音楽の地位低下をもたらしたサブスクではイントロを飛ばす割合が38%という時代の”ホテルカリフォルニア”
イーグルスのホテル・カリフォルニアが,マイアミのクリテリアスタジオで録音されたのは1976年。殆ど50年近く前の事である。作曲:ドン・フェルダー氏作詞:ドン・ヘンリー氏とグレン・フライ氏プロデューサー:ビル・シムチック氏イントロとヴァースは8小節Bm–F ♯ 7–A–E–G–D–Em–F ♯ 7個人的には、「呪われた夜」がイーグルスと接した最初だったけど、主に聴いていたイギリスの音楽とは違うアメリカの音楽に衝撃を受けた。それまで、アメリカのポップスというとR&Bなどに代表される、ブラックミュージックの方が馴染み深かったので、尚更、新鮮で新しいアメリカのロックの鮮烈さに唸った。印象的な12弦ギターで始まるホテルカリフォルニアは、ライブでは3番目に多い1038回演奏されている。イントロ部分だけでも2015年にギターワールド誌により、史上最高の12弦ギターソングとして1位にランクされている。最後のジョー・ウォルシュ氏とドン・フェルダー氏によるツインリードギターも、1998年にギタリストマガジンの読者により、史上最高のギターソロに選ばれている。歌詞に関しては色んな解釈があり、イーグルス自身はロスアンゼルスの高級な生活を解釈したものとしている。マリブのビーチの借家でドン・フェルダー氏によって作曲されたホテルカリフォルニア。最初にドラムマシンを録音した後、4chデッキに12弦ギターを追加し、最後にベースラインを入れてドン・ヘンリー氏とグレン・フライ氏にコピーが渡された。ラテン音楽とレゲエの影響を受けたデモを聞いたドン・ヘンリー氏は、メキシコのレゲエやボレロのように聞こえると表現して、曲の仮題は、”メキシカン・レゲエ”だったらしい。やがて、カリフォルニア出身者ではないメンバーが夜に見た、煌びやかで華やかなロスアンゼルスの印象から、ドン・ヘンリー氏によりホテル・カリフォルニアと曲名を決定。ロスアンゼルスの象徴ともいえるビバリーヒルズホテルをモチーフに、砂漠を長距離移動して疲れた旅人が憩いを求めて一晩泊ったホテルで、気まぐれなキャラクターが住む奇妙な世界に入り込み、邪悪な蜘蛛の巣に引っ掛かる様な閉所恐怖症の感覚に怯え…。トワイライトゾーンのエピソードの様な展開を期待していたらしい。その後、イーグルスはドン・ヘンリー氏のリードボーカルで3回録音。次にロスのレコード・プラントで2回録音した後、最後にクライテリア・スタジオで録音された。最初のリフのキーはドン・ヘンリー氏には高かったようで、Eマイナーから徐々に落とされて、最終的にBマイナーに決定。最後のマイアミのスタジオでも多数のテイクを録音し、その中の5か6つの最良のものを選び繋ぎ合わせてリリース版を作成。出来上がった2インチのマスターは33回編集されていた。最後のドン・フェルダー氏とジョー・ウォルシュ氏によるツインリードギターは、約3日間に渡る2人の作業で作られたもので、当初は即興だったのが、最後にはウォルシュ氏の提案で、最初のデモに沿うものに仕上げられた。アルバムから2枚目のシングルとしてリリースされたホテルカリフォルニア。当初は6分を超える長さなので、FM放送を考慮するレコード会社は消極的だったらしい。それでもメンバーは曲を短くすることを拒否したので、オリジナルのままでシングルカットされた。1977年2月26日にビルボード・ホットチャートに初登場すると、3か月後にはゴールド・ディスク認定。1977年のグラミー賞の最優秀レコード賞を受賞。家にあるホテルカリフォルニア。一番上が当時のアナログ輸入盤。その中断下の左側のCDがSACDで、右側の紙ジャケットが70年代のライブを加えた二枚組。一番下の左側が再編成後のライブ盤で、右側のBOXが70年代のスタジオ録音5枚組。左下のライブ盤のホテルカリフォルニアは、冒頭のギターのイントロに続くパーカッションの重低音が面白い。総じてイーグルスは好録音が多いけど、メンバーかエンジニアに音の拘りを持つ人がいるのだろう。アナログディスクはダブルのジャケットで、開くと見ごたえのある写真が現れる。この点ではCDは全然ダメだな。久し振りにレコードが入った紙のスリーブを引っ張り出したら、アメリカの輸入盤からラップ外して広げた時の、懐かしい独特の香りが漂ってきて感激した。オーディオ的には、CDで言うと5曲目のリプライズのストリングスから、6曲目のヴィクティム・オブ・ラブが始まるトラックが凄い。ギターのリフに始まり、それに続くドン・ヘンリー氏のボーカルは、ゾクッとするほどリアルで鳥肌が立つ。後に、B'z(ビーズ)のラブ・ファントムを聴いた時に、このリプライズ~ヴィクティム・オブ・ラブを思い出した。ラブ・ファントムも1分を超えるストリングスの入ったイントロが印象的だ。所で、サブスクではイントロを飛ばす傾向があり大体4割近くがパスして、途中のギターソロも1割が飛ばすそうである。音楽なんて個人の好きに聴けば良いのだけど、既に傾向が出ているように、今後はイントロがやたらと短いか、いきなりサビから入る曲ばかりになりそうだ。もう後世には残らないだろうと思われる曲が増え続ける昨今、古狸は益々20世紀の曲にしがみつくしかないらしい。