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カテゴリ:小学生のころ
まだ小学生だったある日のこと。
家族プラス親戚数名で、ドライブがてら、丘陵の上にある展望台へと行きました。 よく覚えていませんが、紅葉の頃だったかもしれません。 展望台から見える遠くの景色を楽しんで、さあ帰ろうと思ったその時。 「あ…。」 「あ…???」 振り返ると、ひとりのおじさんが…。 手には一台のテレビカメラ。 よくよく見ると、カメラには「NH○」という文字が。 「なんでしょう。」 「あの…もう一度今の感じで景色を見てもらえませんか。」 「は?」 よくよく聞くと、そのおじさん、ニュースに使えそうな映像を撮っているらしく。 丁度私たちが、わいわいやっているところを、ビデオに収めようとした時に、帰り支度をされてしまったと…。 「しょうがないわねえ。」 「えっ。」 なに言ってんの、この人。 もう恥ずかしいから、帰りましょうよ。 そんな私の気持ちが、届くわけもなく…。 母の号令で、皆しぶしぶ元の位置に。 「こう、さっきのように、指差してもらえますか。」 「は?…それって、偽造…。」 バコって、母に頭を叩かれて、仕方なく遠くを指差す私。 これって、かなり恥ずかしいことのように思えるんですけど…。 なんかみんな、固まってるし。 不自然だって、不自然。 「はい、ありがとうございました。」 頭を下げて帰ろうとするおじさんを、慌てて捕まえた母。 「あの、何時のニュースに出るんでしょう。」 ぎゃー、止めて。 何ちゅうこと聞くの、あなたは。 「多分、夕方になると思います。」 当然夕方は、全員テレビの前に座ることに。 ニュースが始まって…しばらく経ったころ。 「あ、映ってるし。」 うーん。 さすが、プロです。 映像が美しい。 それなのに…。 それなのに私たちときたら、まるで写真撮影のように、微動だにしませんこと。 きっと他に、いい映像が見付からなかったのね。 満足げにニュースを見ている母を横目に、そう思ってしまった私なのでした。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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