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2019.08.24
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カテゴリ:カメラとレンズ
個人的に、偉大な初代ニコンFの後継機が企画され始めたのは、
実は1960年代の割と早い段階から行われていたのではないかと思う。

余りにもFの人気が大きかったので、
ニコンは出すに出せない状況だったのではないかな。


既存のレンジファインダー機のニコンSPをベースに、
一眼レフ用のミラーボックスを押し込んだ初代F。
その成り立ちからは、あのライカM3ショックに加えて、
高コスト化へ一直線だったレンジファインダーに先が見えなくなった、
当時のニコンの狼狽ぶりが伝わってくるようだ。

ニコンFは、有体に言えばSPを増改築したカメラであり、
既に定評のあったレンジファインダーのカメラをベースに、
ひたすら世界トップレベルの一眼レフという一点だけを目指したカメラだった。

そのFが世に出て、やがてタフなプロ用のカメラとして認識されていき、
神話まで生み出していたFに対するニコンの思いはどうだったのだろうか。

社運の掛かった一級のプロ用一眼レフを作るという前提であれば、
恐らく、最初から全て専用設計をしたカメラを作りたい、という思いはずっとあった筈だ。

結局、初代のFは1959年から1974年まで、
次のF2と4年間もダブって生産される事になっていく。


F2が登場した1971年にFをやめられなかった状況を作ったのは、
Fを真面目に世界のどこにもない、ホンモノのカメラに仕立てた、
松永さんをはじめとするニコンの技術陣にもあるけど、
主な原因は、Fに熱狂して先が見えなくなった内外のユーザーだったと思う。

そのニコンF2が、1971年9月に発売される事になったのは、
キヤノンが本腰を入れて作り上げて、1971年3月発売された、
本格的プロ用一眼レフ、F-1の存在だったのは間違いないだろう。

この時点で、何とも驚くべき事だけど、
ニコン社内では、既にF2は1年を超えて、
量産試作とテストを繰り返していたらしい。

それ以前の、ニコンF以外にプロ用の目ぼしいカメラがなかったという状況では、
既に世界中から認知されていたFの軛から逃れることは難しく、
結果として、F2はアクセサリー類もFと互換性があるものが多くなり、
外装デザインは、殆どそのまま踏襲する事になったのは仕方のない事であった。


F2は機能という点で、Fとそれ程違いのないものではあるけど、
カメラ本体のメカニズムに関しては、作る側の理想を好きに出来なくなった、
1973年に始まる、オイルショック以前に企画されていたのは僥倖。

膨大なニコンFの使用実績データを叩き台にして、
偉大なFを上回る機械式のマニュアルカメラを目指していた以上、
外観はともかく、中身は単なるFの改良版という以上に、
当時のニコンの理想がぎっしり詰まっているカメラがF2である。

横走りシャッターでは限界と言える幕速の高速化と耐久性を始め、
SP改のFでは出来なかった事を含めて、技術者のエゴと言えるものまで、
間違いなく相当な範囲で可能な限り、このカメラには投影されている。


ついでに、今に続く、報道はニコンでコマ―シャルはキヤノン、というカビの生えた認識は、
当時のニコンF/F2とキヤノンF-1の使われ方の違いだろう。

シビアな露光が必要な、カラー・リバーサルのフィルムが必須のコマーシャル部門では、
交換レンズのカラー特性を揃えて、最初からTTL露出計内臓のF-1が選ばれるのは当然だった。

一方、F2の露出計システムは、Fから続く後付け構造が基本。

これは70年代当時でも、時代遅れと言う事ではなく、
この頃の報道カメラマンは、どうもスタジオ撮影のコマーシャルカメラマンを下に見ていてたようで、
モノクロフィルムを詰めた、露出計もない複数のニコンを使いこなす事がステータスでもあり、
それは、社名入りの腕章以上に、遠くからも分かる一種のプレスカードであったと思う。


手元のニコンF2を眺めてみる。
一番目に付く改良点は、面が取られたエッジと、
上面が丸くなり革が張られたペンタプリズムカバー。

これは、恐らくカバーの上部に何かぶつけても傷を付けない配慮だろう。
正面からは先代のFとの違いが余り分からないという巧妙なデザイン。
大体、あの特徴的なFのピシっとしたプリズムカバーの鋭利な形状は、
プレス工程も多くて、材質も選ばないと、割れたりシワが出たりして歩留まりが悪そうだ。

機能としては、シャッターの最高速度が1/2000になり、
シャッターボタンの位置と、裏蓋が開閉式になったのが大きな変更点だけど、
Fから遠く離れたものではなく、遠目からもFと繋がったカメラであると容易に認識できる。

操作してみると分かるけど、安っぽさを微塵も感じさせない、
精度の高い部品がミッシリと組み合わさっている感触が伝わってきて感動する。
左側にある、表面がピカピカでキッチリと旋盤加工がなされた、
ガタも遊びもない巻き戻しクランク一つでも、その凄さが分かると思う。


F2は先代のFや後継のF3に比べると地味な存在だけど、
実態は、ニコンのプロ用ツールに対する理想が詰まったホンモノのカメラ。
NASAのアポロ計画やスカイラブ計画にも参加したプロ用ツールだ。

そのプロ用カメラに軽量なコンパクトなレンズを組み合わせると、ちょっと特殊なカメラっぽくなる。


次のニコンF3も、保守的なニコンユーザーの電子シャッターアレルギー対策で、
F2と4年ほどダブっているけど、これ以降のF6まで外装デザインがジウジアーロになったので、
F2が、プロ用一桁で、ニコン最後のオリジナルデザインのカメラと言う事になる。





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最終更新日  2019.08.28 21:08:51
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