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カテゴリ:イ―ネオヤ、その他のオヤ
タウシャンルの大きなイーネオヤはチティオヤと呼ばれて区別されている。
タウシャンルで「イーネオヤ」と言うと、現行の一般的な平面のイーネオヤのことを指す。 チティオヤを指して「イーネオヤ」とは言わない。 それだけタウシャンルの女性たちいとっては特別であり、イーネオヤ以上の何かを秘めているものだと思ってもよい。 そう思うのも当然だと思う。 1つのチティオヤを作る工程はまさに手芸を越えて、工作である。 チティオヤの大きな特徴のひとつに茎と葉部分にワイヤーを使うというのがある。 シルク糸を手で巻いたワイヤーをある順番に沿って折り曲げて形を作る。花びらは別パーツとして作る場合もあれば、葉や蕾、花芯のようにワイヤーに直接編みつけるものもある。 それらを組み立てて、最終的にはご覧のチティオヤとして完成する。 見ればわかるというものもあるけれど、組み立ての順番にもそれぞれ工夫があり、どうしたら安定するか、無理なく収まるかなどが垣間見える。 一度習うとなんとなくコツが掴めるかもしれないが、まずは糸を自分で撚れるかどうかも重要である。 このチティオヤに使われる糸は撚っていないシルク糸が大前提である。 シルク糸が途絶えていた時期は撚っていない人工シルク糸が使われたが、現在はタウシャンルのチティオヤ専用のシルク糸が生産されているので、それが手に入る。 地元の女性たちもシルクで作ることの意味を重々承知していて、同じ手間暇を掛けるのであれば、シルク糸で作ることが将来的な価値を生み、出来上がりも美しいことを知っている。 こだわりのポイントでもある。 さて、このチティオヤのオヤスカーフ。 上にもしつこく書いたが、本当に手間暇のかかる特殊な技術を要する。 この地では嫁入りの時にチティオヤを最低3つは持参する風習があるが、それこそお父さんの何か月分かの給料を代金に充てなければならないほど。 「マンダ(水牛)を売らせるほどの(高価な)チティオヤ」という意味のモチーフ名もあり、1枚のチティオヤがどんなに大切で、また女性にとっての財産のひとつであったことが偲ばれる。 現在でも地元の風習に則って嫁入りする家庭では、このチティオヤを作れる女性に依頼し、持たせることがある。 それだけにチティオヤを上手に作れる女性はみんなの憧れの的であり、称賛の対象である。 ただこの風習も経済的な問題、実際にオヤが必要とされないことなどを理由に、以前に比べたら減っていると思われるが、未だに女性たちの間でチティオヤをいかに上手に作り、称賛の対象とされることが重要視されるため、オヤ作りの技術が高いレベルで維持されていることは間違いない。 さて、そんなチティオヤだけを集めたサンプラースカーフがあったらいいな・・・と思っていたのだけれど、地元での女性たちのチティオヤ相場を知っているだけに聞くのがコワくて長い間、躊躇していた。 現場の声でもあるオヤマニアの会さんと相談してどんなモチーフがあったらうれしいかなと24種類の希望を出した。そして完成したのがこちら。 うわーっ、ですよね。タウシャンルの人気のチティオヤモチーフが大集合 画像ではわかりにくいかもしれませんが、1つ1つがブローチの大きさです。 ウフラムル、トロンギュル、ジャポンキュペリ、パパティア、メネクシェ、ジャーナン、マーカサイトなど昔からあるモチーフ、そしてこの10-20年で広まったモチーフを選定してお届けします。 本日21時からのオンライン「タウシャンルのオヤを見る会」で少しだけお披露目。さらに9月のオヤマニアの会イベント「編み編みパーティー」のお話会で、1つ1つのモチーフ名とその背景について詳しく解説したいと思います。 では今晩、オンラインでお会いしましょう~! ------------------------------------------------------------------ YouTubeに「ikumi nonaka」チャンネルを開設しました。 トルコの伝統手工芸、食文化、生活、牧畜などをご紹介していきます。 新着のお知らせがいくように、チャンネル登録をぜひお願いします❤ ↓↓↓↓↓ ikumi nonaka ------------------------------------------------------------------ ミフリのショッピングサイトはコチラ↓ ミフリ&アクチェ にほんブログ村 にほんブログ村 にほんブログ村 その他・全般ランキング お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
August 26, 2020 06:21:40 PM
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