2019/02/06(水)16:09
私がキリムを選ぶときに一番気にする点はなんだと思いますか?
2月23日(土)19:00-21:00にトルコの織物のトークイベントが行われる予定です。
場所は都内、清澄白河のfukadaso cafe です。
Baharさんのある建物の1階にあるレトロでおしゃれな人気のカフェです。
海外のガイドブックにも載っているfukadasoなので、私が展示会などでお世話になっている僅かな期間だけでも、2階にあるBaharさんには観光客が覗きに来ていましたし、cafeもいつも人がいっぱいで建物の前で記念撮影している人も見かけました。
さて、トークイベントで何を話そうかいろいろ頭の中でこねくり回しているところですが、話そうと思ったらキリのない内容になりそうですので、私の中ではトルコの絨毯屋になるためのレッスンその1、左ジャブ・・・って感じで、絨毯業界を巡る現場の変化から、様々な観点からのトルコの織物の分類、見分け方などをお話しようかと考えています。
私は業界歴24年目のトルコの絨毯屋の女社長です。
何年やっているからエラいとかいう自慢ではなく、少なくとも24年前の織りの現場を知っているという自慢です。
トルコで本当に古いものや、伝統的な作業の現場を実際に見ることができたギリギリ最後の世代だと思います。
その頃は昔気質の地元密着型の絨毯屋の親父さんたちがいて、彼らは観光客とは無縁でしたが、村とつながり、織り手と共にいたので現場のことをよく知っていました。
(野中幾美コレクションより19世紀の草木染めキリム)
絨毯屋としての勉強は学校があるわけでも、誰かが教えてくれるわけでもありませんので、とにかく引っ付いて現場を知る、見聞きする、現物に手で足で触れることから始まります。
師匠と丁稚の関係ですね。
そして興味があったからこそ、トルコで絨毯屋になったし、知りたいと思ったし、今日まで稼業として続けてこれたとも思っています。
当時は骨董キリムも絨毯もまだ見ることができましたので(ギリギリですけど)、いかに本物をたくさん見るかという点では、おかげさまで今振り返ってみても贅沢な素晴らしいものを山のように見たし、持ったし、手放しました。
その分、この10~15年は、以前見てきたようなものをトンと見ることがなくなり、織りの現場も想像以上に急激に変化し、何かが違う、これは違う・・・という思いが強く、興味を失いかけていました。
長い絨毯屋稼業のおかげで、古くからの絨毯屋仲間がトルコ各地にいます。
その多くが高齢のために亡くなったり、彼らが本来売ってきたものがなくなってきたために廃業するしかなかったり、代が変わったことで職種が変わったり、村に作り手がいなくなったことで仕事ができなくなったりといろいろです。
もちろん、今でも順調に仕事をしている人たちもいますが、アンタルヤのカレイチだけで300軒あった絨毯屋のうち、現在どれだけ残っているでしょう。
私はそんな中、絨毯屋としてはどこか取り残された感じを拭えずにいました。
加えて弊社が貿易会社であるため手仕事と関係ない商材の取引なども増えて忙しくなったり、絨毯屋の延長線上で出合ったイーネオヤとの縁が深まったり。
でもやっぱりトルコの絨毯、キリムが一番好きです。
古いものを読み込む作業が大好きです。
古いものを読み込むというのは、その織物が織られた当時の周辺環境や織り手の気持ちを織り目から読む作業です。
今と違って、絨毯屋と言えば完全に男性社会であった当時、外国人で女性であるということは、織り手である村の女性たちの懐に入りやすいという特別な立場でもありました。
保守的な地域では他人の異性を自分の妻や娘に近づけることはありませんし、実際の仕事取引でも織り手の女性ではなく、その夫や息子など身内の男性との交渉が一般的です。
でも私は彼女たちと同じ女性。しかも遠い異国からやってきた外国人、特に好意を寄せてくれている日本人ですから警戒されることもなく、部屋に招き入れられ女性たちと直におしゃべりをし、昔話を聞き、その生活環境、考え方、織りに対する様々なことを近くで見続けるチャンスを与えられました。
文献や本は全く読むことなく、織りのこと、染色のことをゼロの状態から自分が見たこと聞いたことを全てとしたことは今となっては、良かったのか悪かったのか疑問ですが、わからないことが出てきたら行って見て聞くということを可能な限り実践してきました。
20年以上も前に先輩絨毯屋の親父さんたちと一緒にたくさんの古い織物を見て、いろんな地域の村の女性たちから染色、糸紡ぎ、織りなどを教えてもらったおかげで、モノの良し悪しは少しですがわかっているつもりです。
さて、ここで問題です。
みなさんは絨毯やキリムを選ぶとき、まず一番最初にどこを見ますか?
