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続々・絨毯屋へようこそ トルコの絨毯屋のお仕事記

続々・絨毯屋へようこそ トルコの絨毯屋のお仕事記

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絨毯・キリムの話

December 26, 2022
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カテゴリ:絨毯・キリムの話
トルコの「チェイズ」の習慣は以前ほどではないにしても、現在も継続していると言ってよいだろう。
チェイズとは結婚の準備で用意される生活用品、身の回り品のこと。
私は普段、嫁入り持参品と訳しているが、男性側も花嫁さんのために用意するので、結婚準備品と言うのが正解なのかもしれない。

現在は電化製品一式、家具一式と大荷物になることが多いだろうが、本来はサンドゥックと呼ばれる、日本でいう長持ち、チェストに当たる箱型の入れ物に、手作りした衣類、寝具用品、装飾用品、食器類などを結婚生活に必要な生活品、身の回り品を詰めて持参する。
古い映画などを見ると庶民の場合サンドゥック1つで嫁入りする姿があったりする。
身の回り品はサンドゥック1つに収まる程度だったのであろう。



サンドゥックは嫁入り道具が詰められている箱であり、そのまま収納具として使われた。
そしてそのサンドゥックの中身の一部は自分の娘が嫁ぐ時に新しいサンドゥックに入れて贈ったりもする。ただしサンドゥック自体は自分のモノとして一生大切に持ち続ける。
つまり、お嫁さん本人の財産であり、自分自身の結婚の証でもあるのだ。

私も仕事でサンドゥックの中身を開いて見せてもらう機会が今までもたくさんあったけれど、どんな年齢の女性にとっても、結婚時の想い出と共にあり、それらチェイズ品を見る女性本人たちの脳裏には当時の花嫁になる若い時の姿や気持ちが蘇っているのだと感じる。
その目はそれほどにキラキラと輝くのである。

キリムや絨毯に描かれるサンドゥックのモチーフの意味もまさにそれである。
結婚への憧れ、その後の子供の誕生。

サンドゥックの形に合わせて、正方形、長方形の四角のモチーフなのでわかりやすい。
そこに詰められているのは髪飾りだったり、星だったりそれぞれではあるが、いずれも女性の結婚したい、子供を授かりたいなどの願いである。



女性本人が織ることもあっただろうし、嫁に行く娘に母や祖母など身内が贈ることもあったと思う。
現在は女性にとって結婚はひとつの選択に過ぎないが、かつては若い男女であれば、年頃になれば気になる相手がいたり、漠然とした異性への恋心を抱いたり、そして時期が来れば誰かと結ばれるということがごく自然なことだった。
そんなシンプルかつ重要な意味を持つのがこのサンドゥックのモチーフである。

画像のジジムのように、サンドゥックのモチーフが並んでいるのを見ると、織り手の女性が本人であれ、母親であれどんな気持ちでこれを織り、どんな人生を過ごしたのか考えてしまう。
年代から言えばもうこの世にいないと思うが、このジジムの持ち主の人生が幸せであったことを願うばかりである。

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Last updated  December 26, 2022 07:54:56 PM


December 20, 2022
カテゴリ:絨毯・キリムの話
人のモチーフというのは、キリムや絨毯の上でというよりも、古代の石碑や石棺、壁画などで見られるものに馴染みがあると思う。
特定の人の人生を意味するものもあれば、その集団での生活の様子を描いたものもある。
私たち人間にとって、当たり前であるが人は一番近い存在であり、人は人から生まれ、人は人を産む。そして誰もが迎える死というものにも直面する。

キリムや絨毯に描かれる人は、他のモチーフが元がなんだったのかわからない程度には抽象化されているるのに対して、結構生々しさを感じる。
もちろんリアルに描かれているわけではないが、頭があり腕があり2本足で立つ様子は人と特定できる形であり、織りのデザインとして限界はあるものの、織り手がイメージしたものが人であることは明確である。

