みきまるの優待バリュー株日誌

2015/08/14(金)10:39

株式投資本オールタイムベスト9位、ゾーン。

株式投資全般(2000)

 さて私が今までに読んできた株式投資に関する書籍の中のオールタイムベスト第9位は、ゾーン(マーク・ダグラス著、パンローリング社)です。          ちなみにこの本ですが、アマゾンのレビューの点数が5点満点で4.0点しかありません。私が今までに紹介してきた本は当然ほとんどが5点満点に近いフルマークだったので、その意味では「評価が割れる本」なのは事実です。     最初にその減点理由を説明しておくと、    1. 明白な誤訳や直訳的な言い回しが多くて読みにくさがある。スムーズにすっと頭に入ってきにくい文章になっており、超訳での改訂版の発売が強く期待されるような本になってしまっている。    2. この本は、読者が自分が投資家としてどのような優位性(エッジ)を持っているかを既に知っている(私の場合で言うと優待バリュー株投資)ことを前提として、その持っている能力を十分に引き出して、「より勝てる投資家」になることを目標 としている。つまり少なくとも自分の過去の投資結果を分析して、「あぁ、自分はこういう投資手法を取った時に勝ちやすいんだなあ。」というものが頭の中に無いと、読んでも「???」ということになってしまう。その意味ではこの本は「鏡のような本」であるとも言える。読んでどう感じるかと言うのは、今の投資家としての自らのレベルをそのまま示している。自分の投資家としてのある程度の型や明白な優位性を未だ持たないような人は先に最低でも10冊程度は投資本を貪り読み(私のこのオールタイムベストシリーズも是非!)、実際に株式投資を行い、自分の投資スタイルを磨き上げてからこの本に挑む必要がある。    3. 著者は意図的にしていると思われるが、同じような言い回しが延々と続き「何や、えらい愚鈍な本だな。」という思いは隠しきれない。     ということです。ここまでで 「よし、どうも有難う。もう読むのを辞めよう。」 と思われた方も多いでしょう。(笑) ただこういった大きな欠点を差し引いても、それでもなおこの本は名著なのです。      この本のタイトルの「ゾーン」というのは、 恐怖心のない無心の状態、つまり「明鏡止水の境地」 のことです。邪念の無い落ち着いた静かな心境。その心の「パーフェクトワールド」に辿りつけば、「一貫して成功しているトレーダーになれる。そしてそれは努力次第で誰にでも身に着けられる。しかしその習得には「普通」とは異なった思考法が必要となるために、トレーダーとして大成する人は非常に少ない。」というのが、ダグラスの主張です。      この本の最大のポイントは第7章の「トレーダーの優位性-確率で考える」にあります。改変も含めて引用すると、「最高のトレーダーは、トレードを 確率のゲーム としてとらえている。 カジノ業者やプロのギャンブラーと同じ思考戦略 を取っている。。。自分に優位性が十分にあり、標本の大きさが十分であれば、最終的には勝利すると常に分かっている(大数の法則ですね)。。。なので常に楽な気持ちで自分の勝算の維持とトレードの執行に集中すればよい。。。一貫した収益を残すために、次に何が起こるかを知る必要は無い。。。 1回1回のトレードの結果は不確実 なものである。。。結果を予測しようとしてはいけない。。。皮肉なことだが、確実なものなど何も無いという事実を受け入れて初めて、自分が切望している確実性を手に入れられる。。。つまり、1つ1つのトレードで正しいとか間違っているとかは、トレーダーとしての成功と関係がないのだ。。。。。。。損失は何の精神的ダメージも生まない。 何故ならそれは単に ビジネスのコストでしかなく、トレードに勝つための必要資金でしかないから だ。。。。。。。最高のトレーダーは「今この瞬間」にいる。正しくあろうとしないし、間違いを避けようともしない。何かを証明しようとしているわけではない。。。」      どうでしょうか? 未読の方でここだけ読んで「おぉ、これは凄い。」と思われた方は間違いなく中級者以上です。今すぐ本屋さんに猛ダッシュしましょう。もしも置いていなかったらそこは「ヤブ本屋さん」です。次のお店に走っていきましょう。ただ「???。」だった方にはゾーンはちょっと早すぎます。でも泣かないで。一切心配はありません。その場合には先に、         この賭けの考え方(イアン・テイラー マシュー・ヒルガー著、パンローリング社)を読みましょう。これはポーカーの本ですが、私の株式投資本オールタイムベスト20位以内にランクインしているくらいで、我々投資家にとって歴史的名作間違いなしのとんでもない神本です。    1. ポーカーのさまざまな現実を理解し受け入れる。  2. 長期的視野でプレイする。  3. 金を儲けることよりも正しい決断を下すことを優先させる。  4. 金への執着を捨てる。  5. 自尊心を持ち込まない。  6. あらゆる感情を決断から排除する。  7. 分析と改善のサイクルを継続的に繰り返す。    というのがこの本の主張なのですが、ポーカーの部分を株式投資に置き換えるとそのまま、100%投資本という凄い本なのです。この本を読んでからゾーンを読むと全然違うと思います。       すいません、ちょっと脱線しました。      私は投資家の心の中と言うのは 「邪念だらけの蜘蛛の巣」 のようなものだと思っています。奥深くにはパーフェクトワールドが、マーク・ダグラスの言う明鏡止水の「ゾーン」があり、そこに至れば最高のトレーダーになれます。ただその為には回り道をして心の中に巣食う無数の蜘蛛の糸を掻き分けなければならない。この本が難解なのは実は私達の心の蜘蛛の糸を少しずつ振り払うためなのです。ダグラスはその目的のために敢えてこういう書き方をしたのですね。さあ、あなたはこの本から一体何を、自分の心の中に見つけるでしょうか? 

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