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カテゴリ:高校生のころ
高校2年生のある日。
学校帰りの駅で、いきなり後方から声をかけられました。 「ひろ子ちゃん、ひろ子ちゃん。」 「…?」 「ねえねえ、ひろ子ちゃんってば。」 「…??」 声をかけているのは、高3のお姉さま方。 「は?…もしかしたら、私ですか?」 「そうそう。ひろ子ちゃん。」 「あのう…私『ひろ子』じゃないんですけど…。」 怪訝そうな私に、そんなの当たり前じゃない…みたいな感じの方々。 「知ってるけど…でも本当の名前を知らないから『ひろ子』ちゃんよ。」 「はい?」 お姉さま方、言ってる事がよく分かりません。 まるでずっと友達だったかのように話しかけられて、そのまま電車の中まで付き合うことに。 私ってば、なにやってんの。 それよりこの方々…誰? 話しているうちに、どうも私が『ひろ子』という名のある芸能人に似ているので、高3の女子の間では、そう呼ばれているということが分かってきました。 「じゃあね、ひろ子ちゃん。」 「はあ…。さようなら。」 不思議な気持ちを抱いたまま、何日か経って…。 定期試験期間のある日。 田舎では日中になると、電車の本数がグーンと減ってしまいます。 試験の時は学校が早く終わるので、1本逃すと1時間待ってなきゃいけなくなることもしばしば。 なので、帰り道は必死。 「間に合わないー。」 重いカバンを抱えて走る私。 そこへ、後ろから1台の自転車が通り過ぎて…ピタッと目の前で止まりました。 「あ、ひろ子ちゃん。」 「は?」 「間に合わないんでしょ。後ろに乗っていいよ。」 「はあ…ありがとうございます。」 乗せてくれたのは、見知らぬ高3のお姉さま。 例の名前のお陰で、なんとか電車には間に合いましたが…でもあの…何度も言いますが、私は『ひろ子』ではありませんのよ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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