人が織り込まれている織物は各地にあるが、東部に多く見られる傾向がある。
イランとの国境辺りでもギャッベに描かれる人型、動物型の影響を受けているものがある。



一見、幾何学モチーフの羅列と思われる、このキリム。
トルコ東部のクルド系住民の織物である。

よく見ると人の形をしたものがある。



連続モチーフから切り離したら人に見えただけなのか、そこを意図して織り込んだのか。
目がひとつだけの宇宙人に見えなくもない。

そしてその周辺にも4つ足の動物、たぶん羊かラクダ、さらに犬だろう姿も見える。
4つ足のモチーフはどのモチーフの転用でもないから、最初から動物として入れたものかもしれない。



下の犬らしきものは、本来はX型のモチーフの一部の糸の方向を変えたら犬になった・・・感じがあるけれど、明らかに動物として描いたのであろう。

世俗的に考えれば、人のモチーフは子供を望む女性の気持ちの表れかと思う。
妊婦さんで近い将来産まれてくる子供の姿かもしれない。

もしくはキリムや絨毯が言葉に出来ない気持ちの表現方法という説を取り上げれば、兵役に行った夫や婚約者を恋しく思っているのか、まだ見ぬ未来の旦那さまを描いたのかもしれない。
いずれにしても愛しい人、待ち望んでいる人の姿なのであるということ。

いやいや、もっと単純に牧畜の民であれば、自分の生活の中で見られる光景。
家族がいて、羊がいて、牧羊犬がいるとか…。
それらが意味するのは家族、一族の繁栄と幸福。

織物のモチーフはその土地土地の伝統の柄があり、それらが母から娘へ代々受け継がれていくものではあるけれど、そこに個々の工夫やセンスが施されて、変化がもたらされたり、新しいモチーフが誕生したり、その時代を物語る一時的な流行りがあったりもする。

織り手の女性たちは、生活の中で必需品としてこれらを作ってきた。
同じ地域の同じモチーフのものであっても、作り手が100人いれば100通りの織物が誕生してきた。名前を残すことなく、一人の庶民としての人生だったかもしれない。
しかし、どの女性も名もなきデザイナーであり、作家であったったことは間違いない。

人のモチーフが描かれていようがいまいが、キリムや絨毯にはそれぞれの織り手である女性たち、命あるものとしての生から死までの人生が記録されているのである。

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Last updated  December 20, 2022 09:22:43 PM
December 9, 2022
カテゴリ:絨毯・キリムの話
キリムや絨毯でよく見るモチーフのひとつに「S」の文字のようなものがある。
メインモチーフにはならないけれど、特にジジムとしては縦方向にも横方向にも入れやすい形のため、隙間埋めに使われることが多い。



絨毯屋さんによってはこれをSeni SeviyorumのSだとか、SevgiのSだとか説明する人もいるかもしれない。
Seni Seviyorumは貴方を愛していますと訳せるし、Sevgiは愛を意味する。
織り手の女性の秘めた気持ち、愛がいっぱい詰まった織物、なんていえばもっともらしい話になるけれど、トルコ語がオスマン文字から現在のアルファベット表記になったのはトルコ共和国が成立した後の1928年11月1日のことなので、その以前はどうなる・・・になってしまうので、これは明らかに後付けの意味になるのだろう。



Sのモチーフはあとで説明するけれど、広義では男女の愛の意味も含まれるので間違いというわけではないけれど、頭文字を取っていると言うのは少なくとも言えない。

では何のモチーフかというと、トルコ語でチェンゲル(Çengel)。
引っかけたり、留めたりできる先の尖った金属製のものを指す。
一番わかりやすい言葉で言えばフックとか針先とかが適当であろう。

チェンゲルは日常の中にも普通に目にするものである。
写真は肉などを引っかけて重さを計測する量りのチェンゲル。
馬やラクダ、ロバなどの装身具などにもチェンゲルが使われている。



先が尖っているということからお守りの意味であることが容易に想像できる。
災いから身を守るためのモチーフ。

そしてその形態と用途を思い浮かべると、異なる二つのものを繋ぐものとしての象徴としても捉えることができる。
それは具体的なものだけれなく、空と海、山と川、水と火、黒と白など形のないものにも当てはめることができ、さらには男女の愛を結ぶものとしても考えられるのである。

