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カテゴリ:イ―ネオヤ、その他のオヤ
あれから20年ぐらい経ったかな・・・と思っていたら、まだ16年だった。
イズニックに暮らすムシュクレ村出身の女性の家を訪ねた。 別件でイズニックに来たのだけど、ちょうど家のそばでご飯を食べていて、そういえば彼女は元気にしているかな・・・と言う話から電話をかけて、会いに行った。 女性は1950年生まれで今年71歳になったという。 2年前まではイーネオヤを作っていたけれど、このところは自分で作ることはなくなったと話す。 16年前当時から近隣の村のお嫁入のために必要な大きなオヤのスカーフを、人から頼まれて作っていた。 ![]() (2005年の写真) でも16年前に見たのは新しく作られたものではなく、彼女が娘時代に製作したものや、母親や祖母から譲りうけ、当時まだ未婚だった娘のためにしまい込んでいたチェイズの中身。 初めてちゃんとしたイズニックの古いオヤを見た。 そして、これだけの粒揃いのラインナップで見る最後の機会でもあった。 もちろん当時でもすごかったのだから、あれから16年経って、古いものを滅多に見ることがなくなった今となっては本当に貴重なものたちである。 ![]() (2005年の写真) 今回、お家に行って、新しいオヤも見せてもらったが、当時見たチェイズの中身がそのまま残っていると聞いていたので、それを見たいとリクエストした。 ただし、その後娘さんは結婚し、チェイズは娘さんのお嫁入の際に持たせていたので、今の持ち主は娘さんである。 同じ敷地内に住む娘さんの許可を得て、16年ぶりのそのオヤの数々を目にすることができた。 ![]() いや、すごい。 これだけ揃っているのもすごい。 女性は新しいイーネオヤについてのモチーフ名は知らないものも多かったが、これらの古いオヤについてはモチーフ名や謂れをスラスラと言葉にする。 昔覚えたことは忘れていないのである。 見ている私も興奮したけれど、落ち着いて1点1点改めて写真を撮らせてもらった。 見覚えあるものたちが並んでいた。 イーネオヤを蒐集する立場としてはもちろん喉から手が出るほど欲しいものばかりである。 でも別の視点から考えると、16年前にお母さんが娘に用意して、結婚を機に譲ったチェイズの中のイーネオヤがそのまま残っているというのも感動ものである。 最近は生活スタイルも好みも変わり、需要がないからと、譲り受けたオヤを手放す人が多い。 もちろんそのおかげで私たちの手に入るのではあるけれど、私たちだって譲らないというものを無理やり奪うわけではないのだし、私自身も心のどこかでは売りたいなら欲しいけれど、売るつもりはないと言われると残念なようで、実はとても嬉しかったりする。 イーネオヤが代々伝えられていく姿をこの目で見ることができるのだから。 そしてこれが本来のイーネオヤのあるべき姿だとも思う。 居るべき場所に居続けることがベスト。 諸事情により手放した人がいるから私たちは手に入れることができるだけなんだ。 縁あって今私の手元にある古いイーネオヤたち1枚1枚に込められた女性たちの気持ちや時代背景を思い巡らせつつ、それごと大切にしなくちゃと改めて心に刻んだ。 ------------------------------------------------------------------ YouTubeに「ikumi nonaka」チャンネルを開設しました。 トルコの伝統手工芸、食文化、生活、牧畜などをご紹介していきます。 新着のお知らせがいくように、チャンネル登録をぜひお願いします❤ ikumi nonaka ------------------------------------------------------------------ ミフリのショッピングサイトはコチラ↓ ![]() ミフリ&アクチェ ![]() にほんブログ村 ![]() にほんブログ村 ![]() その他・全般ランキング ![]() お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
April 12, 2021 05:26:54 AM
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