2010/05/28(金)11:20
「ゆとり」から「詰め込み」? - 漢字の書き取りと音読ばかりの宿題
1年生から3年生までの生徒たちに
自立学習の達成をサポートする目的で開始したプログラムで
国語と算数の習得を見るようになって驚いたのが
2、3年生の参加者の読解力…読み取る力の低さである。
今の子ども達の伝える力の弱さが問題視されているが
他者からのメッセージを受け止める力も育っていないと感じる。
読み取った情報をイメージする力が弱いことは
国語の読解問題ができないだけではなく
かけ算、割り算、足し算、引き算と複数の式を作って
解かなければならない文章題の式が
立てられないことからもわかる。
決して問題文が読めないわけではない。
漢字の書き取り、計算問題はよくでき
学校の勉強に困っている子どもたちではない。
生徒たちは、教室にやってくると
その日の学習予定表を記入した後
学校の宿題からやり始めるのだが、
ほとんどが、計算問題のドリルや
漢字のドリルで学習した漢字をノートに数回書き写す
そして教科書やプリントを数回音読する、である。
もちろん地域的な理由もあるだろうが、
この漢字の書き取り、音読ばかりの宿題に
クビを傾げている親御さんも少なくない。
音読学習は宋の朱熹(しゅき)の
「訓学斎規(くんがくさいき)」に書かれている
「読書三到」
目でよく見ること(眼到)
声を出して読むこと(口到)
心を集中して読むこと(心到)
という読書に大切な三つの心得にあるように
古くから効果的な学習法とされている。
(脳トレで有名になった川島隆太氏が
前頭前野が活性化するという効果があると
発表したことによりブームになった)
しかし、果たして「何回」という回数を指示されて行う音読が
「読書三到」の三つの心得に沿って行われているのか疑問だし
効果についてもクビを傾げざるを得ない。
漢字についてもいくつ覚えたという数が先行し
ひらがなばかりで文を書いたり
「おたんじょう日会」が「おたんじょう日貝」だったりと
意味を理解して使うことができるレベルには達していないと感じる。
別のプログラムでフィンランドメソッドを取り入れているだけに
フィンランドの国語教育の方向性や同年代の取り組みと比べてしまい
これでいいのか?と不安になってしまう。