そういうことからSは「愛」を意味する、強いては貴方が好きという気持ちを伝える手段だったとも言えないこともない。
例えば兵役に行ってしまった新婚の夫や婚約者と自分を繋ぐ意味だとしたら、それはとってもロマンチックで意味深い。
ただ本来はフックのモチーフであったという話。

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Last updated  December 9, 2022 11:04:29 PM
December 7, 2022
カテゴリ:絨毯・キリムの話
口ではどんなに良いことを並べても、本心は目つきや眼差しに現れる…。
本当にその通りで目を見れば人となりがわかる。
日本では「目は口ほどに物を言う」という諺がある。

その人の感情はどんなに隠しても目に出てきてしまうと言うことだが、その感情が優しいものだったり、温かいものだったりすることもあれば、逆に嫉妬や悪意と言ったマイナスの感情の場合もあるだろう。



嫉妬や悪意の感情は邪視となり、その視線の先にいるものに災いをもたらすと言う考え方がある。その邪視を防ぐためのお守りが、トルコの場合はみなさまご存知の青いガラス製の目の形をした「ナザルボンジュウ」である。
ナザルボンジュウのナザルは視線の意味であるが、悪意のある視線は邪視であるから、邪視に触れませんようにの意味で「ナザル・デーメシン」という言葉を使う。
それをほぼ同じ意味で「ギョズ・デーメシン」という言葉がある。



ギョズは目のこと。
トルコでも目は本心を表現する部位のシンボルで、悪意の目は災いとなる。
特に嫉妬から来る理不尽な感情。
可愛い赤ちゃん、美しい奥さん、優秀なお子さん、新築の家、購入したばかりの高級車、贅沢な食卓、豪華な装飾品、誰かのラッキー、それらに対して人々が「いいわねえ」「素晴らしい」「可愛い」と言われ過ぎるとそれらが(妬み、嫉妬の感情から)邪悪な視線になるという考え。
だから赤ちゃんを見て「なんて愛らしい!」と心から誉める人も「ギョズ・デーメシン」もしくは「ナザル・デーメシン」という言葉を付け加える。
裏返して言えば、人に自慢(羨ましがられること)ばかりしていると恨まれるぞ、という教えなのであろう。



そしてそれらの邪視から身を守るためには上記のナザルボンジュウを身に付けるのである。
目に対抗できるのは目しかないと言う考え方なのだと言う。

ハムラビ法典の「目には目を 歯には歯を」という一説の意味と混同されがちだけれど、こちらは「被害を受けたらそれと同等の報復をせよ」の意味で、目で邪視を跳ね返すお守りとは意味合いが違うと思われる。

さて、キリムや絨毯のモチーフの中でも日常的に使われる織物に最も多く使われてきたモチーフだと個人的に思うのが「ギョズ」つまり目のモチーフ。
三角、十字型、ひし形など様々な形で存在するが、小さく多数織り込まれているものの多くは目であったりする。



前回のブログのヘマイル(護符)のモチーフ同様、遊牧民たちが身を守るための意味を持たせたモチーフであるが、ギョズ(目)の方は特に人からの視線に対するものであることから、具体的に考えると、羊がたくさんいていいなあとか、立派なラクダを持っていていいなあとか、奥さんキリムを織るのが上手でいいなあ・・・とかの感情に対抗するものだったのかなあと想像する。
自然災害も病害も怖いものだけれど、ある意味、人間が一番恐ろしいのかもという話。

マウントを取るような人相手でなくても、隣の芝生は青く見えるものらしいので、他人の手の中にあるものを羨ましいとか妬ましいとか思う感情は自然なのかもしれないけれど、自分の人生は他人と比較するものじゃないのだから、自分は自分、人は人って思えたらもっと世の中平和なんだろうね。

ちなみにイーネオヤの作り手も上手だと周囲の女性たちからの嫉妬を買うので、その対策として目のモチーフは入れられないけれど、色違いやモチーフ違いの小花を混ぜてお守りとしたのが「ギョズ・デーメシン」「ナザル・デーメシン」と言われるものである。

