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mik.hamaのいい加減にします

2017.12.17
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カテゴリ:クルマ
初期型の2003年式・シトロエンのC5が手元にやって来たのはいつだっただろうか。
このクルマは、7年ほど前に不慮の事故で亡くなった大切な友人が乗っていたもので、
他に引き取り手が無いと言う事で親族の方から譲って頂いた、いわゆる形見である。

個人的にシトロエンは、AXを14年+9万4千Km程乗っていたくらいなので昔から好きだ。
ただ、日本の自動車ユーザーからすると、
ちょっと変わった好き者にしか理解できないクルマでしかなく、
名前を覚える必要もない自動車メーカーの一つだと思う。

所で初期型のC5は、シトロエンが新世紀の新時代のシトロエンと言う事で、
世界唯一でご自慢の、バネはおろかダンパーもないハイドラクティブ・サスペンションを武器に、
メルセデスのEクラス辺りをターゲットに送り出したけど、
思惑が外れて全く売れなかった不人気車だ。

窒素で満たされたゴム袋をオイルで加圧するアキュームレーターを応用した、
気体と液体によるサスペンションシステムのシトロエン・ハイドロニューマチックは、
ポール・マジェスの研究により1955年のDSにより完成された。
その電子制御バージョンがハイドラクティブでXMへの採用が最初だった。

前作の、ベルトーネデザインのクサンティアに比べると、
そのデザインが災いしたと思われるが、フランス車は本来ヘンチクリンなものであり、
元に戻ったともいえるのだけど、慌ててフェイスリフトを施しても販売には殆ど効果は無かった。

当時のカタログの表紙。


個人的にも最初は変なデザインだなあと思っていたけど、
友人が手に入れて何回か見ている内に慣れてきて、
やがて、海洋性の哺乳類みたいなデザインに親しみを持つようになった。

手元にあるのは4気筒バージョン。
元々シトロエンは、大柄なボディーを小さめなエンジンで走らせていたので、こっちが本流である。


このクルマの美点は生活の道具として色々挙げられるけど、
まず、友人が持っていた冬用と予備のホイールの2セットを引き取る時に、
リヤシートを畳んで載せたところ、8本のタイヤを軽々積めた荷室の広さだろう。
変なワゴンよりも荷物は積めるのだ。

また、友人は部品取り用のエグゼクティブも持っていたけど、
どうやら初期型のC5をずっと乗り続けるつもりだったと見える。

私は、一番気掛かりだったトランスミッションのAL4を取り出し、
リアシートを革張りに換えたのち、もう一台のC5は処分するしかなかった。

問題はATミッションのAL4で、
設計が古いので大きなシフトショックと、実質的には3速+OD付である点だ。
ハイギアードの4速なんか、60Km/h+マニュアルシフトにしないと入る事がない。

取り外したAL4は結構重い。一人で持ち上げるのはキツイ重さである。


フロントはオリジナルのベロアで、
リアは部品取りから外した革張りのシートに変更してある。
足元も広いリアシートは殆どお客様用の席だ。
フロントシートには角度が自由に変えられる肘掛けまで備わっている。

実は、7人乗りのセブンパッセンジャーズ・リムジンという、
最高のフォーマルカーがあるけど、これは運転席が頑丈な革張りで、
正装した御主人と奥様と友人がシャンパンを傾けながら座る後ろのシートは、
汚れたら張り替える絹かウールのモケットであった。

本来とは逆のレイアウトだけど、
セブンパッセンジャーズなんか今の時代には絶滅してしまったし、
現在の高級車のシートは革張りという時代である上に、
そもそも共和制のお蔭で高級車がとっくに絶滅しているフランス車なら、
これはこれで許されるだろう。



このシートが、大分ドイツ車寄りになってしまった最近のフランス車とは違い、
古くからのフランス車乗りなら理解できる、安グルマでも手を抜かなかった時代の座り心地だ。

C5は、これにハイドラクティブ・サスペンションである。
世界中でもこのクルマしか得られない乗り味。


とにかくフランスの実用車は、慣れ親しんだブレッド&バターというか、
古くからある日常品のように何てことがない所が特徴だ。

いつも何となくエンジンやサスペンションといった機械を主張していて、
日本ではどういう訳か上から下までプレミア感丸出しで、
どことなく人を下に見ているようなドイツ車とは全く違う。

ヨーロッパでも早々に、自由・平等・博愛の元に階級社会を壊してしまったフランス。
そのお陰で金持ちの為の高級車を根絶やしにして大衆車に専念してきたフランス車。
世界中のクルマの中でも一番長い間、人間の近くに寄り添ってきたのだ。

中でもシトロエンは市販FF車のパイオニアである。
昔から安いクルマでも居心地の良いシートと、
軽快で軽いタッチと、直進安定性が身上だった。

昔のフランス車というと、総じてコンパクトで軽量だったけど、
時には人とか荷物を目一杯積み込み、小さなエンジンを思いっきり回して、
例の石畳は勿論、一たび郊外に出ればアクセルをベタ踏みに近い状態で、
大きな木の根でボコボコになっているような酷い道でも、
驚く程長いサスペションストロークで走り抜けられる生活の道具であった。

フランス車の人懐っこさと可愛さは、昔から付き合いのある幼馴染みたいだ。
ドイツ車は単純に仕事の仲間という所で、良い奴なんだけど休みの日まで付き合いたくないな。


特徴的なヘッドライトは、BMWよりもずっと耐候性があり14年経ってもクリアである。
丸っこくて角というものが全くないエクステリア。
最初は変だと思っても、見慣れると海洋性哺乳類みたいで、これはこれで悪くないなと思えてくる。
遠目からでもC5だなと分かるけど、行き交う事はまずないクルマだ。


リアビューも独特のデザイン。
独立したトランクのある4ドアセダンのように見えて実はハッチバックである。
使い勝手はこっちの方が遥かに上だ。フランス流の合理主義丸出しである。


このクルマで感心するのがドアを開けた時の感触と音である。
FFだけどアッパーミドルに相応しい、重厚で剛性感のある金庫の扉みたいな感じがある。
これに比べたらBMWなんか国産車と同じくらい普通である。

既に走行距離は10万キロオーバーだけど、
剛性の高いガチっとしたボディーのお陰で、
まだハイドラクティブのサスペンションも設計通りの動作をしていると思う。

このクルマの高速巡行は文句の付け様もないけど、
市街地をトロトロ流す走りも大好きである。
休日の買い物や、人の送り迎えが主な用途だけど乗る度に良いなあと思う。


今ではそこら中で見掛けて、ある種の記号が付いたようなドイツ車。
クルマ好きで今は国産車だけど、実はベンツとかビーエムなんて口にするのも恥ずかしいと思う人は、
いずれ国産車よりもフランス車を選んだ方が、最初はネガな部分が気になるだろうけど、
やがて独特の世界に親しんで友達になれば、間違いなく後々の財産になる筈だ。

とはいえ、今ではシトロエンはハイドロを無くしてしまい、
一番シトロエンらしい特徴を持つ、生活の道具と言うべき小さいクルマも入らなくなった。

やたらとデザインコンシャスに偏ってしまい、
売っているのは、殆どC4とSUVのカクタス位しかないのは寂しい限り。
別ブランドで高級志向のDSに至っては存在理由が全く分からない。
もう最近のシトロエンには、殆ど興味が湧かなくなってしまったのは実に残念である。

2018-7月追記
2020-6月 車検取得






最終更新日  2020.06.14 14:35:03
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