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2020.02.08
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カテゴリ:時計
香港は、主にまだ中国に返還される前に何度も訪れたけど、
華やかで入るのに勇気が必要なブティックの超高級品から、
道路わきで広東語しか通じない、直にビニールシートの上に置かれた低俗コピー品まで、
ありとあらゆるものが、それ程長くない距離のネイザンロードに沿ってひしめいていた。

時計も色々あり、日本ブランドの時計もそれなりに地位はあった。
中には、Automatic 21 Jwelsの刻印があるのに、
針の動きは明らかにクオーツというパチモンだったりするけど、
それを見てもセイコーやシチズンはそれなりに人気があったのだろう。


ネイザンロードの割と上級な繁華街の尖沙咀(チムサーチョイ)で、
少し外れた場所に良く顔を出していた時計屋さんがあった。
お目当ては、数千円で買えた国産ブランドの機械式時計である。

そこはパチモンお断りの時計屋さんで、元から日本のブランドが主力らしく、
クオーツやデジタルに混ざって、日本では見掛けない海外向けに作られた、
機械式国産ブランドの時計が豊富で見ているだけで楽しかった。

実は機械式時計に関して、以前にドイツのノモスに触発されて、
自分で機械式時計を形にして見たいなと思い、
地元が諏訪精工舎のお膝元である以上、まずセイコーさんへ打診したところ、
OEMの場合は、最小ロットが1000個という数字と、
お目当ての自動巻きムーブメントは生産中止で、早々にとん挫した時計の事がある。

この時計屋さんに何回か通っている内に、ふと店主に半分冗談で、
「自分もこういう機械式の時計を作りたいけど、特にムーブメントが難しいんだよね」と言うと、
「それなら、すぐそこのペーパースタンドで時計雑誌を買ったらいい、
そこにはあらゆる香港の時計に関するパーツメーカーが出ているから、
何か参考になるんじゃないか」と言うのである。

帰国してから、まあダメだろうなと思いつつ、
試しにその雑誌に出ている香港ETAに、
ムーブメントの入手をFAXに書いて打診してみた。

何も期待しないでいたら、やがて日本のスウォッチグループから連絡が来て、
銀座のスウォッチ・グループ・ジャパンへ赴き、打ち合わせをする事となった。

対応してくれた担当部長さんも、懇切丁寧にムーブメントの説明や入手法に関して教えて頂き、
やがてスイスからカスタマイズされたETA社の特注ムーブメントが到着したのは、
まだETAがスウォッチグループ以外の系列には出荷を手控えて、
行き先を厳密に管理して投機目的の売買を禁止する前だった。


オリジナルの時計は、
国内で時計を作っている地元の元セイコーマンをツテに、
ムーブメント以外は全て国産で賄う事になるけど、
今時珍しい金型からケース部品を作るやり方に拘って、
何とか完成するすることは出来た。

ETAのムーブメントに関しては、直ぐに日本と香港のブランチは、
ムーブメントの投機的な売買を含めた管理強化で廃止。
それでも、スイスのETA本社と直接の付き合いは継続して、
以降、何の問題も無かったのはありがたかった。

ただ、時計業界は最小ロットが1000という数字が基本。
ETAからのムーブメントは、割高な1ロット100個の最小で分けて貰う状況の上に、
時計一つを作るにしても、素材でも時計に余り使われたことのない物に拘ったり、
どこにもない時計を目指したので、生産数は1機種で数十本が限界。
お蔭さまで売れ残りは余り無かったけど、とにかく手間暇が掛かる割に商売としてはスカスカだった。

やがて最初にパーツや時計組み立てを頼んだ所は、思う様なモノにならなくなってしまい、
次に探し出した東京の隅田川沿いの工房は、銀座和光にもクロックを納めている位で良かったのだけど、
いつの間にか廃業してしまい高価な金型共々に音沙汰が無くなってしまった。
もうこうなると気力も無くなって、ついに時計からはアシを洗う事になる。


大好きな時計をプロデュースする夢を叶えてくれた香港の時計屋さんで購入した、
国産ブランドの時計は今でも大事にしまってある。
実は、いつか店主に作った時計を渡そうと思っていたのだけど、
返還後から最近の香港には、わざわざ行く気力も機会も無くなってしまった。

値段の割にきちんと真面目に作られているのは流石の国産ブランドと言うべきか。
生産は全て香港だと思うけど、そこら辺のパチンモンとはレベルが違う。
どれも実用品としては申し分ない時計だ。

香港で購入したシチズンの機械式時計。真面目に造り込まれていて安っぽい感じは無い。
中には、カレンダー表記にアラビア文字があったりして、
電池の交換が難しい地域には人気があったらしい。


同じく香港で購入したセイコーの機械式時計。こっちも真面目に造り込まれていて安っぽさはない。
定番のセイコー5以外の余り見掛けない時計を選んでみた。


高級時計といえば機械式の昨今、高い時計は投機的な意味合いもあるらしい。

こっちは、そういう生臭い話とは全く無縁の、誰でも新品が数千円で購入できた実用品ではあるけど、
別に数十万円クラスのスイス製時計と比べたところで、性能的に何の違いもないんだよ。





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最終更新日  2020.02.08 19:30:06
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