さて今日は株式投資本オールタイムベスト143位
シュワッガーのマーケット教室 (ジャック・D・シュワッガー著、パンローリング、2013年)
の第7弾です。
今日は、第4章 間違ったリスク評価 から。
何も測らないほうがまし
投資家が破滅的な損失を被ったときはたいてい、リスクを測る尺度を持たなかったからではなく、リスクを正しく測っていなかったことが直接の原因だった。
不完全なリスク測定は、リスクを何も測らないときとは比較できないほど、とんでもない事態を引き起こすことがある。
VaRの問題点
VaR(バリュー・アット・リスク)は、最悪の状況で被る可能性が高い最大損失を推定した値である。VaRは、ある高い信頼水準(通常は95%か99%)で一定期間に被る可能性がある最大損失、と定義できる。
例えば、99%の信頼水準で1日のVaRが3.2%の場合、1日の損失が3.2%を超えるのは100日のうち1日だけと予想される。
VaRは将来のボラティリティや相関水準が過去と変わらないという前提に立ったうえでの推測値である。しかし、この前提が著しく不適切になることは珍しくない。例えば、VaRで判断するかぎり、高格付けのサブプライムモーゲージ債から成るポートフォリオは、2007年前半でも非常に低リスクだった。それらの債券価格が当時は極めて安定していたからだ。VaRは過去の値動きから分かるリスクしか反映しないため、これらの債券に固有の破滅的なリスクについて、当時はわずかな手掛かりさえ示さなかっただろう。
VaRは、車を時速60キロ以下で走らせているときには極めて正確だが、それを超えると低い数字しか示さないスピードメーターに似ている。正確さが最も要求されるときに、危険なほど間違えるのだ。!
VaRは最大riskの尺度を統計学に基づいて提供するため、ポートフォリオのリスクについて、投資家に根拠のない安心感を与えるかもしれない。この意味で、リスクを測るのにVaRに頼りすぎるのは、まったくリスク尺度を使わないときよりも危険なことがあるのだ。
このVaRに関するシュワッガーの説明は滅茶苦茶分かりやすいですね。VaRが「いざと言うときに役に立たない怪しい数字」であるという認識は以前から持っていたのですが、今回改めてそのカラクリを学ぶことが出来てとても良かったです。(続く)