・・・と言っても商売されているわけでもコレクションしているわけでもなければ、普通はインテリアとして購入される前提なので、適切な質問ではないかもしれません。
インテリアと考える場合、色の調和と答える方もいると思います。
デザインの細かさ、複雑さ(それだけ手が込んでいるから)というのもあり得ます。
もちろんサイズも・・・ですね。
なんとなく見たとしても、たくさんある中から「なんかこれ素敵!」と魅かれることもあると思います。
詳しい方になってくると地域や、ソフラやミフラップと言ったモデルのタイプ、また敷物以外など形態にこだわる人もいます。年代も大切です。つまり染色方法も気になります。
人それぞれだと思います。
私の場合は優先順位としてまず糸質があげられます。
広大なトルコは自然環境も様々で、そこで飼育される羊の毛質は、品種によっても違いがありますが、気候や植生によってかなり左右されます。
その毛をどう紡いだか、人による癖のようなもの、細いとか太いとかではなく、糸そのものにまずぐっとくるものがあります。
キリマンという簡単な道具を用いて手で紡いでいるキリマン糸であることは当然ですが、見た目と感触、漂うツヤツヤ感というか、キラキラ感というか・・・。
それは詳しい人が見れば誰もが良い毛質と認められるものでもあるかと思います。
織物である以上、触った感じというのは私にとっては外せないポイントであり、触った感じが良ければそれがお気に入り・・・ということにもなります。
ただそれらの条件をクリアするのは、自然と地域も限定され、ある程度年代のあるものになったりもするのですが・・・。
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お話の続きはこちらで・・・!!
2月23日(土)19:00~21:00に行われるトークイベント「シルクロード西の終着駅 トルコに伝わるキリムとワインの会」のお申込み受付中です。
以下のリンクからお入りください。
トルコの織物の種類、織り方、糸質、染色などからの年代や地域、民族の見分け方、織りの現場の様子、現在と過去の比較などをトルコ現地での絨毯屋としての経験を踏まえてお話します。
今回は限られた時間での総括的なお話ですが、今後もテーマを掘り下げたお話会ができたらいいなと思っています。質問、意見もどんどんしてください。楽しい充実した会になるように願っています。よろしくお願いいたします。
シルクロード西の終着駅 トルコに伝わるキリムとワインの会
詳しくはBaharさんのサイトをご覧くださいね。
Baharさんのサイトはこちら ⇒ ☆
トークイベント開催されますように!!
お友達をお誘いの上、ご参加どうぞよろしくお願いします!
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「オヤフェスJapan2019」のギャラリートークのお申込みも受付中。
2018年にブルサで開催された「国際シルクオヤフェスティバル」の会場の様子と実際に展示されたイーネオヤを見ながら、野中幾美が解説します。
トルコのコレクターたちがどんなものを集めているのか、おそらくトルコ現地に行っても目にすることまずないだろう古いオヤたちの数々をご覧いただきます。
3月1日(金)12:30-13:00 トルコのコレクターたちのイーネオヤ
★平尾直美先生が再現されたかなり変わった形のイーネオヤ作品が当日展示されると思いますが、そのオリジナル品が映像に登場します。コレクターさんたち、暮らす地域が異なると集められるものも異なる。日本に紹介されていないタイプの骨董イーネオヤを見ることができます。
3月2日(土)12:30ー13:00 シュンネットヤタウ(割礼式のベット)とブルサのオヤ
★オスマン帝国の最初の首都であり、シルクの町に相応しい繊細で上品なイーネオヤが見られるブルサ。ムシュクレ村の割礼の装飾ベットの伝統と、宮殿と庶民の手仕事の違いについて解説をします。
3月3日(日)12:30-13:00 野中幾美コレクションと日本人作品の展示の様子
★代表的な各地のイーネオヤを展示しました。形態や素材、文化的背景を含めたその違いについてのお話。さらにはエフェオヤについて。そして日本人のみなさまの作品ご紹介。次回の出展に向けて参考にしてみてください。
〇費用 各回1500円
〇募集人数 各回15名程度
希望日、お名前、電話番号、当日連絡がとれるメールアドレスの4点を記載してオヤマニアの会さんのメールアドレス ⇒ oyamania2017@gmail.com へお申込みください。
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