見た目が怪しくて生態も受粉方法も変ちくりんな毒草のマムシグサを庭で観察してみる
散歩をしていると、少し日陰になっている所には茎に独特の模様があって黒っぽい紫色の奇妙な花を付け、2本の軸に襟巻の様に展開した葉を付けているマムシグサという植物が生えているのを見掛る。雨に濡れて揺れている、上から見たマムシグサ。天南星(テンナンショウ)とも呼ばれ、薄暗い林の中で出会う蛇柄の茎と鎌首をもたげた様な花の取り合わせは子供の頃は結構不気味な存在で、どうやら毒草というのも知っていたので林の中で見掛けるとその場から離れて二度と近付かない存在だった。秋になるとトウモロコシの様な真っ赤な実を付け、それを誤食した子供が中毒症状で病院へ担ぎ込まれる事もあるらしい。子供の頃から何となく忌避していたマムシグサだけど大人になって調べてみると生態も見た目以上に興味深い。マムシグサはオモダカ目サトイモ科で多年草の雌雄別株。独特の模様の茎は葉梢が伸びたもので偽茎と呼ばれ、花に見える鎌首は苞で実際の花は苞に隠れて良く見えない。受粉の工程が結構特殊な奴で、まず雄株がハエを呼び寄せて花の下にある穴から侵入したハエを花粉まみれにして上から逃がす。雌株の方は花粉付きのハエを一度取り込むと、二度と脱出できない仕組みになっていてハエが死ぬまで持ち込んだ花粉を受容し続けるらしい。やはり見た目なりに結構怖い奴である。更に最初は花を付けず、大きくなると雄株になり更に育つと雌株に転換する変な奴。毒は主に球根にあり、万が一口にするとシュウ酸カルシウムの結晶により激痛が走るらしく、微細なガラスの破片を飲み込んだようなものなのか。そうは言っても日本では飢饉で困窮したりすると、マムシグサやヒガンバナの球根を水に晒したりしてデンプンを取り出し食べたらしく、アジアでは伝統的な手法で毒を抜き食べる習慣があり、残留したシュウ酸カルシウムの影響を少なくするために何かで包んだ団子状のものを噛まずに飲み込み胃酸でシュウ酸カルシウムの結晶を溶かしているらしい。ある日、散歩途中に生えている道端のマムシグサを観察している内に、普通の緑色の葉っぱに加えてやや薄い緑色の葉っぱに白い斑入りのものがあるのに気付いた。かなり地方性の変異があるらしく、東日本では花の苞が緑色のものがあるらしいけど、見た所、地元で斑入りは少数派で大体30本に1本位ではないかと思う。ある日、思い立ってビニール袋と草取りガマを持って、何となく気になっていた道端に生えている斑入りの奴を掘り起こして家の庭に移植してみた。以降、斑入りの奴は枯れた1本を除き3本に増え、庭の3か所で睨みを利かせている。彼岸花の球根と共にモグラ除けになり、三方の魔除けにもなるんじゃないかな。蝮一号。結構日が当たるので心配したけど根付いた1本。良く見る奴と違い、栄養が良くて明るい場所のせいか通常の葉っぱの上に小さな葉が重なって観葉植物になっている。花の苞の色も緑色が多く東国マムシグサという種類だろうか。同じ時期に植えたもう一本は去年の酷暑にやられた。蝮二号。こちらは良く見る日陰っぽい所にいる奴。家でいちばんデカい蝮三号。日が長い時期に朝の1時間ほど半分ほど日が当たる場所にいる。高さが90cmあるので迫力がある。今年、庭にやってきたショウビタキ。庭にいると割と近くに飛んできて近付いても余り逃げようともしない。どうも、庭の片隅に植わっているアウシュビッツドングリで子育てをしていたようで、茂みの中から地無きが聴こえていた。庭にある、色づき始めたジューンベリーをまだ飛ぶのが下手糞なチビ達に大分やられたけど、秋になるとマムシグサの赤い実をついばむらしい。殆ど噛まずに飲み込む鳥にはシュウ酸カルシウムの結晶は効かないようだ。