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カテゴリ:カメラ、レンズ、写真
旧ソ連の数学者で光学デザイナーの
ミハイル・ルシノフ氏により、 1935年に開発された 新しい対称型広角レンズは、 広角特有の周辺減光を改善したもので、 革命とも言えるものだった。 やがて、この理論を元にした 航空測量に使われる軍事偵察の為の新型レンズが 公にされることなく作られる事になる。 当時、カールツァイスには 1933年にロバート・リヒター氏が開発した トポゴンがあったものの、 コサイン4乗則による周辺光量の減光が激しい為に 専用のグラデーションフィルターが用意されていた。 この広角特有の周辺光量の補正に関しては、 カールツァイスで主任技術者を務めていたヴァンダースレブ氏が、 一冊の本にまとめている位に難しい問題であったのだ。 戦後の1946年になると、 旧ソ連が西側に優位性を誇示する為なのか 既に新型のレンズの存在が知られていたのか分からないけど、 ようやくミハイル・ルシノフ氏により 新しい対称型広角レンズのパテントが出願された。 ![]() 後に民生用として作られた 35mm判用のルサール20mmが 発表されたのは1957年だった。 それ以外は軍事用の特殊レンズ扱いだったらしく、 表に出てくる事はなかった。 画角95度のルサール20mmf5.6の構成図。 ![]() メインの凸レンズを 強い負の凹メニスカスレンズで囲んでいる。 これが横方向から見ても 周辺減光が殆ど無くなるほど大きく拡大させ、 鋭角な横方向から見ても開口部が丸くなる。 一方、西側では、 戦後の1946年に スイスに移り住んだベルテレ氏が ヴィルト社の航空測量用レンズに携わり、 1936年のビオゴン35mmf2.8の後部を分割した上で ルサール氏の理論を取り入れ 負のメニスカスを両端に追加したレンズを考案。 その成果は大判用の対称型広角レンズとして、 画角70度の213mmf4アヴィオゴン 画角90度の152mmf4ユニバーサル・アヴィオゴン 画角120度の88mmf5.6とf4のスーパーアヴィオゴン などが発表された。 元から航空測量用として開発されたアヴィオゴンは 歪曲収差の小ささが特徴だった。 ![]() 次にベルテレ氏は 1951年にアヴィオゴンをアレンジして、 画期的な民生用の超広角レンズだった ビオゴンをカールツァイスで開発する。 ビオゴン21mmf4.5の構成図。 凹凸 絞り 凸凹という対象型の基本配列は、 ルサールとも共通している。 ![]() ビオゴン21mmf4.5のMTF。 開放からコントラストがあり、 1950年代当時は驚異の性能だった。 ![]() 35mm判用の21mm以外で 市販されたものは以下の通り 6X6判用・38mm/6X7判用・45mm 6X9判用・53mm/9X12判用・75mm 他にもNASA向けで アポロ計画のハッセルにも使われた 60mmf5.6があり、 38mmf2.8が試作されている。 航空測量用のアヴィオゴンをベースにした ビオゴンの特徴の一つが、 歪みの少なさだ。 1958年に発表された21mmf4.5の 最大半径方向の偏差は40ミクロンであり、 0.1%未満という歪みは 同じ画角のレトロフォーカスの 2~4%という値と比べると かなり違う事が分かる。 ビオゴンの他にも ルシノフ理論を取り入れて作られた超広角レンズには、 シュナイダーのスーパーアンギュロン ローデンシュトックのグランダゴンなどがある。 実はルシノフ氏のお膝元である旧ソ連でも、 ビオゴンに倣ったスプートニク4というレンズが GOIで1959年に開発されていた。 焦点距離20.7mmf4.5画角92度の スプートニク4のレンズ構成図をみると、 ビオゴンそのもの。 ![]() キエフ/コンタックスマウント用の スプートニク4の外観。 ![]() 世界中に衝撃を与えた 画期的な35mm判用の21mm広角レンズは、 解像度とコントラストに優れ 歪みの少なさに加え 周辺光量の減光も小さい事で絶賛された。 コンタックスⅢAに付けたビオゴン21mmf4.5。 世が世なら一般人には全く縁のない 超高価な雲上超広角カメラだった。 ![]() 今のデジタル時代の視点から見れば 割と穏やかな印象で、 今時のキリキリとした固さとは無縁の 50年代の味わいともいえる。 個人的にビオゴン21mmを使う場合は、 1950年代のドイツ光学界が頂点だった頃の 圧倒的な高い金属部品の工作精度と 造り込みの手触りを味わうためと、 当時のカールツァイスとツァイスイコンに敬意を表す為に ボディーはコンタックスⅢA以外に考えられない。 レンズもボディーも ドイツのメカフェチの極みだ。 ビオゴン21mmf4.5の作例(全て銀塩写真) 再開発で閑散としていた新宿の旧アルタ前。 ここは待合場所としても使われる場所だけど 金色の”みらいおん”も寂しげだ。 ![]() 見慣れた新宿紀伊国屋の入り口。 ここら辺は今後も変化はないのだろうか。 ![]() 日比谷ゴジラスクエアのビルの谷間では ゴジラが吠えていた。 ![]() 各部屋に取り付けられたエアコンの室外機が 一斉に動く事を想像しただけで暑苦しくなる。 ![]() 鳥取のレトロ物件は 近々消えてしまうと思う。 ![]() 境港駅前にいる河童の三平。 ![]() 水木しげる記念館前には 鬼太郎の誕生を見守る目玉おやじ。 ![]() 冬になって何もない畑で立ち続けている案山子。 ![]() 放射状に枝を伸ばした木の根元で 寝そべって休んでいる案山子。
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最終更新日
2026.05.09 19:00:12
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