平凡な一日。
《此の世は混乱から生み出されたでしょう。》
《此の世はマヤカシの固まりでしょう。》
《此の世は終わりと混沌で構成されているでしょう。》
今居るのは少し散らかった部屋。
俺は今、なぜか忙しく走り回っている。
ああ、自己紹介がまだだった。
俺の名前は花月月読。
性別・男
名前の読み方はかげつ、つくよみ。
名前が女っぽいとか言われるが私的には気に入っている。
種族は秘密
種族が秘密なのは...まぁご愛嬌ということで...。
見た目は...まぁふっつーの青少年と言った所だろうか。
さて
俺が今何をしているかと言うと
この事務所の大掃除。
昨日、私の相方が酒を大量に摂取し、大暴れしたわけで...
その所為で掃除しているわけなのだ。
一応、俺はこの事務所を経営している。
店の分類は...うーん、とりあえず万屋と言った所だろう。
後々わかるはず。
さて、ここらで自己紹介も終わりにしておこうかな。
急がないと、日が暮れてしまう...。
「だりぃなぁ...」
軽くぼやきつつ、俺は掃除道具を取り、掃除をテキパキとこなす事にした。
掃除は約1時間程度で終わり、暴れられた前より、多少綺麗になった気がする。
ふと、時計を見ると、時間はまだ夕方の5時。
うん、これならあそこに行く時間があるな。
俺は腰の辺りに50cmはある、大型のナイフを腰に括り付け、
コートを羽織り、外に出る。
現在の季節は夏
俺は外で白い息を吐く。
この国は一年を通して、気温が低いのだ。
大体0℃から15℃。
他の国の夏はどうなんだろうか?
俺は早足で歩き、とある場所へと向かう。
とある場所とは行き着けの店で、良くお世話になっている。
マスターは無愛想だが。
数分後。
店へと到着
扉を押して開けると、そこにはいろいろな剣や銃、
他にも歪な形をした物などが並んでいた。
ここは俺と同じ万屋だ。
万屋と言っても、ここは何でも売っている、と言う意味だが。
ぐるりと周囲を見渡すと、奥に男が一人と俺の方へと向かってくる一人の女がいた。
女の見た目は運動しやすそうな服装をした、
可愛い感じの女の子だった。
「ツクヨミー!」
俺の名前を呼びながらかなりの速度で俺へと向かってくる。
俺は相手のほうを向き、足に力を入れる。
ドンッ!という音と共に俺の体がぐらりと揺れる。
女は俺に抱きつく。
形は...首に手を巻いてぶらさがるといった感じだろうか。
首が痛い。
「えへへ~。」
首に垂れ下がっている女の黒い髪が顔に掛かる。
少しだけシャンプーの匂いが香る。
この女の名前は五木想鐘
読み方はいつき、おもかね。
戸籍ではオモイカネなのだが。
どっちが苗字でもおかしくないような名前。
まぁ俺もだが。
獣の血は猫混じり。
ちなみに俺は...秘密だ。
そうそう、今日の掃除の原因。
それがこいつ、想鐘だ。
「はぁぁぁ...。」
俺は溜息を吐きつつ、想鐘を引き剥がす。
引き剥がす時、一瞬ムッという顔になったが、
すぐにオモカネはにこにこと笑顔を溢す。
で、俺の腕に引っ付く。
今回は腕の為、別に引き剥がす気も起きない。
いつもの事だしな。
「よう、想鐘。」
「うん!こんばんは、月読!」
挨拶を交わした後、俺は奥に居る男の方へと向かう。
利き腕の左腕には想鐘がくっついている為、
空いている右腕を上げ、男へと声を掛ける。
「よっ、天照。」
俺が天照と呼んだ男はここの主人。
五木天照。
読み方はいつき、あまてらす。
てんしょうと呼ぶ奴もいるそうだが。
もちろん男。
血は想鐘と同じ猫混じり。
あー、そうそう。
五木、ということでわかった方も多そうだが、想鐘と天照は兄妹だ。
ちなみに天照は俺より年上だ。
年上と言っても、天照も俺も、余り気にした事はない。
「ああ、お前か。」
天照は無愛想にそう言う。
俺が居た事にすら気付いていなかったようだ...。
天照の目は一度だけ、妹の方へと向く。
「なんだよ、ああって...まぁそれは良いとして、修理に出しといたの届いたか?」
天照は軽く頷くと、レジの奥にある倉庫へと入っていった。
一瞬、すんごい眼が鋭かったのは気のせいだろうか。
「なぁ、想鐘。」
「ん~?」
「お前、そろそろ武器新調するか?」
俺は想鐘にそう聞きながら店内を物色する。
可愛い形をしているが、想鐘はある種の戦闘狂だ。
一度戦闘となると、敵に容赦がない...。
多分俺が敵でも容赦が無いと思う。
まぁ、相手が気絶等すればちゃんと止まる。
鬼畜なわけじゃ無い...と信じたい。
「良いの?」
「ああ。」
俺は軽く頷き、そう答える。
想鐘の武器は剣。
剣は種類を問わず...かな。
好んで使うのは長刀や、長剣。
想鐘曰く、長い方が使いやすいらしい。
「わーい!月読だいs
想鐘が俺に飛びつこうとしたとき、
ぬっと一本の布に包まれた長い物が俺の目の前に伸びてきた。
横を見ると、天照が少し怖い顔をして、俺の方をにらんでいた...ような気がする。
いや睨んでいた!
