嫌な依頼。
次の日の朝。
俺が起きた時、
横に想鐘は居なかった。
昨日無理やり組み敷かれて...
何か飲まされたような気がしたんだが...。
んー...記憶が無い。
とりあえず飯を食べ、すぐに事務所へ向かおう。
そう思い立ち、ベッドから飛び降りた。
事務所の前につき、鍵を開け...ようとしたが、もうすでに開いていた。
もう誰かいるのか?
そう思考を巡らせながら扉を開ける。
「おはよ.......う?」
扉を開けると、そこにはなぜか天照がいた。
「ああ。」
天照は相変らず無表情でそう言うと、何やらこちらに向かってくる。
「どうした?」
俺はとりあえずそう聞いておく。
天照がここに来るという事は滅多に無い。
というわけで、とりあえずいつも通りの対応をしてみる。
「...こいつだ。」
天照は特に説明のないままコートの内側に手を潜らせ茶封筒を取り出し、俺に向かって投げつける。
「これは?」
軽くそれを掴み、内容を聞く。
「依頼だそうだ、スサの所に行けよ。」
「あー、ああ。」
軽く頷き、茶封筒の中に入っていた紙を取り出し、読む。
「あーあー....あー...なるほどな。」
取り出した紙にはただ、
(依頼があるのでうちに来るように。byスサ)
としか書いてなかった。
ちなみにスサとは
八重スサノオと言う、少年だ。
読み方はヤエ、スサノオ。
血は犬混じり。
年齢はまだ10代前半。
小さくても依頼屋の社長なわけなのだが。
俺もスサから大半の仕事を貰っている。
というかなぜ携帯のメールではなく紙なのか、
その上、天照が持ってきているかという疑問?について。
まず、メールではなく紙なのか?についでだが
スサが特殊な以来を渡す時、メールだとスサの所に行くまで時間が掛かるので
直接渡すようにしているのだ。
んん?
こっちの方が時間掛からないか?
それはさておき
天照が持って来ているという疑問。
天照は万屋でもあり、依頼仲介人でもあるのだ。
更に、スサとは俺と同じく親しくしている。
ので、知り合い伝いで持って来るのだ。
まぁ、とりあえずスサの所に行くしかないか...。
「あ...そういえばどうやってここに入ったんだ?おい。」
「お、想鐘からちょっと借りたんだ。。」
ふと思い出し、天照に聞いてみるが
遠くを見るような目をし、嘘とバレバレの口調。
なんというか...無理やり開けた様な気がしてたまらないのだが。
ああ、そう。とだけ返事をし、スサの所へ行く準備をする事にしよう。
事務所に置いてある車に乗り込み、
大きなビルの前に到着。
ここがスサの店。
店と言うより会社か。
受付に行こうと思い、入り口の方へ目をやると、なぜか想鐘が本を読みながら立っていた。
いや、まぁ一応パートナー(仕事でも恋愛でも)だからな...
いるのはおかしい事じゃない、うん。
「おはよー、月読~。」
「ああ、おはよう。」
俺は想鐘と軽く挨拶を交わし、さっさと中に入ろうと聞いてみる。
「とりあえず入るか。」
「うん!」
店内に入ると、
なぜか店内はアットホームと言ったカンジの空気が流れていた。
「うーむ、やはりアットホームだなぁ。」
「だねぇ...。」
俺がそういうと想鐘も相槌を打つ。
そのまま、俺と想鐘は受付へと向かい、
天照から渡された封筒をそのまま受付の人へ渡す。
「これ、よろしく。」
俺は簡潔にそう述べ、受付完了を待つ。
受付は10秒程度で完了し、3階の一角へと通された。
扉を開けると、スサと俺が呼称していた少年が奥のほうの椅子に座っていた。
「よー、スサ、元気に」「わーい!スサちゃーん!」
俺がスサに軽く挨拶を言おうとした瞬間、想鐘が大声で俺の声を遮る。
想鐘は万歳の格好で声を上げていた。
ハイテンション万歳?
「おはようございます、月読さん、想鐘さん。」
椅子から立ち上がり、スサは犬のような耳を動かしながら、深々と頭を下げる。
スサは通称獣人と呼ばれる者で
一部が獣そのものなのだ。
というわけで、記憶力や判断力が人よりずば抜けている。
その為、たった15歳とい年齢でこうやって大会社を打ち立てられたわけなのだ。
「あ、いやこちらこそ!?」
想鐘も釣られた様に頭を下げる。
俺は無意識に口が歪む。
...これって笑みって言うのかな?
スサの方を見ると、俺が笑っている事に気付いたらしく少し笑みを溢す。
うーん、やっぱり子供じゃない感じだよな...と改めて思う。
「にゃ!なによ!?」
想鐘はなぜか俺とスサが笑っている意味を感づいたらしく、声を荒げて文句を言う。
「馬鹿!私が子供みたいだと思って馬鹿にしてるでしょ!」
などなど、何度も俺だけに文句を浴びせる。
なんで俺だけ?と思っても見たが、今思えばスサは俺が笑っているのに釣られて笑っただけだしなぁ。
うん、俺だけだな、文句言われる理由があるの。
「ふぅ...ふぅ...。」
一息でありとあらゆる文句を俺に言い出し、息切れした模様。
何分か叫んでた気がする...肺活量多すぎじゃないか?