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Last updated  December 7, 2022 07:09:15 PM
December 5, 2022
カテゴリ:絨毯・キリムの話
私たちが生きていく上で様々な苦難が待ち受けている。
天災、病気、事故、事件、戦争などなど。
定住せずに屋外で暮らす遊牧民たちにはそのリスクがさらに高かったのかもしれない。
彼らの織物には数々の祈りや願いと共に身を守るための印がいかに多く織り込まれていることか。



その代表的なもののひとつ。
ヘマイル。
ムスカとも言う。

ムスリマンが身に付ける三角(もしくは筒型)のケースに入った紙の護符のことである。


幼少期にお守りとして与えられることもあるし、病気治療中の人や、良くないことが続いた場合など、改めて持つこともあるそうだ。



イスラムに限らないことだけれど、どの世界でも護符や祈りの言葉を身に付けて、災いや邪視から身を守る考えは共通している。
水害、干ばつ、台風、火事、獣被害、盗難、病害、それらから自分、そして家族、一族を守るために刻まれた三角の形に意味されたもの・・・。



ヘマイルのモチーフには様々なタイプがある。
三角形のものから、ひし形、箱型など。
ただ三角が絶対的に多数を占める。
三角は織物(特にキリム)のモチーフとしては基本系であるので織り込みやすいものではあったと思うが、単純な三角とせず、様々な創意工夫があったところが、織物の世界でも身を守るものをいかに重視していたかが想像できる。

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Last updated  December 5, 2022 07:02:24 PM
December 4, 2022
カテゴリ:絨毯・キリムの話
在庫の大きなキリムを1点1点写真を撮りながら広げて見ているところ。
大きいサイズのものはなかなか一人で扱えないので、お手伝いしてくれる人がいる時じゃないとチャンスがないのだけれど。
大きいものって日本だと敷く場所が限られてしまうので敬遠されがちだけれど、迫力あってやっぱりいいなと思える。

価値としてあるもの、それほどじゃないもの、でもどれを見てもそれぞれに味があって、やはり古い年代のものだけに今ではなかなかお目にかかれないものや、売る目的ではわざわざ作らないよねと言うものがあって、日常の中の生活用品として見たときに格別に面白かったりする。



出所はもうわからなくなってしまっているけれど、おそらく地中海地方と中央アナトリアの間の山間部に暮らす遊牧民の織り物。

染めも漂白もしていない白とこげ茶のナチュラルウールの糸のみを使ったシンプルなキリム。
群れの羊の毛の色が、このキリムの白とこげ茶の割合に相当するのかなとか考えてしまう。ウィンク

気になったのが、合間にジジムで織り込まれているいくつかのモチーフ。
普通のキリム柄だといろんなモチーフが混在しているものが多いが、これはシンプルにわかりやすくモチーフが描かれている。

いずれも代表的な知られたモチーフで、これが基本だと思うと同時に、遊牧民の生活に密着しているモチーフだなと感じた。

このキリム自体は約410×150cmのテント用敷物かと思われる大きなサイズであり、モチーフは変形バージョンを含めて7種類、それぞれ複数個が織り込まれている。

その一つが「ひっつき虫」。



ひっつき虫は私が子供の頃に呼んでいた名前だけれど、他にも言い方があるのだと思う。
今思うと植物なのになんで虫だったんだろうと、ひっつき草だったっけ? などと混乱したけど、野原や草の生えている空き地などを歩いていると靴下や靴にくっついてくるトゲトゲの植物の実や種のこと。

トルコ語ではプトラックとかプトゥルダックとか言われる。
形的にはわかりやすいね。

このプトラックの意味のひとつはお守りである。
トゲトゲが邪悪な視線から守ってくれるということからだろう。

もう一つはたくさんのトゲトゲがあることから、豊作を意味しているそうで、食料のカバーなどにするキリムに描かれることが多かったよう。
平織りでもこのモチーフが見られるけれど、やはり入れやすいのかジジムによくあるモチーフのひとつでもある。

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Last updated  December 4, 2022 08:39:01 AM
February 3, 2022
カテゴリ:絨毯・キリムの話
チャルパナ修行に施設の工房通っていて、他にも気になって仕方がないものがあった。
1つは水平機によるシルクの布織り。

