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カテゴリ:バスク~木版ハンドプリント
トカットの木版ハンドプリント「タシュ・バスク」にはいくつかのテクニックがあります。
その1つ目としてあげられるのが「カラカレム」。 基本的なテクニックです。 トルコ語で「カラ」は「黒」、「カレム」は「筆」の意味です。 つまり黒一色で仕上がるバスクのこと。 ![]() カラカレムは、さらに白地に押すものと、染めた色布に押すものに分かれますが、ここでは白地に押すカラカレム・テクニックをご紹介します。 カラカレム向けに作った木版を、テクネと呼ばれる大きなスタンプ台につけて、コットンやシルクの白地の布に押すものです。 押したスタンプは白地の布の上で、最初は薄い緑色として残ります。 これをアンモニア部屋と呼ばれるところに4~5時間吊るして放置すると、薄い緑は黒に変化して、上の写真のような状態になります。 化学反応を利用した染色方法ということです。 ![]() ここで使用される染料の作り方について簡単に説明しましょう。 1.トルコ語で「キトレ・パトゥ」と呼ばれる植物、トラガカントの根を乾燥させたものを用意します。一般的にはゲベン・バル(ゲンゲ属の植物の密)として知られる黄色味がかった白っぽい透明なものです。1kgのキトレの根を1日水に浸けて戻します。 途中、3時間ごとにかきまぜて、最後に袋に詰め、水を切ります。→ A 2.「シヤ・ノルス」とバスクの職人さんたちの間で言われる染料を作ります。 アニリン1500g、ギョズタシュ500g、ギュヘルチレ400gです。 アニリンはアニリンですね。現物の見た目も含めて私が理解した範囲で、ギョズタシュは硫酸銅、ギュヘルチレは硝酸カリウムだと思います。 この3つの材料を水の中で混ぜると「シヤ・ノルス」になります。 → B 3.Aのキトレ1カップに対して、Bのシヤ・ノルスを2カップ加えます。これは重量でなく容量で計量します。これで染料が出来上がりました。 → C このCの染料をフェルト状のものに乗せ、スタンプ台を作ります。 木版をスタンプ台に乗せ、染料がまんべんなく着くようにし、何度か乗せなおします。このとき、力を入れてスタンプ台に押し付けないようにします。あくまで木版を「置く」感覚です。 白い布に木版を押します。 この時、モチーフは薄い緑色として現れます。 ![]() 木版を押し終わったら布を24時間かけて乾かします。 24時間経ったら、アモンヤック・オダスと呼ばれるアンモニア部屋に移動させます。 この部屋には1カップのアンモニアが置かれており、4~5時間すると、薄い緑色のモチーフが黒に変わって、作品は完成します。 ・・・とここまできて、注意深く、観察されていた方は「あれっ!?」と思われることでしょう。 薄い緑色の染料・・・って、最初から黒いじゃん!! ですよね。 これは最近はわざわざこのお金も手間暇もかかる染料を用意することなく、合成染料である「アクレミン」と呼ばれる黒の染料をそのまま使っているからです。 だから最初から黒色です。 この薄い緑色の染料を使用していたのはいつまでのことでしょう。 1996年に来たときには木版を押した後の布には薄い緑色のモチーフがありましたので、その頃までは確実に使われていたということですね。 ですから、私が日本で販売した白にカラカレム・テクニックのバスク布は昔の方法で作られた染料を使っていた時代のものと言うことです。 現在ではカラカレム作品は全てアクレミンが使われいますので、もし当時の白地にカラカレムのバスクをお持ちの方がいらっしゃいましたら、ぜひ大切にしてください。(続く) -------------------------------------------------------------------- 10月21日ー27日のトカット滞在のイーネオヤ&バスクツアーにもぜひご参加ください。 トカットツアーのお問合せは旅工房さんの秘境専門デスク TEL 03-5956-3148 まで。 オヤフェスのお問合せ・出展参加お申込みは私まで → ★ よろしくお願いいたします。 ------------------------------- ミフリのショッピングサイトはコチラ↓ ![]() ミフリ&アクチェ ![]() にほんブログ村 ![]() にほんブログ村 ![]() にほんブログ村 ![]() その他・全般ランキング ![]() お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
June 29, 2018 09:17:59 PM
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