2011/03/10(木)22:10
心揺さぶられる小説
昨年は小説を66冊読んだ中で、☆を5つ付けた小説は10冊。
今年に入ってからは6冊しか読んでいませんが、そのうち3冊が☆5つ。いい本に出合えています。
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『小さいおうち』中島京子(直木賞受賞作)
有名なヴァージニア・リー・バートンの『ちいさなおうち』をモチーフにしていますが、全く異なるお話です。
タキおばあちゃんが、昭和10年代から女中奉公をしていたときの手記を基に、物語は進められます。
心地よいテンポで、ミステリアスな要素もあり、どんどん読み進めたくなりますが、読み終えるのももったいないような素敵なお話でした。
タキおばあちゃんが女中をしていた赤い三角屋根の家のモダンな様子。
四季折々の手料理。
奥様の美しさ。
東京のレトロで華やかな様子が鮮やかに描かれていました。
戦争の最中でありながら、平穏に暮らしている様も、わかるような気がしました。
(現代でも同じですよね。。)
それでも、戦争の恐ろしさを思い知ることになる・・・間接的だからこそ伝わるものもあるのだなと思いました。
ネタバレになるので書けませんが、ラストには秘密も。
本を閉じてもしばし余韻に浸っていました。
『ひそやかな花園』角田光代
角田さんの本では『八日目の蝉』がダントツに好きで(映画公開楽しみですね)、次が『対岸の彼女』だったのですが、それに並ぶくらいの作品に出合えました。
(↓の『ツリーハウス』がその次。やっぱり角田さんはすごいです。)
幼い頃に楽しみにしていた夏のキャンプ。
ある年を境にキャンプはなくなり、幻となる。
共にキャンプで過ごした7人が、大人になってから出会い、キャンプの謎が解明されていきます。
いつも感じるけど、角田さんの描く人物は本当に存在しそうで、心理描写も細かくて惹きこまれます。
親子、夫婦、家族とは何か。おのずと深く考えさせられるお話でした。
『ツリーハウス』角田光代
久しぶりに声に出して泣いてしまいました。
読み応えがあって、読んでおいてよかったと心から思えた作品でした。
中華飯店を営むある一家が、三世代に渡って描かれています。
その時代時代の事件や出来事が織り交ぜてあることで、この家族の生き様がよりリアルに感じられました。
どんな家族にも歴史があるんだなと、当たり前のことを静かに思い出させてもらえました。
読み応えがあるといえば、ロードサイド・クロスも上段下段がある500ページ以上。長かったー。
ネットでのいじめを題材にしていますが、私はダンス捜査官のキネシクス(身振りから心理を読み取る)が興味深かったです。
どんでん返しの結末も好きです。
息子と一緒に読んだ児童書『ルドルフとイッパイアッテナ』
面白いけど奥も深かったですよ~。
岐阜弁も親しみ沸きます。
絵本では『おとうさんのちず』に衝撃を受けました。
息子も小学生になったので、戦争のお話も少しずつ読んでいけたらと思っています。
去年まとめようと思ってできていなかったので・・・2010年に☆5つ付けた本
『空飛ぶタイヤ』池井戸潤
『悪人』吉田修一
『学問』山田詠美
『それからはスープのことばかり考えて暮らした』吉田篤弘
『告白』湊かなえ
『横道世之介』吉田修一
『チッチと子』石田衣良
『そして誰もいなくなった』アガサ・クリスティー
『神のこどもたちはみな踊る』村上春樹
『聖女の救済』東野圭吾