
ちなみに、10代の内に3枚のオリジナルアルバムを出したロックシンガーは、世界中でも尾崎豊ただ一人である。
おそらくはこれから先もこんなアーティストは現れないであろう。

壊れた扉から[THROUGH THE BROKEN DOOR]ストラト回転中!

1.路上のルール[RULES ON THE STREET]
2.失くした1/2[ALTERNATIVE]
3.Forget-me-not
4.彼[GRIEF]
5.米軍キャンプ[BASE CAMP]
6.Freeze Moon
7.Driving All Night
8.ドーナッツ・ショップ[DONUTS SHOP]
9.誰かのクラクション[SOMEBODY BEEPS A KLAXON]

☆「路上のルール」プロデューサーの須藤氏のコメントを聞いて初めて気がついた事だが、
この曲はアルバムの冒頭を飾るロックチューンでありながら、歌詞に横文字が全く使われていない。
いかにも言葉を大事にしている尾崎らしいが、ロックシンガーとしては極めて異例であろう。

☆「失くした1/2」最初に聴いたとき、あまりにも軽快なメロディーが意外だった曲。
有明コロシアムのライブでは確かタンバリンを片手に歌ってなかったっけ?
まぁそんなアクションもすんなりはまってしまうような曲。

☆「Forget-me-not」歌詞がうまく書けずにアルバム中一番最後にレコーディングした曲。
書きあがった詞を持って、そのまま明け方にスタジオで歌入れしたというエピソードがある。

☆「彼」抽象的な表現で描かれていて、次作のアルバム「街路樹」の作品世界とも通じているように思える曲。
そういえばずーっと前までは”この曲ってホームレスの事歌ってる?”なんてオレは思っていたが、さて真偽のほどは?

☆「米軍キャンプ」85年に大阪球場で行われたライブで1曲目に演った曲。
いきなりロックナンバーで幕を開けて観客を乗せるありがちなパターンを避け、スローな曲から入って
じっくり聴いてもらおうという試みだったらしい。
にしても、その時はまだリリースもされていなかったこの曲がオープニングとは、オーディエンスにはちとヘビーだったろうなぁ。

☆「Freeze Moon」ライブでは「Scrambring Rock'n' Roll」と並んで重要な曲。
ステージではこの曲の終盤で”なぁみんな、夢はあるかい?夢を追い続けていく事ができるかい?
決して・・・決して自分に負けたりしないかい?”と観客に向かって問いかけていた。
オレはこの時の尾崎のシャウトがとても好きだったが、彼がこうして問いかけてくれる事はもう二度とない。

☆「Driving All Night」日本ロック史上の最高傑作。・・・というのはオレの勝手な評価で、
この曲がなかったらきっとオレは尾崎にここまで入れ込む事はなかっただろう。それくらい好きな曲である。
この歌詞に出てくる場所へ実際に行って橋の上をオレも車で走ってみたが、想像していたよりもずっと小さな橋で
別に”死に物狂いで”走る必要はどこにも無かった(笑)。

☆「ドーナツ・ショップ」この曲の最後に尾崎の語りが入る。
一人で聴いている時はなんとも思わなかったが、友人数人とのドライブ中に聴いてたりすると
この語りの部分がちょっと恥ずかしかったりもした。

☆「誰かのクラクション」尾崎の曲作りはほとんどが歌詞先行でなされていたそうだが、
それにしてもこの曲は複雑なメロディーを当てはめたものだ。
ちなみに当時ライブ、レコーディングともに尾崎を支えていたバンドの名前はHeart Of Klaxonである。


 尾崎豊/壊れた扉から 尾崎豊/壊れた扉から

尾崎豊/TEENBEAT BOX~13th MEMORIAL~尾崎豊/TEENBEAT BOX~13th MEMORIAL VERSION~


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