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カテゴリ:高校生のころ
高校生の頃。
私の通っていた高校は雪国にあったので、冬になると体育館の屋根の雪下ろしという重労働が、男子生徒に課せられていました。 体育の時間、あの薄ーいペラペラの体操服一枚で、体育館の屋根に上って雪下ろしをするのです。 それはいかに高3といえども、容赦なく。 「マジかよー。」 「信じらんねーよ。」 「受験生だぞ。」 「風邪引いたらどうすんだよ。」 口々にそう叫ぶ男子生徒の願いなど、届くはずもありません。 「まあ、お可哀想。」 私たち女子は、ただただそう言って差し上げるしかなく…。 くすくす。 ある日のこと。 それは体育の時間ではなかったのですが。 何かの時間が、急遽自習になって。 頃は冬。 当然グラウンドには、膝丈ぐらいまで、雪が積もっております。 気が付くと、教室にいたはずの男子生徒が、ひとりふたりといなくなっていく。 「???」 不思議に思っていた私。 誰かが、窓の外を見て言いました。 「ばっかじゃないの。」 「は?…」 なに、なに、なにが起こったの。 慌てて窓の外を覗いてみると…。 なんとそこには、あの薄ーいペラペラの体操服を着た集団が。 よーく見ると、手に手にグローブやらバットやらを持っています。 「なにやってんの。」 「見たとおりよ。」 「えっ。まさか、ソフトボール?」 「正解!」 ええっ。 ソフトボールってあなた。 膝まで雪に埋もれてるんですけど。 そのうち彼らは、雪の中で本当に始めちゃったんです、ソフトボール。 何なんでしょうかねえ。 雪下ろしには、あれほど抵抗していた彼らがねえ。 それにしてもまあ、雪の中を駆け回る犬たちのように、なんとも楽しそうなこと…。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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