手元には、文字盤が50mm程の、
シチズンと旧ソ連製のスラバの可愛らしい目覚まし時計がある。
リビングに入る引き戸を開けた正面にある、古い本棚の上に置いてあって、
来客があるとネジを巻き上げてオブジェから時計へと変化する。
普通のサイズの目覚まし時計に比べて、
余り見掛けないけどコレクションするには場所も取らないので良いと思う。
シチズンは、公園や街路にあるような、
背の高い時計をそのまま縮小したようなデザイン。
これは見掛ける事が殆どないけど、時計本体以外の部分でも、
小さなパーツを幾つも使った凝った造りの時計だ。
中身はオーバーホールしたので動作は快調。
旧ソ連のスラバの時計。
栄光を意味する「Слава」/スラバの創業は結構古くて1924年。
第二モスクワ時計工場が本拠地で、民生用の時計を主に生産してきた。
腕時計では、フランスのLIP T-15というムーブメントを、
ライセンス生産したのが始まりらしく、
同系統で第一モスクワ工場のポレオートのムーブメントを、
LIPのブランドで供給した事もあった。
戦後の1950年代後半になると、まず女性用が作られ、
その後はクオーツも手掛けて、腕時計以外にもポケットウォッチや、
目覚まし時計とか壁掛け時計を作るようになっていった。
ライプツィヒ国際見本市で1964年には音叉時計で、
1975年にも金賞を受賞している。
2005年には、スラバの工場と商標はGlovex Bankに買収され、
モスクワ市の財産になり、2006年からはスラヴ・トレーディング・カンパニーにより、
モスクワ第二工場の機械式と日本のミヨタのクオーツムーブメントを使い、
今でも、モスクワ工場とペンザのザリヤ工場で生産されている。
似たようなブランドに、
Слава Созвездие(英訳するとGlory Constellation)というのがあるけど、
これはロシア人により、中国製ムーブメントを使った、可能な限りで安く作られた紛い物である。
文字盤の数字がギリシャ文字のようだけど独特で見慣れないものだ。
これもオーバーホール上がりなので快調だけど、
実は入手時に天芯が曲がっていて、時計屋さんが元に戻そうとしたら折れてしまったらしい。
焼きの入った鉄芯が曲がる筈がないので、元から曲がっていたのではないか。
シチズンとスラバの裏側。
スラバはネジの巻き上げが独特。ラチェットが無くて無音で巻き上げる。
スラバの内部構造は独特なもので、
目覚まし時計というよりは懐中時計の雰囲気がある。
テンプの上がアラーム機構で独立した構造になっている。
テンプ受けは2石で、全体にガッチリとした造りだ。