テーマ:介護・看護・喪失(5310)
カテゴリ:介護のお仕事 素敵な老人達
昨日は介護施設の皆と飲み会に行きました。みけマンマ、翌朝子供達が遠足でしたので、お酒は飲まなかったんですが、もう、みんなに会った第一声が
「みけマンマ、もう介護の仕事はしないの?みけマンマは介護の仕事、本当に合ってると思うよ。」 でした。 「施設のお客さん達は元気にしてるの?」 「それがさー、みけマンマが施設辞めたら、一気にレベルダウンしちゃってさー。やっぱりみけマンマの存在って大きかったんだな、ってみんな改めて思ったんだってば。新川さんなって、もう、鳩ぽっぽみたいになっちゃったよ。」 新川さん(仮名 80代 男性)は、入居するとき、かなり前情報が凄くて、びびったお客さんでした。 とにかく、暴力・夜間徘徊・奇声・罵声・夜間せん妄が激しいとのファックスが来ていて、しかも飲んでいる薬を見て 「きたよ~~~」 と思ったお客さんでした。介護の仕事をしていますと、まず、飲んでいる薬でどんな病気なのか判るようになります。 この薬か~~きっついな~~ でもって、ご到着した新川さん、目がいってます(滝汗) 「うあああーーー!!おおおおおーー!!」 「こんにちは~新川さん、今日のリーダーのみけマンマです♪よろしくお願いします♪」 「どおおおおーーーーー!!」 口から色んな物を出しながら絶叫。 ま、こういう人もいっぱいいます。 それでも、数週間もすると新川さんはすっかり慣れ、機嫌のいいときは会話も出来るようになり、そのうち冗談を言うと笑ったりと、施設の生活を楽しんでくれるようになりました。 ちゃんと大事にしている気持ちを伝えれば、かならず伝わるものなのです。 その新川さんが一番楽しみにしていたのが、お風呂です。 新川さんは立位保持(立っている事)が出来ないため、お風呂は寝浴という機械で寝たまま入るお風呂に入っていました。 「新川さ~ん♪お風呂入りましょうっか~~♪」 「お~~う♪み、み、み、みけマンマ~~入る~~入る~~」 お風呂に入ると、新川さんは必ずお風呂でいびきをかいて寝てしまいます。そして、寝ている間にひげを剃ったり、足の指を洗ったりします。 「新川さん~~~お風呂気持ちよかったですか~~」 「ああ~~~~いい~~お風呂、す、す、すきだな~~」 「じゃあ、行きましょうっか^」 「あれ、あれは!み、み、みけまんま~~あれ、あれ。」 「ああ~~あれね♪」 あれ、とは、入浴券のことです。来たばかりの頃の新川さんは、なかなか会話にならかったので、お風呂もどうだろう?ちゃんと入ってもらえるかな~と心配して、入浴した後に 「はい!新川さん、またお風呂来てくださいね!これ、次回の入浴券ですよ~~ちゃんと入浴の予約入ってますから、安心して、お風呂来てくださいね~~」 新川さんはそれからずっと、みけマンマの時は入浴券をくれ、というようになったのです(笑) もちろん、施設に入浴券なんてありません。みけマンマが、持っているメモ帳に 入浴券 とボールペンで書いて渡していただけなのですが、そのうち 「お、お、お前の名前、入ってない。名前。名前。」 と言うので、みけマンマの名前も書くと、嬉しそうに胸ポケットに入れていました。 そのうち、大好物はシュークリームというので、 入浴券にみけマンマの名前、 好物のシュークリームの絵を書いて渡すようになったのです(笑) みけマンマが辞める頃には、新川さんは施設で一番かわいいおじいちゃまになっていました。 その新川さんが、鳩ぽっぽのようになってしまったとは。 「もうさー新川さん抜け殻みたいだよ。みけマンマが見たらびっくりするわ~。」 「そっかあ。また会いに行かなあかんな~。」 それでも、 「介護の仕事はしないの?」 には 「しないよ。」 でした。みんな、もう介護の仕事には疲れ切っていて、辞めたいけど辞められない。 「だって、自分が辞めたら、お客さんどうなっちゃうんだろう、って思うと辞められないよね。」 「でしょ、この業界は、こういう博愛精神に溢れた人間の善意をだねー、逆手に取ってるんだってば。そういう気持ちで薄給でも頑張って働く人間の足元見てるんだよ。 だから、この業界の体質はいつまで経っても変わらないし、いつまで経っても重労働で薄給なんだよ。 見た!?ここの居酒屋のアルバイト募集、扉に貼ってあるけど、うちら介護職の時給より高いんだよ。ちうか、介護スタッフの時給なんて、レジ打ちより安いんだよ。 安くてもやりがいがあるから、って言えるほど、世間がこの仕事を認めてると思う?これが資格職だと思える?日本の福祉業界の体質が変わらない限り、自分は介護の仕事をすることはないし、日本の介護に未来は無いと思うね。」 これは、率直な感想でした。 今、経理の仕事していますけど、そりゃー、もう、なんて介護の仕事って悲惨なんだろう、って思いましたもん。まさに、スタッフのボランティア精神だけに頼って回っている。 これが現実。 人で成り立っていく福祉業界において、あまりに現場で働いている人間を軽んじている、それに甘んじていられるほどの博愛精神を、みけマンマは持ち合わせていなかった、ということです。 いつか介護の仕事に戻る事はあるんだろうか? 今のところ、ないな~と思いながら、結局午前様まで食べ続けていた、みけマンマでした(笑) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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