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水上陽平の独善世界

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2004/10/24
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(いきなり、ショートショートです。
し、しかも、主人公はジョー・・・
これだけで、期待できねぇ、おとぎ話・・・)


「ここは故郷に似ている」
ジョーは低い夏草の土手に座ると、
小川を見つめて呟いた。
「しばらく帰ってないなぁ」

ジョーの後方から声が聞こえる。
振り返ると髪の長い女性型生命体だ。
そう、ここは同じ銀河系でも地球からは遠い。
「サ、サッちゃん!」
ジョーを見つめるこの星の生命体は、
ジョーの初恋の人にそっくりだった。

「恋」は不思議な作用がある。
どんなに異生物間でも、作用する力がある。
そして、恋の結界内に入るのに時間はいらない。
響きあう波動に言葉もいらない。

ただ「いる」だけで、二つ(二人)は融け合う。
ただ「いるだけ」で、二つ(二人)は幸せになる。
初めてのキスの時、彼女は戸惑ったようだった。
「これは僕の星では、愛の行為なんだ」
言葉が理解できたのか、彼女は嬉しそうだった。
何度も何度もキスを繰り返した。
そして二つが一つになるのも、自然の形だった。

しかし、彼女(?)は夕方になると慌てて帰る。
どんな事情があるのか、ジョーには解らない。
短い夜が明け、小ぶりの二つの太陽が昇る昼間になると、
いきなりジョーの後方に姿を現す日々が続いた。
お互い交わす言葉は通じ合わないが、
お互いの行為は何も言わなくても通じ合った。

深くて高い悦びの後、彼女の目からピンクの涙が流れた。
ジョーは唇ですくいとった。
甘い味がした。
彼女は・・・行為を理解したようだった。
とても、とても喜んだ。

また夕方になり、彼女は急いで帰ってしまう。
今日のジョーは基地に帰りたくなかった。
いつまでも小川の側に座っていた。
もうすぐ、地球に帰らなければならない。
調査はもう終りに近づいていたのだ。
それは彼女との別れを意味していた。
地球は異生物受け入れ不適合星だったからだ。

(この後、物語は急展開を迎える。
恋する二人の運命は!
って・・・スピードもスリルも冒険も無ぇ・・・
これって・・・おとぎ話かぁ?・・・
やはり創作の才能も無ぇなぁ・・・
でも・・・明日に続くのだ・・・)





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Last updated  2004/10/24 09:17:12 PM
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