【冬物語】
キャスト:レオンティーズ/唐沢寿明ハーマイオニー&パーディタ/田中裕子ポリクシニーズ/横田栄司フロリゼル/長谷川博己カミロー/原康義、アンティゴナス/塾一久、道化/大石継太ポーライナ/藤田弓子、羊飼い/六平直政、オートリカス/瑳川哲朗 完全ネタバレ 田中裕子さん、完全勝利ハーマイオニーとパーディタの二つ役+ラスト。守った名誉が時を越える。「から騒ぎ」は月川ヒアローが性別を越えた存在に見えたけど今回は田中裕子さんに、時間や生死を越えた尊厳を感じた。そうそう、「時」の場面もまさに走馬灯。 今年初めての観劇。本は読んでたけど、戯曲なので、舞台までの余白が・・・・楽しみでもあり、もどかしくもあり。「なんでレオン王は突然ご乱心?」「石像の場面はどうなる?」などなど。シチリア=赤組ボヘミア=青組 二人の王は、紙飛行機で遊んでいた頃からの仲。シチリアは全くセットがなく、ハーマイオニーが腰を下ろすときだけクッションが置かれたぐらい。台詞が全て。初めに言葉ありき。役者さんにはハードル高いし、刺激的でした。唐沢レオンティーズの妄想、錯乱、情けなさ。めちゃめちゃだけど、滑稽なところもあり、会場からは笑いも。あ、笑っていい場面なんだ…と、理解。田中ハーマイオニーは凜としているけど、状況証拠に反証するのは言葉しかない。言葉、言葉、言葉だけの世界。虚実入り交じり、本当のことがわからなくなる。正直者も嘘をつくし、嘘つきもたまには正直に…と行商人。羊飼いの身なりでも完璧な王子キャラ、長谷川フロリゼル。田中パーディタの嘘も、リビア王女と嘘をつくわけだし、カミローの嘘で、レオンティーズと王子の再会ができたわけで。嘘と真実、涙と笑いが混じって、結果は、「奇跡」舞台ならではの面白さ、爽快感3時間半以上だけど、内容みっちり、おもしろかったーー!さて、横田ポリクシニーズは、期待以上に素敵でした。一幕の若いポリクシニーズ。カミローから王の疑惑を聞いたときの驚愕と憤りの場面!!あーー、これが今日の一番好きなとこ。二幕。ちゃんと16年の経過があるのよね。息子が思い通りにならないことを自嘲するの。ここもよかったわ~。どんな台詞も自然にくっきり聞こえるし、声の響きも魅力的。フロリゼルを怒りとばすところは、一幕でレオン王がハーマイオニーを信じなかったのとパラレルになっているのかしら。これで、レオン王とポリク王は似たような経験をしてるから、和解もスムーズにできるのだわと思えました。上手く表現できないけど、ポリクシニーズ、骨太で厚みがあって最高でした。田中裕子さんも、囁くような声でも通りがよかったし、やっぱり大女優さんなんだわ。藤田ポーライナも、曲がったことが大嫌いって感じの、いいおばちゃん。 しかし、ボヘミアのフレスコ画は、藤原竜也くんにちょっと似てるような気がするんだけど・・・。