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カテゴリ:碁
ワンサイド・ゲーム 本局を一言でいうなら、「ワンサイド・ゲーム」がもっともふさわしいだろう。序盤からまったくいいところがなく、最後まで形勢が好転することなく、一方的におしきられた。 だからよほど掲示をやめようかと思ったほどである。しかしそれではフェアでないし、並べ直しているうちに、いくつか見どころもみえてきたので、思い直した次第である。 天頂としては珍しい小目からのスタート。白2の「秀栄流」は、現代では不利とする説もあるがあえて打ってみた。白4の星と三々もわりと好きなコンビネーションだ。黒5に白6の固く一間も、好きな受け。黒7と、左下にカカった石をヒラかずに右辺を占めたので、白8のハサミは当然かと思ったが、黒9と鶴翼をゆるす結果となる。 白10—。両鶴翼を許してはたまらない。黒11は、これも当然のハサミ。白12以下16までの定石はあまり好きではないが、ここは辛抱の時。黒17では18に止めてくることを予想していたがここで左下に戻る。すかさず白18にトンで上辺~右上~右辺の巨大モヨウをけん制したが、黒19とがんばって受けられた。 ここで20のツメがどうだったか。黒に調子を与えた意味がある。黒21―。早くも模様作戦明確化。もっとも、最初からわかっているが…。白も24とモヨウで頑張る。切りには当然アテから捨てて先手をとり、モヨウを広げ、かつ下方黒三子への総攻撃をにらむ。したがって25は当然。白も26で対抗したつもりだったが、黒27と絶好の一手を与えた。囲う手はない。かと言って右上一帯の大モヨウを消しに向かうにも不自由だ。そこで一本オシて30と、荒し合いと囲いの両面作戦。 黒31―気が効かないようで手堅い。こういう手が天頂の持ち味。左辺でハサんだ一子が心細くなってきた…。 でもどうだろう…。まだ黒がオサマっていない間に先制攻撃をかけてみるのもあったのではないか。たとえば〈参考図1〉の白1。黒から反撃するのは勇気がいる。しかし天頂だから… 〈参考図1〉 〈参考図2〉の黒1と、強引に退路を断ってくるかも知れない。白2なら、黒3。以下11まで、あくまで強引にここを止める。しかしちょっと薄いか。だがともかく止められて、どさくさに紛れて左下の弱石をボカされた感もある。 〈参考図2〉 ならばいっそ〈参考図3〉白1とせり合うか…。黒6のハザマは怖いが、白7とツキダシてなんとかなりそう。右方に白のトビトビが控えているので、この場所で一戦交えてみたかった。 〈参考図3〉 実戦は白32と慎重に守った。だがこれは消極的な印象が否めず、黒35とこんなところを大威張りされては苦戦。だがここでも〈参考図1〉の白1と打ってみてはどうだろう。後で下辺を割られたことを思えば、中央をくつろがせないことをめざすべきだったのではないか。黒も形が難しい。 白36は疑問。今すぐにではないが、黒から10の左ノゾキから16の右にツケる筋があって、下辺はつながりにくい。 白38の前に、一本右上にカカって様子を見るべきだったか。突入した時のいくばくかの手がかりにはなる。白40はここまでは踏みこみたい。白44までとなって、黒45ハネにどう打つか―。 実戦白46はあまりに無策で、黒47と切られて一気に苦しくした。 46では、〈参考図4〉の1のツケぐらいだったか。黒2なら少々俗だが白3以下頭を出す。11まで、右上から右辺は確定地となるが、少なくとも実戦よりはましだった。 〈参考図4〉 また、この碁の「変化」としてとっておいた、46手目から天頂と打ち直した棋譜が残っていたので見てみると、なんと〈参考図5〉白1のツケコシを示していた(って、私が打ったのだが…)。続いて黒2に白3。「ヘタの両ヅケ」の典型のような手だが、この場合はおもしろかった。なるほど単に白3とツケた場合に比べて、黒から2の右のワリコミを防いでいる。右辺か右上方面どちらかを破ることができる。やはりここが分岐点だった。 〈参考図5〉 白48、50は窮余のサバキ。しかし一見して苦しい…。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2017.03.01 01:46:56
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