May 26, 2022

アイシェの子猫たち

先日の遠出の帰路に久しぶりにアイシェの村に行った。
突然だったのにも関わらず、夕食を用意して待っていてくれた。

アイシェの自宅は見るごとに進化している。
今回はバルコニーに絨毯織りのアトリエ部屋が出来ていた。
外に1台、中に2台の織機が置いてあった。
まだ整理されていない状態だったけれど、これなら寒くなっても絨毯織れちゃうね。
普段は夏はバルコニーに、寒くなると家の中に大きくて重たい機をいちいち移動させていたけれど、今後はそれも必要なくなる。

アイシェは今年、絨毯織りの師匠認証を公式に得て、フェスティバルなどに駆り出されたり、学校などで指導したりの機会ができた。
50代になって、中学卒業資格、高校卒業資格、さらには運転免許も取得したり、女性が迎える大変な時期を乗り越えて、今は以前のように自分のために絨毯を仕上げることはほとんどないけれど、デモや指導などを通して織ること自体は続けている。

アイシェと言えば、アイシェの外猫の初代ミンノシュの子供の4匹のミンノシュたち。
確かコロナ前だったから2019年の春の話だったと覚えているけれど、母ミンノシュが事故で亡くなり、まだ小さな4匹のミンノシュたちは母親の乳を十分に吸うこともなく、それでも必死に大きくなったのに、3匹が事故で亡くなり、最後に残ったミンノシュは1匹だけだった。

そのミンノシュがさらに子供を何回か産み、うち3匹が現在、アイシェの外猫として家の納屋を寝ぐらに暮らしていた。
今回行った時には、ミンノシュが新たに4匹の子供を産んで、その子たちがヨタヨタと足元にまとわりついてきた。



ミンノシュは腹部にキズがあるらしく、乳を与えたがらない。
子供たちは乳を飲めないままお腹をすかしていた。

アイシェの旦那さんがパンをちぎって与えると、すごい勢いで食らいついてくる。
こんなに小さいのにただのパンを食べるの・・・と驚いたが、お腹が空いていたらなんでも食べるものなのだろう。



最近、アンタルヤやトルコの他の都市で野良猫を見かけても、彼らはパンなど見向きもしない。
肉やレバー以外はしらんぷりである。
猫好きなトルコの人たちや、町が野良猫や野良犬たちのために餌場を用意して、常にペットフードを与えているからお腹が空いて困ることもないのだろう。
それは都市部の話。

田舎では行政区がペットフードを用意しなくても、誰かが何かを与えるだろうけど、逆に言うとペットフードは与えらえないのである。
アイシェの家でも、パンのみか、家人の食べ残りの汁に浸したパンぐらい。
量も十分でない時もあるだろう。
栄養面では問題あるかもしれないけれど、昔は猫まんまってそんなもんだったと思う。
あとは鳥でも爬虫類でも自分で狩って食べるんだよって。

町や近所の野良猫ちゃんたちの贅沢な食生活を見ていたから、アイシェの小さな子猫たちが夢中でパンに噛り付いているのを見て、軽くショックを受けた。
見方によっては可哀そう・・・と思うかもしれないけれど、そういう話ではないんだよね。
それぞれの生まれ育ちの環境があって、それに適応しながらそれぞれの生活や人生(猫生)があるってこと。

ミンノシュの娘も子供を産んでいた。
まだ2週間経っていないと言う。

子猫たちがどこにいるかと思ったら、なんと庭に置いてあったアイシェの藍染めの発酵用の甕の中・・・。



母猫の許可を取って、そっと覗くと小さいのが3匹。
藍甕、割れずに残っていて良かったね。



この村では絨毯織りで使う糸を自分たちで染めていた。
たいていの色は村の周辺で自生する草木や庭の野菜や果樹の実を乾燥させた染材で煮て染めることができる。

唯一、青色だけは材料をお金で購入しなければならない。
インディゴ、トルコ語ではチビットと呼ばれる還元藍を甕で発酵させて染める。
お金も手間もかかる作業のため、いつしか村ではやる人がいなくなり、かつては各家庭に1つはあった藍甕も庭に捨て置かれて割れているのを見ることだろう。
アイシェが藍染めをやったのですら、私と一緒にやったのが最後と言うから、本当にえいっ!やるぞ!とならない限り、この村でも必要があって草木染めが行われることはないのかもしれない。



子猫たちの安全な隠れ家となった藍甕を見て、過去の想い出と共にそんなことが脳裏を横切った。

今年はアイシェと最後になると思うけれど、絨毯織りの全行程を教わり、一緒にやりながらきちんとした記録を残そうと思っている。いつまでも同じ環境が続くわけじゃない。
できる時に、やれる人がいる時に。
伝統手工芸の世界に共通して言えることだろう。

そして自分自身にも同じことが言える。
できる環境がある時に、やれる体力と気力がある時に。

ちなみにミンノシュの子供たちも、孫たちも全部名前はミンノシュである。

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Last updated  May 26, 2022 05:27:20 PM
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