イーネオヤの旅~シルク糸
イーネオヤはもともとシルク糸で作られていた。それがナイロンやポリ、人工シルク糸が市販されるようになると、手軽に使えるこれらを好んで使うようになり、その良し悪しよりも手間のかからなさに、一般的になったのである。で、シルク糸は消えてしまい、こんな手間のかかるものなのに、糸が残念だなあ・・・なんて思っていたのだけど。このところのイ―ネオヤブームで、イ―ネオヤの産地が、シルク糸の生産を試験的だが行うようになってきている。というのも、イ―ネオヤの産地というのは、シルク産業がもともとあった場所というのが私の持論であるが、たぶんそれは正解で、現代のようにネット販売があるわけでもなく、遠方からでもどこにいても手に入る・・・なんて便利なシステムのなかった時代は、材料あってこその手芸だったはずなのである。なので、イ―ネオヤの産地と言われる場所には、養蚕、シルク製造業があって、それを復興させたり、再現させようという試みである。ただ実際はブルサですら、シルク糸復活か・・・なんて言っていたのだけど、蓋を開けてみたら2年経ったいま、やはり状況は変わらず、同じ人が同じアトリエでシルク糸を引いているだけ。商売としては元が取れないのだよね。価格的にも素材としての扱いにくさとしても。製品となったあとの洗濯とか、保管方法とかも・・・・。さて、話はオデミシュに戻る。オデミシュの女性グループも養蚕こそしていないが、購入した繭から糸を引き、それを実際に織物やイ―ネオヤに使用して商品化に成功している。実際は織物用の糸がメインなのであるが、そこから派生する細めの糸をイ―ネオヤ用に使用している。オデミシュのバザールでは、地元の手芸をする女性たちがシルク糸に慣れ親しんでいるせいか、量の多い少ないなどの変動はあったにしても、シルク糸自体は常に売っている。ダンテルセットも、祈祷用のスカーフのイ―ネオヤも、シルクで作る人たちがいるからである。既成のできあがっている色糸のシルクは、普通は刺繍糸として売られており、それを解いてイ―ネオヤに使うのである。パザールで売っているシルク糸。布を織るためのもの。刺繍用。イーネオヤにも使えるもの・・・といろいろ。下はたんぱく質が残った状態のパリパリしたシルク糸。オデミシュの地元産のもの(右)と、ウズベキスタンから輸入されたもの(左)。ウズベキ産の方が値段が高いのだが、品質も良い。糸が均一。オデミシュのはちょっとシワシワした感じ。私はシルク糸は染めたことないので、草木染めでどんな風にどれだけ染まるのか知らない。絨毯で言えば、シルクの場合は人工染料の方が発色がいいから、別に草木染めにこだわったこともないし。でも生成りの糸って不思議です。ウールであれ、シルクであれ、見ていると染めたくなるっていうのが心情・・・!?というわけで何も欲しいものが見つからなかった今回のオデミシュのオヤパザールで、オデミシュ産のシルク糸を買ってみた・・・のである。(でもシルクを草木染めするなんて繊細な作業は私向きではないのでたぶんやらないっす・・・)にほんブログ村 手芸(その他・全般) ブログランキングへ