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カテゴリ:バスク~木版ハンドプリント
オヤスカーフのスカーフ部分であるヤズマのモチーフのうち、1970年以降、一般的によく見られたものと言えば「葡萄の葉」ではないだろうか。
もちろん地域性もあるし、年代的なブームもあるから一概には言えないかもしれないけど、木版ハンドプリントの時代から、シルクスクリーン、機械プリントと移行しても、どの年代でも必ず見られるモチーフであるし、トルコの古いスカーフをたくさんお持ちの方なら1枚ぐらい入っているかもしれない ヤズマのデザインはそれこそ数えきれないほどの数がある。 しかも元が同じモチーフであったとしても職人さんによってバリエーションがあって、同じ型のものを探す方が難しいぐらいである。 ![]() この葡萄の葉のモチーフ。 よく見るといろいろ疑問がわいてくる。 葉はたしかに葡萄の葉である。 しかし花のようなものは一体なんだろう・・・。 ずっと思っていた。 そして古くからいる木版職人さんたちの答えはいつも「腎臓」であった。 もちろん植物の先に腎臓がくっ付いているわけがない。 なぜ「腎臓」かの答えは得られないまま。 腎臓・・・? なんで腎臓・・・? モチーフはヤズマに限らず、キリムでもオヤでも必ずしも名前そのものを表していないことが多い。実際が何であるかよりも、xxに見えるから・・・職人さんや作り手たちの間で通称として呼ばれていたものがそのまま固定されて代々伝えられる例もよくある。 イーネオヤの例で言えば、丸い円が二つあるモチーフを「鳩の目」と言う。 これは鳩の目そのものをデザインしたわけではなく、本来は実際にある(または空想の)丸いお花を作ってみたら鳩の目に似ていたから・・・という理由でついた。 「雄牛の睾丸」なども同様である。 ただ葡萄の葉については「葡萄」と言うぐらいだから、葡萄の実がついているべきじゃないかと調べていくうちに、こんなモチーフがあることも知った。 ![]() これはまんま「葡萄の葉と実」である。 また家の棚の中にあるヤズマを出すのが面倒だったので画像はないけど、意識して探し始めたら葡萄の葉モチーフの実の部分が腎臓に変化する過程を示す例も出てきた。 まあね、推測するにはモチーフって誰かが作ったのを見て「あらっ、素敵💛」って自分バージョンで模倣していくことから広がるものだから、2本ある茎や葉は変化しなかったものの、その上に付いているツルらしきものや実(もしくは花)が、デザインのバランスなどを追及していった結果、腎臓と呼ばれる謎のモチーフになったんだろうな・・・と思う。 腎臓はトルコ語でボブレッキと言う。 ボブレッキに特別な意味や思いがあるかと考えてみたけど、内臓系で言えばむしろ「肝臓」である「ジエル」の方が意味深い。 肝臓がなくてはならない重要なものだという捉え方から「私の肝臓が痛む」というトルコ語の言い方があるが「心が深く傷ついた」ことを意味する。 また大切な人に対して「ジエリム」つまり「私の肝臓ちゃん」と呼ぶが、「私の腎臓ちゃん」という言葉は聞かないなあ・・・と思ったからなんだけど。 結論:モチーフは形状的にも何かの花なんだろうけど葡萄の花には似てないし、腎臓と呼ばれるのは最終的に出来上がった形が腎臓に似ていたから・・・というところかな。 ------------------------------- さてさてオヤフェスの展示の撤収まで残り2週間。 頭飾りをつけた羊ちゃんが待っています。 ![]() ブルサ市主催「国際シルクオヤフェスティバル」のイベントは終わりましたが、コレクション展示、日本人作家さん、愛好家さんのオヤ作品の一部は、11月末日までブルサ市のメリノス・テキスタイル・サナイ博物館で続けて展示されていますので、イベント期間中にいらっしゃれなかった方もぜひ見に行ってみてくださいね。 ------------------------------- ミフリのショッピングサイトはコチラ↓ ![]() ミフリ&アクチェ ![]() にほんブログ村 ![]() にほんブログ村 ![]() にほんブログ村 ![]() その他・全般ランキング ![]() お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
November 18, 2018 06:49:21 PM
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