トカット最初のオリジナルデザイン「トカット・イチ・ドルス」
現在までに、職人さんや木版技術の流出などにより他の地域に広がることで、それこそ星の数ほどのデザインが存在するバスクのモデルですが、トカットの伝統のオリジナルのモデルに限定して言うと、前出の林檎、半分の林檎、サクランボなどをはじめ、これからご紹介していくいくつかのデザインに限られます。「トカット・イチ・ドルス」「イチ」は「中」、「ドル」は「満たされた」「満タン」などの意味で、「ス」はトカットの所有を表します。つまり「トカットの中が埋め尽くされた(ヤズマ)」という意味です。名前が示すように、ヤズマの表面がバスクで埋められたデザインです。実はこの「トカット・イチ・ドルス」、トカットで一番最初に作られたオリジナルデザインなのだそうです。それだけ歴史も古く(なにせトカットのバスクは650年の歴史がありますから・・・)、製法も昔ながらの作り方で代々伝わってきたもののひとつです。昔の製法?ってなんだと思うでしょう。簡単に言えば染料ですね。人工染料が広まるまでの19世紀以前は草木染めで染められてきましたが、「トカット・イチ・ドルス」で一番重要な色は地の「少し黒味がかった赤色」。これはトルコ語で「キョクボヤ」と呼ばれる「西洋茜の根」から抽出される「1,2-ジヒトロキシアントラキノン(C14H8O4)」が使われていました。一般的な名称で言うと「アリザリン」のことです。そもそも「キョクボヤ」は現在では「草木染め」のことを広く指す単語でもあり、草木染めの代表的な材料でもあります。「アリザリン」染めが一般的に行われた19世紀までは、この「トカット・イチ・ドルス」もたくさん作られたようです。ところが20世紀に入り人工染料が普及すると「アリザリン」染めが行われなくなり、と同時にアリザリンを最大の特徴とする「トカット・イチ・ドルス」も製作がストップし、その後は作られなくなったそうです。なにせアリザリン染めは他の草木染めに比べるときれいな赤を出すのが難しい上に材料費も高価ですから・・・・。(一般的な話で、中には頑固に作り続けた職人さんもいたと思います)確かに、現存するヤズマを探すと、あることはありますが、意外と少ないというのに気が付きます。その反面「トカット・イチ・ドルス」が長い歴史の中で、過去に大量に作られてきただろうというのを裏付けるのが、トルコの広い範囲でこのヤズマが使用されてきたという事実です。地元トカットではもちろん、黒海沿いのトラブゾン、カスタモヌ、エーゲ海地方のアフィヨン、地中海地方のアンタルヤなどでも好まれたそうです。「トカット・イチ・ドルス」のデザインの特徴は、ほぼ正方形の木版の中に描かれた茎と「花と葉、それが3×3列で9個、布に押され、ボーダーには上の画像にあるような長方形の両端に、空豆の形のモチーフがあるものが基本で、それ以外にも変形バージョンも見つかります。カラカレムを押した後に、黄色、緑、青色などのエルヴァン(色版)を重ねていきます。中央部分が9個の大きな版から成ることから、「ドクズ・ダルル」とも呼ばれています。「ドクズ」は「9」、「ダル」は「枝」や「支xx」、「ル」は「~のある」の意味ですので「9個の枝分かれしたデザインの(ヤズマ)」ということになります。(続く)--------------------------------------------------------------------10月21日ー27日のトカット滞在のイーネオヤ&バスクツアーにもぜひご参加ください。トカットツアーのお問合せは旅工房さんの秘境専門デスク TEL 03-5956-3148 まで。オヤフェスのお問合せ・出展参加お申込みは私まで → ★よろしくお願いいたします。-------------------------------ミフリのショッピングサイトはコチラ↓ミフリ&アクチェにほんブログ村にほんブログ村にほんブログ村 その他・全般ランキング