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カテゴリ:中学生のころ
一気に年齢が下がってしまいますが、中学生のころのお話。
寒い季節になると、いつも必ず思い出してしまう、悲しい話があります。 悲しい…というより空しい…というか、どうしてあの時あんなことをしてしまったのだろう…みたいな。 あれは忘れもしない中3の時、「校内マラソン大会」での出来事。 1学年6クラス、一斉に行われるマラソン大会。 男子女子共、体育系の部活動をしていた人には、何位以内にはいるように…というノルマが課せられておりました。 当時私は美術部に所属していて、毎日脳が溶けそうな油絵の具の溶剤の臭いの中で、油絵を描く生活。 マラソン大会などには、無縁でございます。 なので順位などどうでもいい……はずなのですが、ところがどっこい、わたくし意外に走るのだけは速いんですのよ。 えっ、逃げ足?……いえいえ、そりゃあもう逃げ足も速いですけど…。 そういう話ではなく、マラソン大会です。 中学生活最後のマラソン。その日はいつにも増して、快調に走っておりました。 へばってきている方々を、抜いて抜いて追い抜いて。 驚くほど順位を上げていい気になっていた、そのとき。 あの声が聞こえてしまったのです。 「だ、誰か。」 「ん?」 よくよく見ると、隣のクラスの方。 友人とまではいきませんが、まんざら知らない仲でもありません。 具合でも悪いのかと思って、近づいてみると…。 「誰か、誰か、私と一緒に走って。」 「はい?」 「く、苦しい。一緒に走って。」 誰に言うでもなく、もちろん私に言うでもなく、来る人来る人に声を掛けている様子。 ところが体育系の部活動をされてた皆さんは、ノルマが掛けられているので、それどころではありません。 うーん、私はノルマがある訳でもないし…。 そう思ってしまった私は、スピードを落として、彼女のそばに。 声を掛けて大丈夫そうなら、またスピードを上げるつもりでもいました。 ところが…。 グイッ。 彼女に腕を掴まれてしまったのです。 「えっ。」 「一緒に走って、お願い。」 「え?…え、ええ。」 結局、彼女と並走することになってしまいました。 しばらく走って、あと50メートル程でゴールというとき。 そう、あの悲劇が…。 突然スピードを上げた彼女。 驚く私を残して、ひとりゴールへ。 「…?」 私はその後、耳を疑うような言葉を聞いてしまいました。 「よかったあ。20位に入れた。ギリギリだったあ。」 え?私には?私には何の言葉も…もしかしたら、ないのでしょうか。 がっかりしている私に、更に追い討ちをかける言葉が…。 「朦朧としてて誰か分からなかったけど、一緒に走ってもらえてよかったあ。」 しばらく立ち直れなかった、中学生の私なのでした。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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