12月公開の役所広司さん主演のヴィム・ベンダース監督作品/9月に地元開催の蓼科高原映画祭/川上監督と長野相生座
先日、”X”(=Tweeter)で初めて知ったのだけど、10月23日開幕の第36回東京国際映画祭の審査委員長として、来日するヴィム・ベンダース監督が、日本の役者さん達と日本で映画を製作していたらしい。元々は2020年から始まった柳井康治氏と日本財団による、東京の公共トイレ改修事業に付随したプロジェクトらしく、16名の安藤忠雄さんをはじめとする建築家や、クリエイターさん達が関わっている、主に渋谷区で行われている事業らしい。ベンダース監督とのコラボは2022年5月に、”THE TOKYO TOILET Art Project wth Wim Wenders”として発表された。365日公共トイレを綺麗に維持する為に働く人を主題にした映画に関して、ベンダース監督は最初戸惑ったものの、安藤さん達や役所さん達と一緒に、新しいチャレンジと社会的意義の為に作品を作る事になった。その映画というのが役所広司さんを主演に迎えて、第76回カンヌ国際映画祭で主演男優賞を受賞した、”PERFACT DAYS”だ。ベンダース監督が日本の公共トイレで感じた事を元にした映画は、今年の12月22日に全国公開される事になり、機会があれば映画館にも行きたいし、映画ファンはいつでも手元で観られるDVDの発売も待ち遠しい。オフィシャルサイト https://perfectdays-movie.jp/秋はあちこちで映画祭が行われるようだけど、地元の諏訪でも小津安二郎記念・蓼科高原映画祭というイベントがある。何と言ってもベンダース監督は、”ベルリン・天使の詩”のエンディングロールで、最後に”安二郎に捧ぐ”なんて入れるほどの小津ファンである。個人的にも小津作品はポチポチと見直しているけど、昔観た印象と大分異なって淡々とした中の滋味深さに圧倒されている。例年の映画祭では、短編映画を募集して現役監督により審査が行われたり、小津さん縁の映画人を招いてトークイベントとか、小津作品とか色んな映画を上映してファンを喜ばせてきた。イベントの裏方を支えるボランティアさん達も街中で見掛けて、県外からもお客さんが訪れるらしく、特に茅野駅周辺の空気は小津監督へのリスペクトに満ちていて、独特の温もりのある雰囲気を醸し出している。今年の第26回映画祭はコロナの5類扱いと共に、小津監督の生誕120周年という節目で、茅野市街は再びあの温もりに覆われるだろう。チケットは既に8月23日から発売中。9日間のフリーパスは¥4.5004枚綴りの回数券は¥3.000大学生以下は前売り¥600/当日¥800オフィシャルサイト http://ozueigasai1998.com/街角に貼られたポスター。これだけで街の雰囲気をガラッと変えるパワーがある。どうせならヴィム・ベンダース監督を、蓼科の無藝荘と映画祭にご招待してみたらどうかな。その為の協賛金なんか何とでもなるだろうし、ベンダース監督が一目置く役所さんも、縁あって30年以上に渡り諏訪と関りがあって、八ヶ岳の麓に別荘があるらしいぞ。ダメ元でも行動する事に意義はあると思うぞ。話しは変わるけど、日曜日の朝6時に起きていれば、寝床の枕元にあるラジオでFM放送を聴いている。そのプログラムは1時間半のサンデーフリッカーズという、落語家の春風亭一之輔さんがメインパーソナリティーの番組で、いつも7時からは色んなゲストを呼んで対談をしているのだけど、9/2のゲストはドキュメンタリー映画の川上アチカ監督だった。お蔭で、監督初の長編映画という、”絶唱浪曲ストーリー”という作品の裏話を聴けて、既に映画を観ている一之輔さんとの対談のお陰で、映画ファンには気になる映画が増えたのはラッキーだった。ストーリーは港家小柳(こりゅう)師匠に惚れ込んで弟子入りした港家小そめさんが、一本立ちの披露目興行(ひびろめこうぎょう)を行うまでのドキュメント。監督による小柳師匠の病床での裏話だけでも、観る価値のある映画だと確信できる。それから小柳師匠が亡くなってから小そめさんを拾った、現役最年長の浪曲師である100歳越えの玉川祐子師匠が良いな。この映画が良くある暫くしてから企画された、プロの役者による脚色まみれというリメイクではなくて、シンプルなドキュメントという潔さがとにかく良い。川上監督自身が全国の映画館で、舞台挨拶もされるという事も嬉しいニュースだ。地元の長野県を調べてみると長野相生座・ロキシーのようで、あの権藤アーケードにある渋い文化遺産の映画館と、浪曲という取り合わせはピッタリなのだけど、残念ながら舞台挨拶はウイークデーの12日で難しい。映画自体は9/8~9/21まで上映という事で、機会があれば、あの何とも渋い映画館に行ってみたいのだけど、これもDVD待ちになるかもしれん。9/5追記。