012442 ランダム
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風のおくりもの5

男「もはや君には何の関係もない。おとなしく寝て、明日になったらそれまでのことを忘れるんだ」
バタン
・・・・・。

な・・・・。
なん、だと・・・。
謝礼するから忘れろ?
なんでもかんでも、金で解決化。
僕は忘れてないぞ。
2年前、僕の家族を―そしてたくさんの人の命を奪った宇宙旅客機事故。
かれらは莫大な慰謝料をはらって、社会的責任を果たしたと言われている。
だけど、一言でも謝罪の言葉があったか?
心からの謝罪の言葉があったか?
いまだに、事故の原因さえわかってないじゃないか・
それで・・・ほんとうに終わったと言えるのか?
忘れろといえるのか!?
・・・・・・。
明日香だって同じだ始まりは出会いだった。
月の光を受け慰霊碑公園で輝く少女に胸をときめかせた。
毎日があわただしく、そしてゆかいだった。
二人で空を見上げて夢を語り合った。
―事故にあった少女を僕が保護した?
僕と彼女がすごした時間はそんな風に一言で気りすてられるものじゃない!!!
決して忘れるようなものじゃない!!
・・・・・。
だけど。
だからと言って僕に何ができるのか。
確かにあの男の言うことは正しい。
彼らと僕らでは無関係だ。
僕と明日香は他人なのだ。
それは、他人である僕にはどうすることもできない現実。
・・・。
・・・・・・・。
・・・・・・・・・・・・。
気がつけば僕はこの場所に足を運んでいた。よく明日香がとまりに来た場所。
だけど今はもういない。
部屋は冷たくて、ひどく居心地が悪かった。
開かれたままの窓。
床に投げ捨てられたアルバム。
吹き込む雨風に、ページが次々とめくれて行く。
―アスバム?
そうだ、アルバムだ!
古い写真・・・・家族の写真に写っていた少女、あれはなんだ!?
赤い目をした―あれは誰なんだ?
なぜ明日香はアルバムを隠そうとした?
僕は2年前の事故で「家族と記憶」をなくした―そういう風に聞かされている。
家族とは両親のことだろうとそう思っていた。
・・・・でもそれだけではなかったのだ。
あの少女は、僕の家族だ。
―僕には、双子の姉妹わからないがいた。
・・・たぶんそれは間違いない。よくみるととても似ている・・・
ここのアルバムがあった部屋は彼女の部屋だったのだろう。古びたぬいぐるみ、ベット・・・
かつて、この家では家族4人がくらいていた。
だけど事故が起こり僕一人になった。
無関係なんかじゃない。
僕と明日香は他人じゃない。
会ってきかなきゃいけないことがある!
それは出会いの問い。
幸人「・・・ねぇ、きみはだれ?」
明日香「・・・明日香」
彼女の本当の姿を、僕はまだ知らない。
・・・・
そうだやつらよりも前にみつけないと一生あえなくなる!!
夕方から降り続いた雨は、しつこく降り続いている。
月も星も見えない夜は暗く、街頭の少ないところでは足元もおぼつかない。
こんな雨の中明日香は・・・
幸人「くそっ!」
闇雲に探したって、先にあの男に見つけられてしまうのが落オチだ。
いったいどこに・・・
・・・・・・。
・・・・・・・・。
・・・・・・・・・。
このかんじ・・・明日香とはじめてであったときもこんな雨の日・・・・

