2013/08/07(水)23:54
弁慶と牛若って… お謡い体験から。
で、前頁のお獅子のお顔のある、難波八坂神社の社務所の奥で
六月の夕、お謡を習ってました~
能楽協会大阪支部の催しで、その名も「ハマってみよう!謡の世界!」
大阪市内の五か所の神社で、
ご活躍中の若手能楽師の皆さんが、三回で一曲、
初心者対象に、無料で謡を教えてくださるというもの。
無料ですので、なんといっても
お友達と喜んで行ってきましたよ
こちらで教えてくださるのは、林本大さん。
謡いだすと、普段の声とガラリと変わって、
とっても厚みがあって響くお声でびっくり。
それも至近距離ですから空気の振動すごいです
相当大きな声
決して叫んでるわけではないし、お口いっぱい開けてるわけでもないのに
発声練習は、「遠くにいる人に、おーいと呼びかけて
とにかく大きな声を出して、息に波動を載せるように」
高砂や、この浦船に帆をあげて~・・・と『高砂』で
恥かしくてそんな大きい声出せないわ(*^。^*)
な~んて思ってたけど、
10人くらいで一斉になので
自分のことに一生懸命になってました
お稽古するのは『橋弁慶』
舞台は京都、五条。牛若丸と弁慶が出会ったときのお話。
♪京の五条の橋のうえ~♪の歌だと(昭和な人しかご存じないかも)
大の男の弁慶は
長い薙刀ふりあげて
牛若めがけて切りかかる・・・
・・・前やうしろや右左
ここと思えば又あちら
燕のような早業に鬼の弁慶あやまった
だったかな?
乱暴者の弁慶が、千の太刀を集めようと
夜な夜な通りかかる者に挑んでは太刀を奪い、
ラスト1本となったところに牛若が笛を吹いて現れる。
これは楽勝、と思ったら、
人間離れしたすばやい動きの牛若に返りうちにあい、
弁慶は降参し、主従の誓いをするというもの。
だけど、謡曲の『橋弁慶』では、
悪さしいなのは弁慶よりも牛若の方で
弁慶は五条の天神さんに丑の刻詣でをしてて満願という日に
家来から、人間離れした(鬼神のような)身軽さで、
橋で通行人に斬りかかるなどとんでもない少年がいて
とても危険なので、お参りはやめた方がいいと聴きます。
弁慶はちらっと迷いますが、
いやいや、弁慶がそんなものを怖れるんて!
こっちがその少年にお灸すえてやるわって出かけていきます。
文学として謡曲を読む授業は学生時代にあったのですが
机上で読む、分析するの方だったので、
お能で聴いてもさっぱり分からなくて('_')
どんどこ盛り上がるとこ以外は眠気に襲われるだけだったのですが(-_-)
「謡う」というのは全く違いました。
数文字ずつの詞を、林本先生が何度も謡って聴かせてくださり
一定の節回しの決まりみたいのが分かってきて
(わかってきても、うまく出来ないんですが)
私たち何度も何度も口にするのです。
意味も説明くださるので
たくさんの掛け言葉、連想するイメージ
それらが層になって、そんな短い詞に、
ギュギュッと詰まってる感じです('▽')
また読みづらい旧仮名遣いで書かれた謡本、
なれてきたせいか、だんだんと毛筆体の文字の美しさが意識されて
1文字1文字、一言一言が、
イキイキしてるように見えてきて
眠いどころでなく、今までと違った感覚
『橋弁慶』、お能で観たい・聴きたいな~と思いました
本当にお謡のお稽古の美味しいとこどり、
貴重な経験でした。
来年もまたあるかもしれないんですって。
ますます、お能が観たくなったので
さっそく薪能から行ってきま~す
で、ストーリーにもどると、
『橋弁慶』でも、結果的にはやはり弁慶は牛若に歯が立たず、
その剣術の腕だけでなく、人となりにも魅了され
主従の誓いをするんです。
本当のところは、どうだったんでしょね(#^.^#)
五条大橋には牛若丸と弁慶の銅像があるけど、
実際に二人が出会ったのは別の場所だそうですね。
また、牛若丸も当時は素行よろしくなかったという説もあるそうです。
まあ、現代に生きていたって、人の見方はイロイロで
でも伝わるのは一方向だけだったりして
本当のことが理解されなかったりするけどね(^_-)-☆
読んでくれてありがとう