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第四章
初登場人物。 夢斗(ゆめと)、炎輝(えんき) 1 砂ジャリを踏んで進む金の長い髪薄い青い目の少女、天花は目の前に立っている屋敷の内部に向かって足を踏み出していく。 「止まれッ」 いかつい鬼のオイちゃんに止められた。 「・・・申し訳ないですッ!御嬢ッ」 まじまじ天花の顔を見たあと門の守っているオイちゃんが頭を下げる。 「お帰りなさいまし」 門番は大きな声で言う。 「ごくろうさまです」 目を点にして天花は言う。 「張り切りすぎると早くばてるよ」 隣の優男の成りした門番がいかついオイちゃんの鬼に言う。 「お帰りなさい、御嬢」 にこにこにっこりと優男は言う。 「新人さん?隠岐(おき)さん」 天花は優男を見て聞く。 「うんうん、新しく入った伊木(いき)。」 隠岐はいかついオイさんを見て言う。 「よろしくお願いしますっ」 体育会系のりの伊木さんでありました。 「今日は来焔さま?」 隠岐は天花を見る。 「うん」 天花は頷いている。 「どうぞ」 隠岐は戸をあけて天花を中に招き入れて戸を閉める。 天花は歩きだす。 ジャリジャリと石畳の音が響く。 「天花?早かったな」 来焔が縁側に座って近くには金髪金の目の鬼虎雄と銀髪金の目の龍伯が立っている。 「御久ぶりですね」 天花はにっこり笑う。 「月はどうですか?」 虎雄は聞く。 「良い意見を聞かせていただいているよ」 天花は言う。 「夜はあの性格直っているか?」 龍伯は聞く。 「・・・少しずつ直ってきてますよ」 天花は言う。 「問題大有班だな。こいつらは」 来焔は言う。 「もっとも、星が一番問題児だしな」 来焔がニヤニヤという。 「そんな人を任せますか?普通」 天花は溜息を吐きながら呟く。 「ムードメーカーは必要だろう?月と夜は上司たちが仲悪いからか二人も良く衝突しているらしいではないか」 来焔は言う。 「星のおかげで少しは喧嘩も無く平穏だろう」 来焔はいう。 「来焔さま、そろそろ本題に」 龍伯は言う。 「む」 来焔も真剣な表情をした。 「前の報告を受けてな、砂樹の方には龍伯と虎雄に守護に行ってもらう事になった」 来焔は言う。 「桜生院にこの二人をですか?」 天花は来焔を見る。 「立場を分かって言ってるのですか?」 天花は言う。 「分かっておるよ。門番も立たせているし、今は平穏、平和。襲撃も暗殺も無いだろう」 来焔は言う。 「お二人の寝泊りは?」 天花は言う。 「砂樹と紅珠で空き家を探してもらって買った。もちろん燃童家の金だがな」 来焔は言う。 「夢斗相手ならより強い龍伯、虎雄がいたほうがいいだろう。天花は勝てぬだろうし」 来焔は言う。 「分かった。」 天花は来焔を見る。 「ただ気をつけてね。私はともかくお兄ちゃんはここで一番必要なところにいるんだから」 天花はただまっすぐ、まっすぐ来焔を見て言う。 「分かっておる」 来焔は頷く。 「はぁ~頑固なお兄ちゃんだね・・・じゃ、帰る」 天花は手を上げて出ていこうとしている。 「お前よりかましじゃ」 天花はその声に振り返ってニカっと笑っている来焔を見て戸を閉める。 「さて、龍伯、虎雄よ」 来焔は龍伯、虎雄を見る。 「喧嘩などせず、あの家で御主等は生活をすることだ。任務は砂樹の守護、」 来焔は言う。 「こちらの仕事は・・・こちらの方でどうにかしよう」 来焔は言う。 「はい」 虎雄は頷く。 「来焔さま、われわれの仕事は送ってくれてかまいません」 龍伯は言う。 「分かったどうにか考えよう」 来焔は書類を見て言う。 「では、準備をしてきます」 龍伯は一礼をして出て行く。 「私も此れにて」 虎雄も出て行く。 「やれやれ、あの二人も歩み寄ってほしいものだ」 来焔は赤い空を見る。 「ワシらは、たった一人を亡くしてバラバラになってしまったな」 来焔は赤い空から目線を傍らの柱を見る。 今でも思い出せる。 黒い長い髪と暖かい青い目を持つ温和な笑顔の少女、自分のもう一人の妹であり、鬼ではないもう一人の妹。そしてもうこの世に存在しない少女。 その隣には淡い紫の短い髪を持つ金目の鬼・・・夢斗の姿も思い出せていた。 「過ぎたことか・・・もう届かぬな」 来焔は目を閉じる。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2005年07月29日 23時34分20秒
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