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カテゴリ:オーディオ・音楽
カセットの標準規格で関係のあったソニーとフィリップスが、
レーザーを使用した非接触の音楽媒体の開発に着手したのが1979年。 収録時間の件で、当時のソニー副社長で声楽家出身だった大賀さんが、 親交のあったカラヤン氏への相談と提言から12cm収録時間75分と決定される。 やがて1982年にレコード業界の反対を押し切り発表されたCDは、 僅か2年後にレコードの売り上げを追い越す事になる。 CDが登場したばかりの当時は、 音がサッパリとしていて厚みがないとか言われて、 実際にアナログ録音でAクラスのアナログディスクに比べると、 デジタル録音によるアナログディスクも含めて、 物理特性ほどの良さは余りないなと感じた覚えがある。 同時にオーディオ機器もデジタル対応というのが売り文句で、 わざわざ無意味なステッカーまで張って売られていたのを思い出す。 CDの最大の特徴は、ノイズのないDレンジの広さと、 特に低域がアナログを上回る可能性を秘めていたけど、 その一方で、アルミ蒸着面に寿命があると言われて、 大体、20~30年でダメになるだろうという話もあった。 手元に、ソニーが出たばかりのデジタルの可能性に挑戦した、 1984年発売の「梵鐘」というCDがある。 もう40年近く前のCDだけど、今でも再生に何の問題もないし、 リアルで歪感のない音は、最新のデジタル録音が裸足で逃げ出すレベル。 このCDは、オーディオ評論家の長岡 鉄男さんもチェックで使っていたけど、 聴きどころは、東大寺、方広寺、知恩院だろうか。 内容は、ひたすらお寺の鐘の音をフィールド録音で集めたものだけど、 音場感とDレンジの広さは今でも一級品。 撞木が鐘に当たった瞬間のピークから、その余韻が消えて行く様が何とも見事。 オマケに虫の声や鳥の鳴き声もリアルで雰囲気も抜群なので、 静かな状態でも、その場にいるような臨場感が部屋を満たし続ける。 このCDには、オーディオ評論でも有名だった、大御所の高城 重躬さんのライナーノーツ付。 ついでに、作家でオーディオでも有名な五味 康祐さんの好敵手だったけど、 五味さんが高城さんに倣った、巨大な自宅のコンクリートホーンを叩き壊して決別したのは有名な話だ。 個人的には高城式のマルチアンプ+長大なラッパ型スピーカーの組合せは好みではないけど、 CDのライナーノーツにわざわざ書くほどに梵鐘の音が好きな高城さんは、 実は自宅でスズムシを飼い鳴き声を録音して、自宅のシステムで聴いているような人でもあった。 このCDを思いっきり鳴らすと、梵鐘本来の効用であるところの邪気は軽く吹っ飛んでいくと思う。 年の瀬にリピートで鳴らし続けると煩悩も消え去るかもしれないけど、しんどいだろうな。 もう1枚、初期の頃のCDを紹介。 オーディオ評論家で、SLファンの石田義之さんによる自主製作盤で、 1974年から1983年までに録音されたものをまとめて、1983年に登場。 これは、録音からマスタリングまでこなした石田さんの面目躍如。 トラックごとの器材が全て記録されていて、デジタル以外のアナログ機材では、 ナグラのオープンデッキとファントム戦闘機用の48V電源を組み合わせて、 ナグラマスターという76cm/Secと同等のDレンジを確保するイコライザーを使ったり、 カセットでもテクニクスのRS-686Dを、倍速のメタル対応にして2トラックに改造した上で、 オープンの19cm/Secと同等の性能を目指している、といった具合。 とにかく、DレンジもFレンジも広くて耳障りな音が無いので、 ついボリュームを上げてしまうけど、ちゃんと「パワーの上げ過ぎにご注意」とあるように、 スピーカーを破壊する恐れがあるので危ないCDである。 殆ど、リミッターとか使っていないようなので、 SLが迫ってくるときは部屋中に爆音が充満して思わず逃げ出したくなる。 重い金属の塊が、鉄のレール上に鉄の車輪を乗っけて、 煙と蒸気を噴出しながら迫ってくる迫力はちょっと他には見当たらない。 上記の2枚に使われたデジタルの録音機材は、当時のプロ用で最新機材だったソニーのPCM-F1。 たったの14ビット機ながら、スウェーデンのBISでも長い事使われた名作だ。 この古いCDを聴くと、今のハイレゾも含めて、録音の方式なんて大した問題ではない事が良く分かる。 家の北側にあるCDやLPを置いてある音楽部屋には、 除湿器の傑作であるカンキョーのコンデンス式除湿器が置いてあり、 シャーパーイメージのイオニック・ブリーズと組み合わせて、 毎週末に静音モードでじっくりと除湿をしている。 とにかく、アルミ蒸着された高分子材料には湿気と紫外線と高温は禁物。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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