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テーマ:☆詩を書きましょう☆
カテゴリ:詩
幸せの在りか 南風一 幸せは何気ない日常の中にある 父も母も祖父も亡くなってしまったけれど 私がまだ幼かった頃 父のバイクに乗せて貰ってサーカスを見に行ったこと 帰りには疲れ果ててバイクの荷籠の中で眠っていたという 母に連れられて近くの神社のお祭りに行ったときのこと 母にたこ焼きを買ってもらって串の一方の側ばかりを食べていたから たこ焼きが土の上に落ちて 母が「土が付いたからもう食べられないよ」と言ったら 私が恨めしそうにたこ焼きを見ていたという そしたら近くでその一部始終を見ていたたこ焼き屋さんが もう一本たこ焼きをおまけにくれたので 私は喜んでたこ焼きを頬張って 今度は串からたこ焼きが落ちないように 手を下から添えて食べていたという (後年その話を私にしてくれた母はいつもその話をするときには にこにこして嬉しそうに話すのだった) 祖母が早くに亡くなり 子どもが巣立ってしまった祖父は犬と一人で住んでいたが 夏には大きな西瓜を南瓜袋に入れて 自転車で持ってきてくれた 母が作った天ぷらを食べたときは 手に付着した食用油を髪の油と混同して 「この油を頭に付けるといい」と言って自分の薄くなった頭を撫でまわしていたので 何も知らない私も真似をして髪の毛に天ぷら油をいっぱい付けて 母を困らせていたという そんな幼い頃の何でもない一コマに 幸せがあったなんて悟ったのは 随分後のことだった (詩集の宣伝) 「青春17切符+1」3月26日発売。 購入は、 こちらからどうぞ 詩が良かったと思う方は 人気blogランキング
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2023/12/07 09:33:24 PM
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