2005/09/09(金)01:22
●●●甘い人生
叶わない夢だとわかったとき、
瓦解する自分の存在意義。
ソヌは夢うつつの中、
自分が叶わぬ夢の扉を開けたことを知る。
ラブストーリーではなく、
フィルムノワール。
キレのあるイ・ビョンボンのアクション、
天地左右、敏捷に手足が動く。
素早い回し蹴りに舌を巻く。
他のアクション映画と比べても、
なんら遜色のない動きを見せる。
アクションの演出もメリハリがあり、
襲撃戦や乱闘もわかりやすい。
音楽との相性もよく上手くかみ合っている。
裏の世界に生きる男たちの殺し合い、
残酷な拷問も織り込まれている。
アクションは飽きさせない。
7年もカン社長の下で働き、
たった一つ命令に背いただけで
ソヌは生命をねらわれることになった。
カン社長は若い娘を好きになった。
ソヌは、その娘ヒスを見張れと言われた。
もし、彼女に他の男がいて、
裏切っているなら携帯に連絡しろ、
そして、殺せ、というのがボスの命令。
だがソヌはそれをしなかった。
叶わない夢。
だがソヌはヒスの仕草の中に、
叶わない夢への扉を見た。
明白に決めていたはずの自分の人生、
裏社会で冷徹に生きてきたはずだった。
だが、心は揺れるもの、
風に吹かれて揺れる木々の葉のように、
もしくは風のように。
登場人物の掘り下げも弱く、
人間関係が不明瞭なのは否めない。
工夫の凝らされたアクションに比べ、
ストーリーは非常にシンプルである。
組織に忠実なソヌと、
組織に追われ制裁を受けるソヌ、
そして、組織に復讐するソヌ。
だが、イ・ビョンボンは飽きさせない。
ラブストーリーではなく、
フィルムノワール。
死者が横たわるのは血のカーペット。
まだ、荒っぽさは見える。
だが、酔えるフィルムノワールだと思った。