「はいはい、悪かったよ。」
軽く想鐘の頭を叩きながら、心に無い謝り方をする。
実際そんなに悪い事じゃないと思ってるし。
「よし、じゃあさっさと依頼を受けようじゃないか!」
想鐘は鼻をフンッ!と鳴らし、そう言う。
はいはい...と軽く返事を返しながら、スサの方へと歩み寄る。
「ふふ...、とりあえずこれどうぞ。」
スサは俺と想鐘に一つずつ封筒"のような"物を手渡す。
「ん?これは?」
にゃー...?
想鐘はそんな風に疑問の声を上げながらビリビリと上の方を破ってみる。
...、これ封筒じゃない。
「依頼主から送られてきたものです。」
そう言って、スサは机の引き出しから同じ様な封筒を取り出し、机の上に置く。
「見ててください。」
スサは椅子から立ち上がり、胸の前に手を組む。
「...?」
「"我、契約者の仲介せし者
真の姿を我と契約者に現せ
制約を解し、その姿を見せよ。"」
スサがそう言うと、俺と想鐘が持っている封筒。
そしてスサが机に置いた封筒が赤く炎上する。
「なっ!」
「わっ!?」
俺と想鐘はすぐに手から封筒らしき物だった物を床へ投げ捨てる。
「いきなりなんなんだよ...」
悪態をつきつつ、投げ捨てた物のほうを見ると、一枚の紙切れに変わっていた。
スサ、想鐘の物も同様に、紙切れに変わっていた。
「ふ...封印書物か...。」
俺は頭を振りながらそう言って落とした紙を拾う。
封印書物とは紙をある一定の物に変える魔術。
結構な高さの難易度で、失敗すると紙に書いてあった物がバラバラになっていたりする。
ちなみに封印書物以外にもこの手の封印魔術は多く
絵専門の封印だったり
武器専用の封印魔術があったりする。
その為、大半の魔術師は武器を封印して腰に下げていたりする事が多い。
そんな思考を終らせ、スサに質問をかける。
「で、これは?」
「読めばわかりますよ。」
スサは軽くそう言い、椅子に座りなおす。
俺は紙に目を通す。
「竜人....ね。」
「スサちゃん、竜人ってあの竜人?」
「ええ、竜の血を引く、竜人です。」
クラクラする...。
血の気が引くような気分だ。
竜人。
最強の人類とも呼べる種族。
種族の規模は小さく
人数が少ないのだが
能力は強大。
身体能力も強大だが
魔力は上位魔導師の数人分とも言われている。
魔道師とは魔術師の上位の事だ。
魔道師は特別に貰える称号で
この国には数千名しか居ない。
魔術師の人口はこの国だけで約2億人。
ほんの一握りがなれる集団だ。
それの数人分...。
気が遠くなる。
「依頼内容は...連れ戻せ、か。」
「でもなんで連れ戻せ?」
想鐘はそうスサに問いかける。
「家出少年だそうです。」
「へ?」
間の抜けた声が出てしまった...。
だって竜人は一族の絆が強く、そんな事は無いはずなのに...。
いや、過去に例は多少あるはず。
とりあえず探さなくちゃいけない...か。
「家出...ねぇ?月読、どうする?」
「まぁ...この程度なら受けても問題ないだろう。」
「じゃあ、これにサインお願いしますね♪」
スサは依頼書を机の引き出しから取り出し、ペンと一緒に置く。
「俺の名前が良い?事務所の名前が良い?」
「両名の名前でお願いします♪」
なぜかスサは上機嫌でニコニコと笑顔を溢している。
「...ん、出来たぞ。」
「じゃあ、最後にここに血判お願いします♪」
「え?いつもはしないだろ?」
俺は疑問を溢す。
いつもはサインだけなのに...?
そう疑問に思いつつも、俺と想鐘は一度顔を見合わせた後、コクリと頷き
親指を少し噛み切り、判を押す。
押した後、上を見上げると...スサがとても良い笑顔で俺たちを見ていた。
何か嫌な予感がしたので、依頼書に手を伸ばす...が
スサはすぐに依頼書を取り、机の中に入れる。
「はい♪よろしくお願いしますね♪」
うぇ....本気で嫌な予感がしてきた...。
そんな事を思いつつ、想鐘の方を見ると、俺と同じ様に、少し顔が青ざめていた。
《あとがき》
大分がんばった!
俺お疲れ!
でもまだ情景が...(´・ω・`)な感じですなぁ。
とりあえずがんばれ俺!
次は章は戦闘シーンが入る予定です。
編集完了。
9月22日 16時9分
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