|
カテゴリ:トルコの手工芸
古いオヤスカーフやボフチャ(風呂敷)などのプリントをよーく見ると、木版を手で押す「タシュ・バスク」と呼ばれる味のある素敵なプリント柄に出会います。
版のズレ加減や、色の滲み感が私の心をくすぐる・・・。 タシュはトルコ語で「石」、バスクは「プリント」の意味であるが、石を使っていなくてもなぜか古くから「タシュ・バスク」と言われている。 最近はややこしいからか、「アウシャップ・バスク」と言う職人さんたちもいる。 アウシャップは「木材」の意味であるから、新しい世代にはこちらの方が通じる場合もある。 なぜタシュ・バスクと言われたのか・・・・バスクの型自体は大昔の遺跡跡から粘土で作った版が見つかっている。もしかしたらそのあたりと関係しているのかもしれない。 トルコのトカットはタシュ・バスクに関してはオスマン帝国時代に唯一、木版技術運用の特権を与えられた地で、600年以上の歴史を持つ。その技術は門外不出であったが、時代とともに職人さんも技術も他の地域に流れ、イスタンブールやブルサ、ビレジッキ、マニサ、エラズー、イズミールなどでも引き継がれたようである。 さて、近代のタシュ・バスクの歴史は一般的には1950年代ごろが最後と言われている。 その前後ぐらいから、シルクスクリーンでのプリントや機械プリントの技術が主流になったため。 機械プリントのヤズマが安く売られている横で、時間と手間のかかるタシュ・バスクのヤズマは売れなくなり、商人たちも簡単に作れて人気のある方を生産するという単純な理由である。 庶民の間で、古いものを見直す感覚は、トルコでも最近になってようやく芽生え始めてきたもので、最近まで手作り品よりも、安くてこぎれいな大量生産品を好む傾向が強かった。 一般的にはまだその傾向が続いているのかもしれないが、少なくとも古いものに興味を持つ人やコレクションする人が出てきている。 ただどこの国も同じ道を歩んで来たのだけど、職人さんや作り手がいなくなってから、気が付くものなんだよね。こういうことって。 先日、チャナッカレ県内のとある村に行った。 女性がご近所さんから集めてきた古いハンドメイドのテキスタイルものを入れた袋をたくさん抱えて持ってきた。 隣県のバルケシールのカズ山脈系遊牧民の村なので、繊細ですごいものはないのだけれど、ウールの手織りの前掛けや腰巻、刺繍入りの民族帽、飾り手拭、などエーゲ海地方の遊牧民ならではの独特の衣装の一部などがあった。 その中で私が探していたものは、タシュ・バスクの大判スカーフ。 普通に買うと高いから、じゃあ、どこに探しにいったらいいかなあ・・・と考えた結果、ここに来た。 予想通り、袋の中から出てきた。 タシュ・バスクより年代の少し新しいシルクスクリーンによるプリントものも混じっていて、女性は「これもタシュ・バスクだよ」と差し出すが、その違いぐらいは私にもわかる。 でもシルクスクリーンだって手作業だからね。 というわけで少しだけですが、タシュ・バスクの大判スカーフを手に入れましたので、ご紹介します。 本来は、これを頭に被ったり、嫁入り持参品をしまうボフチャ(風呂敷)として使用する目的で手に入れたものですが、長持ちに仕舞われていた未使用品ばかりです。 木版で黒の版を押し、そこに色版を重ねていく技法で、これだけの色の染料を用意したり、版を押す回数などを考えると作り手に申し訳ない金額だとは思う。 それに古いものに関していえばトルコで見つけられる数だって限りがある。 でもこれを機会にトルコのハンドプリント古布に興味を持っていただけたらうれしいなあ。 ------------------------------- ミフリのショッピングサイトはコチラ↓ ミフリ&アクチェ にほんブログ村 にほんブログ村 にほんブログ村 その他・全般ランキング お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
July 4, 2017 07:35:54 PM
[トルコの手工芸] カテゴリの最新記事
|