さて今日は株式投資本オールタイムベスト145位
インデックスファンドを推奨する42の理由(ラリー・E・スウェドロー著、パンローリング、2024年)

の第8弾です。
今日は、非常に重要な視点を提供してくれている 第30章 経済的に不合理な配当株を好む投資家 から。
多くの投資家、特にキャッシュフローアプローチで支出を管理している投資家が現金配当を好むことは以前から知られている。
しかし、伝統的な金融論の観点から言えば、この行動は異常と言える。配当と価格変動の関係をよく理解することで、利益の性質を適切に理解して、異常な嗜好からもたらされる悪影響を回避することができる。

過去の証拠もこの理論を裏付けている。共通の要因(サイズ、バリュー、モメンタム、利益率・質)へのイクスポージャーが同じ銘柄は、配当金を支払っても支払わなくても同じリターンを上げているからだ。

過去20年において、金融の主力モデルはいわゆるカーハートの4ファクターモデルだった。(4つのファクターは、ベータ、サイズ、バリュー、モメンタム)。このモデルは、分析ポートフォリオのリターンの差について大部分を説明できる(90%を大きく超える)。
もし配当がリターンに重要な役割を果たすならば、ファクターに配当が含まれていない4ファクターモデルがこれほどうまく機能するはずがない。実際、もし配当金が4つのファクター以上の説明力を持つならば、ファクターの1つになっているはずだが、そうはなっていない。

今も昔も日本では高配当株投資が人気です。これは世界一「不安遺伝子」を持つ確率が高い日本人にとって、配当と言う「果実」が大きな安心感を与えてくれるからだと個人的には思っています。
そしていわゆるFIRE「Financial Independence、Retire Early」(経済的自立と早期退職)を果たした方が、生活費を得るために「高配当株に偏重したポートフォリオ」を作り上げて戦っていることも非常に多いです。
ただ私の長期間の観察では、彼らの投資成績はとても悪いことがほとんどです。FIRE前は圧倒的にインデックスを凌駕していたのに、FIRE後は人が変わったみたいに逆にインデックスにボロ負けしている方も良く見かけます。
私はそういった多くの事例から、スウェドローの言う通り「高配当株投資法は強い武器にはならない。有効なファクターではない。」と考えています。
ただ最近日本株市場で増えているDOE基準を採用した累積配当銘柄に関しては、「配当シグナル効果(Dividend Signaling Effect): 企業が配当金を増額したり、特に新たに配当を始めたりすることで、市場に対してその企業の将来の業績や財務健全性に対する自信を示すシグナルを送っているという理論」によって若干の超過リターンを出している可能性があるので、自分としてはそのあたりは以前よりはちょびっとだけ柔軟に考えるようにはしています。(続く)