水平機は各地でよく見るし、整経作業にも部分的には参加したことはある。
やはり自分で最初から最後までやってみないと構造やら理論が今ひとつわかっていない。



チャルパナの先生が本来は機織りの先生なので、次回はシルク布の機織りを全部自分でやれるレベルになることを目標にしたいと心に誓う。

そしてもう一つはシルクの絨毯織り。
この施設ではへレケクラスの絨毯が織られていると聞いて、チャルパナの合間に絨毯織りの傍らで作業を見学していた。
郷土品のフェアなどでは指の細い若い娘さんがデモンストレーションで織っているのを見かけるが、ここでは全く逆で年配の熟練者のみ。
かつてブルサにへレケ絨毯専門の工房があったのだけれど、そこで長い間鍛えられて、スカウトされてここに移ったプロ中のプロの織り手さんたちである。



絨毯は本業でもあるから織りについては自分でもよくわかっているつもりなのだけれど、私がやったことがあるのはウール糸を使うもの。
それだってトルコ国内だけでも地域によって違いはある。
織り始めたら、それほどの差はないのだけれど、垂直機に経糸を張る作業では地域によって異なる方法を見て来た。

理屈ではわかっているのだけれど、いつも考えていながら作業をするチャンスがなかったのがシルクの絨毯織りである。
それも20×20以上のへレケクラスの細かいものの整経作業が気になっていた。
20×20というのは単純に言うと1cm幅の中に40本の経糸があることになる。



2本の糸で1つ結び目を作るので20の結びを作るのには40本の経糸が必要。そしてシルク絨毯の価格の基準である目数はカイセリクラスで6×6、8×8,10×10、へレケクラスだと12×12から細かいものだと50×50目というのも大昔にはあった。
6×6は1平方cmの中に36目結び目があるという意味、それだけでも十分すごいと思うけれど、へレケクラスの24×24だと576目ということになる・・・!
そしてその意味は1cm幅に経糸を48本張らなければならない。
1mmに5本も経糸をどうやって入れるのか・・・。

そんな疑問を常に抱えていたのだけれど、今回20×20の織りが入ってその整経作業をじっくり見ることができた。



もちろんウール糸のような扱いができないので、機枠に直接掛けていく。
経糸が絡んだり、入れ変ったりしないような工夫がなされた上に、その後に来る糸繰りの操作も一度にやってしまうというものだった。1時間ほど手の動きを見続けていたのだけれど、あまりにも早くて頭がついて行けない。理解したつもりだけれど、やれと言われたら絶対できない気がする。

この作業も実際にやってみないことにはいくら見続けても身につかない。
やらせてもらえるチャンスはあるのかわからないけれど、ぜひ一度チャレンジしてみたいと思った。

還暦を目前にやっていないことが色々見つかる。
感染症が収まったらもう一つの修行も待っている。
まあ、いいか。
トルコでの定年退職も間近だし、そしたらこれらをゆっくりじっくりやればいい。
でも目と指がついて行けるかな・・・そちらの方が心配だわ。

その前にまずはチャルパナを語れるぐらいにはならなきゃね。
次回は3作目の話。
(続く)
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Last updated  February 3, 2022 10:29:50 PM
September 10, 2021
カテゴリ:絨毯・キリムの話
先日、別物の撮影用に広げてみたら、とっても素敵だったので改めてご紹介したい。




パッチワークのキリム。
手持ちのオールドキリムを何枚かを漂白洗浄し、緑色に染め、カットして組み合わせて縫製。
さらに裏に厚手の布をつけた。

地のキリムの色やモチーフがほんのり浮き上がり、重量もあるので下に敷いてしっくりきた。

大きさの十分あるし、子供がおもちゃで遊ぶ時のラグにしたら可愛いかな・・・なんて、まだいない孫の姿を想像してみる。

キリムや絨毯って不思議だね。
こうやってたまに広げて改めて見てみると、その良さを実感する。

↓↓↓↓↓
パッチワークキリム

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Last updated  September 10, 2021 07:46:32 PM
September 7, 2021
カテゴリ:絨毯・キリムの話
2か月ほど前に廃業した80歳の絨毯屋さんの在庫から見つけた古いギャッベ。
探し続けていてやっと見つけた逸品である。



