2007/11/10(土)00:33
お札にまでなった偉大な作家
夏目漱石の「こころ」を読みました。
「こころ」は太宰治の「人間失格」と並んで、
日本文学の二大ベストセラーなんだとか・・。「私」が「先生」と慕う一人の男性は、
厭世的で社会から隔離されたように、妻と二人っきりでひっそりと
暮らしている。
「私」が何故そのような暮らしをしているのかとたずねても明確な答えは得られない。
ひと月に一度、「先生」がお墓参りに出かけているようだが、
だれのお墓なのか、何故お墓参りを続けているのかも分からない。
やがて「先生」から長い長い手紙が来て、
「先生」の人生が全て解き明かされる。この物語は今から約100年前の大正3年(1914年)、
漱石47歳、亡くなる2年前に書かれた作品です。
時代背景こそ違え、時空を超えて平成の今でも
物語の展開にワクワクさせられます。
多くの人に長く読み継がれてきた名作だけのことはありますね。また巻末の『夏目漱石伝』『夏目漱石年譜』では「人間・夏目漱石」の
人間像が浮き彫りにされ、父親に愛されず里子に出された幼年時代。
また健康面では、神経衰弱や胃潰瘍など病魔と闘い続けた人生で、
決して幸せとばかりはいえない生涯だったようです。そんな中、余りある才能を発揮して、後世まで読み継がれる名作の数々を残した
漱石はやはり偉大ですね。
お札にまでなったのですから・・