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カテゴリ:高校生のころ
卒業のシーズンになってきました。
私が通っていた高校では、国立大学の二次試験が終わると、「卒業生を送る会」というものが、在校生を中心に行われます。 あれは確か、私が高校2年のとき。 ささやかな「卒業生を送る会」であるにもかかわらず、何を思ったのか、1年生の方々がシェークスピアの劇を演じたのです。 しかも演題は「ロミオとジュリエット」。 あらかじめ言っておきますが、演劇部の演じる劇ではありませんよ。 1年生の有志で…というか、まったくの素人が集まって演じるシェークスピアです。 しかも、面白おかしくアレンジしてあるわけではなく。 最初から最後まで、真面目でシリアスなシェークスピアなのです。 真面目なシェークスピア…それ自体がウケ狙い…だったのではないかと、考えられないこともありませんが。 彼らは一体、何を目的にしていたのか、未だによくわかりません。 「…?」 「…?」 とにかく劇が始まってからも、客席の反応は不思議一色でした。 しかも驚いたことに、舞台装置も衣装も、演劇部顔負けの準備のよさで、あのときの演劇部の方々の、あっけに取られた顔といったら…。 しばらくして、その悲劇は起こりました。 ロミオが、誤って殺された親友の敵を討つ場面。 剣と剣を合わせてチャンチャンバラバラとやっていると…なんとあろうことか、ロミオの持っていた剣が、客席にヒューンと飛んでいってしまったのです。 ロミオが敵を討たないと、話はすすまない。 丸腰になってしまったロミオ。 しばらくの沈黙の後…気を利かせた3年生が、飛んでいったロミオの剣を持って舞台へ。 と同時に、ロミオの敵役の方が、自分の持っていた剣をロミオに差し出して…。 左右から剣を差し出されたロミオ、どちらを取るかしばらく迷っておりましたが、結局敵役から剣を奪って、敵役の胸を突き刺すという、なんとも複雑なことになってしまったのですよ。…フーッ。 それからはもう、シリアス状態を維持できるはずがありません。 何かにつけて 「頑張って。」 「大丈夫?」 と、応援の声がかかります。 そして最後のクライマックス。 ジュリエットが自分の胸を刺すシーン。 肝心のロミオの剣が見つからず…すかさず先程の3年生、ロミオが飛ばした剣を差し出されました。 先輩、それはいけません。 ジュリエットに自害を勧めては…。 とにかく、真面目で終わるはずだったシェークスピアは、最後まで爆笑の渦に包まれることに。 意外に1年生の狙い通り…だったのかもしれませんね。 うーん、あなどれない。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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