最近のおしゃれで洗練されたギャッベもいいけれど、この時代の素朴で粗野で、でも質の良いウールで織られたものを長年待ち望んでいた。
私は詳しくないのでお話できることはないのだけれど、持ち主である絨毯屋さんは50年ほど前にこれらを手に入れたそうであるから、少なくとも50年以上前に作られたものだということがわかる。



手で紡いだ太めの糸を草木染めで染色。
厚みは個体によって変わるが15mmから25mmとずっしりフカフカ。

クリーニングからやっと戻ってきて、写真を撮り始めたところ。
在庫を全て買い取ったけれど、数量限定で後続はないものですので、もし気に入ったものがあったらお早目にどうぞ。



これからの季節、このフカフカの上に座るだけでも気持ちが盛り上がる。
90×60cmの自分サイズのものが中心です。
品質や年代、貴重性を考慮してもお手頃価格で売り切りたいと思っていますので、よかったらご覧ください。そして違いを実感してください。

↓↓↓↓↓
50年以上前に織られたイランのヴィンテージギャッベ

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Last updated  September 7, 2021 12:10:06 AM
July 2, 2021
カテゴリ:絨毯・キリムの話
7月1日より、行動制限の多くが解除され、ほぼ通常の生活に戻っています。
つまり今月から普通に経済活動をしなさいということなのですが・・・。
先日もお伝えした通り、アンタルヤは今週になって日中40℃以上、夜間30℃以上の日々が続いていて、外出自体がままならない状態です。
この頑丈な私までが珍しく不調です。このままお店は夏休みに突入かな・・・。

アンタルヤに暮らす以上、年配の人たちが夏になると高原地帯の別宅に移動するというのも当然だと思います。今回の暑さで隠居したらどこに暮らすか真剣に考えるようになりました。

さて、本題です。
先日、80歳の絨毯屋さんが廃業するというので在庫の処分があり、その中にオールドのイランのギャッベ、しかも小さめという長年探していたものを見つけたので、迷わずあるだけ全部手に入れました。といっても僅か25点ですけど。



自分が廃業目前だというのに、今になって何をやっているのかわかりませんが、絨毯屋業は好きでやっている絨毯病の人が多いので辞められないというのが絨毯屋業界内での常識です。
それにここ数年で頑張って売り減らしたとは言え、まだ1000点はあるだろう在庫に25点増えたところで変化はないと思うのです・・・(言い訳)。ぽっぽっぽっ



このギャッベ、約50年前に仕入れたものだそうです。
イランには行ったことがないし、ギャッベ製作の現場も見ていませんので、その背景は私にはわかりませんが、少なくとも50年以上前に作られたということだけわかります。



最近見るギャッベは色もデザインも洗練されていて、確かにインテリアとしても魅力的だし売りやすいとは思うのですが、ギャッベの粗野な魅力はちょっと別なところにあると感じていました。
あと大きいのは糸質の違いです。50年前ですからまだ機械紡ぎの糸がない時代、手で紡がれたウール糸が使われています。
ですから重さも見た目以上、密度の高いウールで作られている証拠です。



すぐに村の絨毯クリーニング屋さんに送りましたので、綺麗になって帰ってくるのを待っているところです。
暑いまっさかりに絨毯というのもなんですが、季節が過ぎるのは早いですし、これがこの暑さの中、私のところにやってきたのも何かのご縁です。

近々、ショッピングサイトでご紹介出来たらと思っております。

今月はサガラッソス古代都市遺跡、ブルドゥル博物館、ラベンダー畑、フリギア遺跡、アイザノイ古代都市遺跡などに行く予定です。どこも既に何度か行ったところですが、多少の知識と共に、違う視点で観光してこようと思っています。暑さで倒れないように気をつけます。
お仕事としてはブルサ近郊のいくつかの村々でのイーネオヤ取材に出かけます。写真集と動画にまとめるつもりですので、お楽しみにしていてください。では~!

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Last updated  July 2, 2021 01:01:11 AM

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