カテゴリ:読書とDVD観賞/子育て本・子育ての記事
エッセイもすごく面白いし、小説も心揺さぶられる作品ばかり。 直木賞受賞作、『対岸の彼女』は登場する様々な女性に強く共感し、これまで読んだ本のベスト5に入るほど大好き。 近年読んだ本 けど、『八日目の蝉』は揺さぶられるどころではなく、震えるくらいの本でした。 読み終えた後、この本に出合えたことを心から感謝しました。 蝉は地上に出て七日で命を終えてしまう。 “七日で死ぬよりも、八日目に生き残った蝉のほうが悲しい”のか、“八日目の蝉は、ほかの蝉には見られなかったものを見られる”のか? 主人公、希和子が不倫相手の赤ん坊を一目見に行ったところから始まります。 自分は生むことのできなかった赤ちゃんを胸に抱くと、やわらかく、あたたかく、ずんとした重さがある。 そして、赤ちゃんを連れ去ってしまうのです、 希和子の視点で見た赤ちゃんの仕草、表情の描写が、もうたまらなく愛おしく感じられて、 自分の子どもと重ねながら幸せな気分に浸っていました。 一日一日を、(薫と名づけた)子どもと一緒に過ごせることだけを祈る希和子を思い、涙しながら、大切なことを教えられた気がします。 気がつくと、どうかこのまま夢を見させて、と希和子を応援している自分がいました。 しかし、2章で誘拐の犠牲者はやっぱりその赤ん坊だったのだと知って、愕然としました。 いくら本当の両親より親らしく、愛情深く育てたとしても、犯罪なんですよね。当然ですが。 運命を変えられてしまった薫の悲しさ、辛さを知ったとき、罪の深さをようやく認識しました。 希和子も薫も、あのときこうだったら・・・ 人生が全然違うものになっていたはず。 でも希和子が、裁判で謝罪の言葉よりも先に感謝の言葉を両親に述べたこと。 やっぱりなるべくしてこうなったんだなぁとも思いました。 そして涙が止まらなかったのは、希和子が薫とついに離れ離れになってしまうとき、叫んだ言葉を知ったとき。 希和子は親ではないけど、心から子を思い、心配する気持ちに共感しました。 瀬戸内海を背景にしたラストも映画を観ているように美しく、きっといつまでも私の胸に焼きつくと思います。 この本を読み終えて、何ヶ月か予約待ちをしている森に眠る魚を買おう!と角田さんの色々な作品を見ていたら、『彼女のこんだて帖』がとっても気になって、こちらを買っちゃいました。 「角田光代のハートフル・ストーリーとかんたん料理レシピで2度おいしい。」と書かれた帯。 エッセイを読んで、食をとても大切にしていらっしゃる方だなぁと思っていたので、まさに私のツボ。 15編の食に纏わるストーリーがあり、その後にレシピが載っています。 小説の中の料理って本当においしそうですよね。それが作れちゃうなんて贅沢。 それぞれのストーリーの登場人物がリンクしていて、だれもがストーリーを持っているんだなぁとも実感しました。 お母さんが子どものために作るストーリーなんか、泣けてきちゃうんです。 (これまで母親の作る料理はダサいと思っていたが、実はすごくおいしいものだと気付いた、とか、 自分という母親は料理らしい料理を作ってあげれなかったと思っていたら、息子がその料理を食べたいと彼女に言っていた、とか。) ただ、角田さんは「おふくろの味を信じていない」というところがまたいいなぁと思いました。 だからこそ、かつて食卓に並んだメニューを、何度でも再現できるのだと。 私もこの本のレシピを再現してみようっと。 本当の角田光代ファンになるべく、これから角田さんの本をたくさん読もうと思っています。 皆さんのおすすめ教えてくださいね。 手元にある本、予約中の本 大好きな絵本作家、アンドレダーハンさんの翻訳もたくさんされています。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2009.12.24 21:39:55
コメント(0) | コメントを書く
[読書とDVD観賞/子育て本・子育ての記事] カテゴリの最新記事
|
|