6. グレアムとローブ。
さて今日は株式投資本オールタイムベスト148位 黄金の掟(ジョン・ボイク著、パンローリング、2009年) の第6弾です。 今日は、私がめちゃんこ尊敬している前世紀の偉大なモメンタム投資家である、 第3章 ジェラルド・ローブ から。この章は最高です。本書中でベストの出来と思いますね。 ジェラルド・ローブは1899年に生まれ、サンフランシスコの証券会社の債券部門で働いていた1921年に投資を始めた。セールスはあまり肌に合わなかったようで、投機・投資・通貨、不動産、経済などについて書かれたものを片っ端から読んでいた。 E・F・ハットン社では株式ブローカーの職を得たが、1924年には永住の地となるニューヨークに転勤となる。会社ではやがてパートナーとなり、1962年に株式会社への組織変更がなされたあと、取締役副会長の職に就く。 ローブは新聞のコラムニストや相場記者として知られるようになり、その記事はバロンス誌、ウォール・ストリート・ジャーナル誌、インベスター・マガジン誌などに掲載された。 1935年には有名な「ザ・バトル・フォー・インベストメント・サバイバル」(パンローリング)を著した。初版で20万部以上売れ、1957年には読者からの要望に応えて改訂版が出された。1965年にも書き加えを行って再度改訂版を出版しているが、基本戦略については、初版との間に実質的な違いはない。 同書が本屋の店先に並ぶのと同じころ、別の有名な本が出版された。ベンジャミン・グレアムの「証券分析」(パンローリング)である。グレアムは、バリュー投資の生みの親と評されており、同書はバイ・アンド・ホールドの投資家にとってバイブルとされている。 相場でのアプローチに関して、グレアムとローブほど対極的な位置にいる人物はいない。どんな投資法が賢明で成功をもたらすか、投資スタイルが異なる両者は対照的な見解を見せる。長い歴史のなかで、成功したバリュー投資家は多い。なかでも一番有名なのは、もちろんウォーレン・バフェットだ。しかし、ローブもその生涯で株式市場から何百万ドルもの富を得ている。 バフェットは、株や会社への投資を長年にもわたって継続する長期投資家と目されている。一方、ローブは株式市場を”戦場”だととらえていた。 我々バリュー投資家にとっての「聖書」とされるベンジャミン・グレアムの証券分析の初版が出版されたのが1934年で、モメンタム投資家にとっての「教典」とされるジェラルド・ローブの「投資を生き抜くための戦い(ザ・バトル・フォー・インベストメント・サバイバル)」の初版が出版されたのが1935年と言うのは極めて暗示的です。 両書共にその後90年以上読み継がれるベストセラーとなったわけですが、それはこの2つの本に共通して 「リンディ効果≒時を超える力」 があったからです。 そして2025年現在の今ではバリューとモメンタムは両方共に有効な「ファクター」であることが学術的に証明されています。でも2人の偉大な天才は、90年前にその「市場の真実」に既に気付いていたということなんですね。くー、痺れるくらいにカッコいいです。 今日はグレアムとローブの2人に敬意を表して両書の私の過去書評を大サービスで貼っておきます。万一未読の方はこの機会に是非ご覧下さい。 証券分析 (ベンジャミン・グレアム+デビッド・L・ドッド著、パンローリング、2002年) ベンジャミン・グレアムは「バリュー投資の父」であり、「世界最高峰の投資家ウォーレン・バフェット」の直接の師匠でもあります。我々バリュー投資家にとってまさに「聖書=バイブル」であり、全955ページという至高の大ボリュームを誇る、この証券分析(SECURITY ANALYSIS)の書評を書くことは、この株式投資本オールタイムベストシリーズの大きな目的の一つでもありました。ようやく納得のいく書評を書き上げることが出来て、感無量です。1. 総論2. 全ては平均回帰する3. 適度な分散は必要4. 特殊な会計処理によって利益を出している会社は危険5. グリッチ6. PERとは恣意的な基準7. 夢の向こう側 投資を生き抜くための戦い (ジェラルド・M・ローブ著、パンローリング、2010年) 1. 投資で成功するには投機的な心構えが必要 特にお勧め!!!2. 分散投資は問題 3. 株の買い方のコツ 4. 損切りの大切さ お勧め5. 株をいつ売るか お勧め6. 株式市場には常にチャンスがある7. ローブの考える「なぜ買うか?」8. ローブの考える「なぜ売るか?」 この本は真の傑作です。言葉の1つ1つが深く、それが真実であると言う重い響きがあります。生き残りのディーリングと双璧を成す株式投資本の最高峰 ですね。 (続く)