スウェーデン・コスタボダの手造りガラスは北欧の光そのものだ
Konungariket Sverige(コーヌンガリーケト・スヴェリエ)というのが、スウェーデンの正式名称であると言う事を全然知らなかった。日本語の当て字「瑞典」の方が何となく記憶の片隅にあるほどである。そのスウェーデンで、現存している欧州最古のガラスメーカーがコスタボダである。1742年創業のBodaと1864年創業のKostaが、1960年に合併して今に至っている。この地方にガラス技術を伝えたのは、既に13世紀にはヴェネツィアから伝わったガラス技術を有していた、ボヘミアからやって来た人達のようで、当時のボヘミアでは機密扱いの父子相伝の技術であった。いずれにせよ。今年275周年を迎える老舗である。当初は、窓ガラス、シャンデリアに始まり、やがて飲み物用のグラスの製造を手掛けるようになっていった。更に、1840年代にはプレスガラス、1880年代からはカットガラスを製造。最初にコスタボダのガラスに出会ったのは、もう30年近く前の事で地元・諏訪の北沢美術館である。この北沢美術館には何度か足を運んでいたのだけど、ガレやドームのガラスコレクションでは一級と言う事で当初から有名だった。ここの土産物売り場に置かれていたのである。良いなあ思いつつも、小さいくせに高いなという印象で買う事はなかった。やがて、諏訪ガラスの里という、ガラス工房と博物館が一緒になったものが出来て、そこに割引されて売っていたのである。早速買ったのが、青い一輪挿し。名前は確かウインドウ・オブ・ピースと言ったと思う。その後は、酒器に良いなとバーテル・バリーンのサテライトや、シェル・エングマンのボンボンを買い込んだ。一つずつ手作りなので、同じものでも微妙に違うので、一番のお気に入りだったサテライトのぐい呑み用グラスは3個、ボンボンの鉛筆型のペーパーウエイトは2個ある。やがて、まだネットのない頃にエアメールでやり取りして、スウェーデンのショップから直に買った事もある。日本では手に入らないものや、送料を入れても日本で買うよりは安かったのである。ただ、向こうからの送り状の書き方がおかしくて、余計な税金を結構な額で取られて、その払い戻しに苦労した。ミレニアム記念のボートというオブジェと、ペアグラスを最後に殆ど買わなくなったのは、昔ほど良いなあと思うものが無くなってしまった事が大きい。今では、手に入らないコスタボダ達は、いつも見える所に置いてあるけど飽きる事が無い。小品が多いのは酒器で使うためで、大きいものだとサテライトや鳥の形をした水差しがある。左がバーテル・バリーンのサテライト。右奥がシェル・エングマンのボンボン。北欧の光をそのままガラスに閉じ込めたような、柔らかい独特の表情と輝きが特徴だ。酒器用のコスタボダ。本来はアクアビットを飲む為のものだと思われる。小さいけど、手間の掛かる手仕事で作られている。作家作品には全て裏側に手書きのサインと番号が入っている。サイドボードにあるコスタボダのマイクロ博物館。中心より右にあるのが、最初に買った一輪挿し。これを作るのは大変だろうと思う。ウルリカ・ヒードマン・バリーンやアナ・アーナーといった女性デザイナーのも面白い。日本では入手できなかった左手前の透明なグラスにも手書きのサイン入りだ。