気配がすごかったし。
天照が切れたら、一時ここ来れなくなるから気をつけよう。
「これだな。」
天照は俺の目の前に伸ばしていた物を一度手元に戻し
巻いてあった布を解く。
俺はそれを受け取り、じっと見つめる。
「ん、綺麗になったな...ありがとうな。」
「仕事だ。」
そういって、また奥へと向かう。
多分俺達が喋ってた事聞いたんだろう。
俺は再度棒に目をやる。
その棒は黒一色で統一され、
数cm間隔に溝が掘ってある、少し変わった棒。
一応、高位魔術が何個も掛かった国宝なみの品なのだが。
こんなものがなぜ俺の手元にあるかというと、
俺がお世話になっている人物の依頼で
これが報酬代わりとして渡されたのだ。
最初なんなのかわからなかったので、天照に一度値打ちを見てもらったら
超高級品だったというわけだ...。
いやはや、儲け物という奴だ。
俺はぐるりと棒を一回転させ、背中に触れさせ、手を離す。
すると、棒はピクリとも動かず、背中に留まった。
これはこの棒にかけられた魔術なのではなく、
俺が自分のコートにいつもかけている、この簡易的な魔術なのだ。
一応、自作魔術。
まぁ、この程度の魔術、基礎的な魔術を知っていれば誰にでも作れる。
俺は天照が来るまでのんびりと歩き、店内を物色することにした。
相変らず、想鐘は俺の腕に張り付き、離れない。
「ふぅ...。」
俺は軽く息を吐き、もう一度店内を物色し始めた。
数分後
俺は特に良いと思えるものも無く、すぐに店内を物色する事に飽きたが、
丁度天照が戻ってきたので、そっちに向かった。
「目ぼしい剣はこれくらいだな。」
天照が持ってきた剣の数は3本。
いや、4本かな?
一つは双剣。
一つは大剣。
最後の一つは長刀だった。
想鐘は俺の手から離れ、剣のほうへと向かう。
「むむ...むむっ!」
何やら気に入った剣があったらしい。
想鐘の手を見ると、右手に大剣、左手に長刀が握られていた。
大剣の方は刃がむき出しで、如何にも凶悪!と言った感じで
長刀の方は、白い鞘に収まり、柄も白い、質素のようで、気品のある
高級な刀に見えた。
威力だけなら大剣の方が強いだろうか?
いや、でも速度なら長刀だし、バランスも...
などと一人で考え込んでいるうちに、想鐘は決めたらしく
一本のそれに決めた。
想鐘は左手で長刀を持ち上げ、軽く振る。
「うん...、これにする!」
想鐘は大剣を天照に渡し、俺に長刀を渡してきた。
「ん...?」
「値段聞いてー。」
ああ、値段か。
「天照、いくら?」
「○○○万。」
「...ぇ。」
「お兄ちゃん、まけてよー。」
天照が厳しい声でそういうと、猫なで声で想鐘が甘える。
天照は何か顔が少し赤く染まり、こう言う。
「...なら半額で良いぞ。」
うん、これで決定だ。
天照は妹に甘い。
ってかシスコン?
「うん、それなら良いや。」
俺は財布から一枚のカードを抜き取り、天照へ渡す。
「ああ。」
天照は軽く頷き、レジへと向かう。
「あ、領収書よろしくー。」
一応経費だからな。
俺は軽く頷き、戻ってきたアマテラスからカードと領収書を受け取った。
「にゃははー。」
想鐘は、少し顔を朱に染め、今日買った刀に頬を摺り寄せていた。
しかし、すぐに想鐘はその行為をやめ、刀を上に掲げ、指を鳴らす。
少しすると、ブツッという音と共に、想鐘の目の前に切れ目が入る。
この魔術は想鐘が良く使う魔術で、
結構高位だったりする。
それを指を鳴らすだけで...と思う人もいるだろうが
想鐘が使える空間魔術はこれだけなのだ。
そんなわけで、この空間魔術を多様してるうちにコツを掴み、
指鳴らしだけで発動できるようになった。
ちなみに、想鐘は大型の武器を扱うため、
空間の狭間に自分の空間を作り出し、そこに武器を収納しているのだ。
想鐘は切れ目に手を掛け、少しだけ広げるとその中に刀を入れる。
空間は刀をズルズルと飲み込むと、すぐに消滅した。
「よし!」
想鐘は両手を腰にあて、フンっと鼻を鳴らす。
「ん、用も終ったし...俺はそろそろ帰るかな。」
「あ、じゃあ今日は月読の家に泊まるー!」
「なぜに!ってか話が繋がってないぞ!」
俺は想鐘に突っ込み、笑った。
「いいじゃーん、恋人なんだしー。」
そう...そうだった...。
昔想鐘に告白されて付き合ってたんだっけ。
そんな事すら忘れていた。
長い年月付き合ってると、そういう感覚が少し希薄になる。
「ま...まぁ...そうだけどさぁ...。」
俺は想鐘の耳に小声でささやく。
「天照がすんげー睨んでるんだけど、これどうするんだよ?」
想鐘はニヤリと笑い、天照に近づき、耳元で何かを言う。
天照はコクコクと何やら機械の様な動きをし、少し笑っているように見えた。
「良いってよー。」
想鐘はにーッと笑い、俺の手を引き、外に出た。
今日はそんないつも通りの日。
《あとがき》
少し訂正加えました。
9月22日、15時33分に編集加えました。
感想、お願いしますorz
