2008/12/10(水)14:45
皇后陛下御話 - 本を読むということ
自宅の仕事部屋の大掃除をしていたら、
書類の束の間から「皇后陛下御話」という
小冊子を見つけた。
出雲大社へ出かけた折に買い求めた物で
国際児童図書評議会ニューデリー大会の
基調講演者として招きを受けた美智子様が
参加することができずNHK教育テレビで話され
その原稿をいただいたものと後書きにあった。
タイトルは、
子供の本を通しての平和
-子共時代の読書の思い出-
筆者名は美智子と書かれている。
行間から愛やご自身の意志がひしひしと伝わってくる
素晴らしい文章である。
ご自身が子供時代に読まれた本について書かれた後
本を読むことについてこのように書かれ、
結ばれている。
本の中で人生の悲しみを知ることは、
人生に幾ばくかの厚みを加え、
他者への思いを深めますが、
本の中で、過去現在の作家の創作の喜びに触れることは、
読む者に生きる喜びを与え、
失意の時に生きようとする希望を取り戻させ、
再び飛翔する翼をととのえさせます。
悲しみの多いこの世を子供が生き続けるためには
悲しみに耐える心が養われると共に、
喜びを敏感に感じるとる心、
又、喜びに向かって延びようとする心が養われることが
大切だと思います。
そして最後にもう一つ、
本への感謝をこめてつけ加えます。
読書は、人生の全てが、決して単純でないことを教えてくれました。
私たちは、複雑さに耐えて生きていかなければならないということ。
人と人との関係においても。
国と国との関係においても
人の心に響く、魂のこもった言葉である。
英語でも日本語でも名作を何冊読もうと
何語の本を何冊読んだからと言って
本を読む喜びや楽しさが得られるわけではない。
大切なのは感性の芽を持って読むことではないだろうか。
全文は、こちらでもお読みいただけます。
皇后陛下第26回IBBYニューデリー大会基調講演