かくの如き語りき

2005/03/13(日)21:40

●●●義経~仲間たちと、厳しくも愉しく

テレビ番組作品(70)

寄せ集めの仲間ではある。 山賊に船乗りに、坊主に、 一の家来は、京の浮浪児上がり。 だが、源義経のまなざしに区別はない。 共に畑仕事をし、共に食事をする。 瀬戸際であるのに、彼らは明るい。 奥州藤原氏が源氏の御曹司を 諸手を挙げて歓迎するはずもなく。 されど敢えて迎え入れる藤原秀衡の姿に、 平家の栄華の脆さを垣間見る。 高倉天皇に娘、徳子を嫁がせはしたが、 平清盛は、注意を怠らない。 義経の動向は逐一、連絡されている。 その顔はもはや、可愛らしかった童子の牛若を、 源氏の御曹司と見定めている。 その御曹司、居眠りをする。 藤原秀衡の傍らで、初めての酒に酔ったのか。 全ての言動が人柄を指し示す。 秀衡は注意深く義経を観察し、 義経もまた、秀衡を見定めていた。 世は平家の栄華、 しかしそれは脆い栄華、 戦乱は確実に芽吹いている。 大きく豊かな器を持つ者たちは、 着実に準備を始めていた。 狩りの途中で行方不明となる泰衡、 その捜索を途中で打ち止めにする父親は、 父としてでなく、器を見極める。 生きるべきかそうでないかと。 政子を腕に抱きながら、源氏嫡男の誇りを胸に秘め、 伊豆の頼朝、京の状況の把握を怠らず。 寄せ集めの仲間ではある。 奥州藤原氏が源氏の御曹司を 諸手を挙げて歓迎するはずもなく。 厳しい状況でありながら、 彼らは愉しく、生きている。 全ての言動が人柄を指し示している。 自分の生き方を探すのなら、 見定めなければならない。 失言だと言いながらも、 秀衡の大きさ豊かさを父の姿に重ねる義経。 無条件の信頼をその目に満たしている。 秀衡もまた、息子として彼を迎え入れる。 人と人との重なりに、厳しさはつきまとう。 だが、気持ち繋がるときの喜びは、 かけがえのないものとなるのである。

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