南風一の世界

2024/05/10(金)22:27

5月の夕方の空

詩(2706)

  5月の夕方の空   南風一 貰ったばかりの処方箋を持って たった今出てきた病院の駐車場を斜めに横切って つい4日前に歩いた同じ経路を蟻のように もう一度歩き始めた 向こうから歩いてきた私と同じようなスーツ姿の男と すれ違って 私も 向こうの男から見れば逆の立場で 同じようなスーツ姿の男に見えるのだろうと考えながら 64歳になった定年退職後の再雇用男が なぜ昼日中の3時過ぎに会社を早退して のこのこ病院の駐車場を歩いているのか? これは私の同級生にも 昔の職場の同僚にも想像がつかないことだろうし (そもそも私が定年退職後も会社勤めをしていることとか  私がこんな地方都市のこんなところにいるとかも知らないのに) 誰がGWの終わりに風邪をこじらせて 内科医院で喉の鎮痛剤や抗生剤、とんぷく薬を処方してもらって 何とか生きた心地を取り戻している極楽気分なんかに 気づくことがあろうか? 情けないことだけど この無関心さというか全く誰にも今の私の境遇が知られていないという気づきほど 私を愉快にするものはない 私がどこで生きようが 私がどこで病気をして苦しもうが 私がどこで野垂れ死のうが 誰も気づかないし誰も気にしない これほど愉快で楽しいことがこの世の中に あるだろうか?と ついそんな気分に浸ってしまった 5月の夕方の駐車場だった (詩集の宣伝) 「青春17切符+1」3月26日発売。 購入は、 こちらからどうぞ 詩が良かったと思う方は 人気blogランキング

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