慰霊碑公園だ!!
・・・・・・。
・・・・・・・。




いた・・・・雨の中慰霊碑の前に立つ彼女が・・・
明日香「幸人・・・幸人に誤りたいことが会ったの・・・2年前のこと・・・」
2年前―それは赤い記憶。
宇宙旅客機で起きた事件。
800を超える人の命が一瞬でうばわれた悲惨な事故。
僕たち家族もその旅客機に乗っていた。
父も、母も、そして―。
明日香「幸・・・人・・・!」
それは悲痛な叫びだった
明日香「ここに落ちた旅客機事故をおこしたのは私なのッ!!
幸人の家族を・・・それだけじゃないッ!たくさんの人を殺したの!!
両手を何回も使っても数え切れたいくらいの人を!!」
明日香が・・・殺した?・・・
・・・僕の家族を・・・・?
明日香「試乗式の少し前のこと・・・私があの旅客機のプログラムを書いたの・・・
そして・・・その日飛行機は墜落したの・・・私が間違ったの!!」
明日香は目からあふれる涙をぬぐおうともせず、ずっと僕の目を見つめ続ける。
―その、赤い瞳で―
明日香「ごめんなさい・・・ごめんなさい!!ごめんさないごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい!!!」
・・・・。
明日香「言えなかったの・・・言ったら絶対に許してくれない!!!だから・・・」
明日香「私は幸人!!あなたとずっと一緒にいたかったの!!!」
言い出せなくなってしまった。
誤るためにきたのに・・・許してもらうためにきたのに・・・
許されないことがこわくなってしまった。
明日香はどれだけど罪を抱え込んできたのだろう。
2年間は長い
事故の傷をいやすのには十分すぎる時間だった。
だけど明日香は2年間罪の意識に蝕み続けられてきた。
誰かに謝れば、救われたのだろう。
幸人「もういいんだ・・・明日香はあやまったそれで・・・」
明日香「幸人は忘れているのよ。私があなたの一番大切な人を殺したことを!!」
明日香「思い出させてあげる・・・」
明日香の手が伸びる・・・
幸人「―ッ!!」
いた・・・・確かにいたんだ・・・
明日香「思い出した?」
幸人「あいつは今どこにいるんだ?」
明日香「いないわ・・・・」
幸人「そんなはずない!!!ずっと一緒にいるって約束したんだ!!!」
明日香「いないわよ・・・だって・・・・・・・・・・・ 私が殺したんだから」
明日香が・・・あいつを殺した?奪った?明日香が・・・
幸人「明日香・・・」
僕の手が、明日香ののど元に伸びていた。
それは憎悪。
全部こいつが・・・・全部こいつが!!!
僕たちは幸せだった・・・ゆがんだ家族の幸せだったけど!!
二人なら乗り越えられるはずだった!!なのにこいつが・・・・こいつさえいなければ・・・・
ぎりと、手に力が入る。爪が皮膚を破り鮮血が流れ出す・・・
こいつが原因なら・・・・他に理由はいらない・・・
死ね。・・・死ね!・・・死んでしまえ!
明日香「・・・・・さい・・・」
明日香の口が求めたのは空気ではなかった。
明日香「・・ごめん・・・・なさ・・・い」
そう最後まで求めていたのは許しだった・・・
きずいたときはもう遅かった。
息耐えた少女と少年がそこにいた・・・
いつの間にか星のきれいな夜になっていた・・・
あの日も僕は屍体の山の上で、その頂上で、疲れ果てて倒れこんでいた。
隣にはもう動かない少女がいた。
僕は願った・・・どうかこの子を、生き返らせてくださいと・・目を覚ましたときにはその手はもうなかった・・
そして僕は慰霊碑に向かった・・・慰霊碑に書かれたはずの彼女の名前を見るために・・・
あった・・・ソコには
明日香・・・と・・・・
急いで彼女が倒れているはずのところまで走った・・・
しかし・・・そこにはもうだれもいなかった・・・
そこは月の光がずっと輝いていた・・・


数年がたち幸人は、あの事故のことがあったが宇宙開発の研究をしていた。
あるときプログラムのサンプルが届いた・・・
そう・・・それは明日香が書いたあの旅客機のプログラムであった。
幸人「これが・・・・」
それから何日がたったか・・・たった・・・たった一つの数字の間違いであの日旅客機は落ちたのだった。
その日は旅客機が墜落した日。幸人は慰霊碑の前、そう明日香が最後まで許しをこいた場所にきていた。
花を手向け終って、幸人は一息ついた。
幸人「ふぅ~」
そのまま幸人はあの場所へと歩いて行った。
気がつけばあのときと同じような星空。
そこにはいるはずのない人影がたっていた・・・・
幸人「―ッ!?」
少女「こんばんわ」
そうそれは赤い目をした・・・・


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