肢帯型筋ジストロフィーについて【進行性筋ジストロフィー症とは】筋ジストロフィー(正確には進行性筋ジストロフィー、略して筋ジス)は、 身体の筋肉が段々と弱くなる病気です。 様々な病型と発病の時期によって、進行が違います。 一般に知られているのは、最も重症で患者数も多く、 デュシェンヌ型筋ジストロフィー(Duchenne Muscular Dystrophy:DMD) です。 筋ジストロフィーは,あくまでも筋肉自体の病気であって、 運動神経の障害による筋萎縮症(神経原性筋萎縮症)とは区別されています。 【肢帯型筋ジストロフィー】 常染色体劣性遺伝がほとんどです。 父親と母親が同じ特性の遺伝子を持っていれば、初めて子供に現れて来ます。 優性遺伝(片親が発症している場合)の肢帯型筋ジストロフィーの例がありますが、 非常にまれなケースです。 発症年齢は、小児期から成人までと幅が広く,10~20歳代が多いです。 上下肢の近位筋(肩周辺、腰周辺)の障害から始まるので、肢帯型と呼ばれています。 【肢帯型の分類】 常染色体優性遺伝形式のものをLGMD1、常染色体劣性遺伝形式のものをLGMD2とし、 遺伝子座位が明らかになった順に、A、B、C、D、を付けて分類されています。 現在までに、明らかになっているのは、合わせて15の型です。 その中、優性遺伝をとるものには5つの型が知られています。 残りの10型は、常染色体劣性遺伝を示すものです。 進行の緩やかな肢帯型筋ジストロフィーがほとんどを占めていますが、 小児期(10歳以下)に発症すると、 デュシェンヌ型筋ジストロフィー と同様の経過を示す重症型(LGMD2C,D,E、F)もあります。 最初に気付かれる症状は歩行異常に関するものです。 走れない、転びやすい、階段昇降困難、つかれやすいなど。 立ち上がる時にかなりの努力が要ります。 立ち上がる時に膝に手をあてて立ちます。 病型によって、進行が遅いものがあれば、速いものもあります。 【常染色体劣性遺伝 LGMD 2】 LGMD 2A *家族によってばらつきが大きいです。85%の患者は、穏やかな病型です。 *発病は2と40歳の間、平均は14歳です。 *通常、発病してから、車椅子を使用するまで10年から30年がかかります。 *拘縮は、特に足首が早めの特徴で、それは爪先歩行がもたらしたものです。 *最も影響を受けている筋肉は、大臀筋(だいでんきん)と大内転筋(だいないてんきん)です。 *筋肉萎縮が一般的です。 *脊椎前彎症(lordosis)が見られます。 *翼状肩甲骨は一般的です。 *腓骨筋(ひこつきん)と前脛骨筋(ぜんけいこつきん)が弱く、かかとで歩くことが出来ません。 *呼吸障害が予想されるケースもあります。 *軽い精神の遅れがある患者もいます。 LGMD 2B *通常、穏やかな進行を示している病型です。 *腓腹筋(ひふくきん)が弱く、爪先で立って歩くことが出来ない例もあります。 *発病は早い時、10代で、遅い時に30代後半です。 *車椅子生活になるのは、発病してから30年後です。 *心筋障害がありません。 *ふくらはぎの筋肉の肥大が見られません。 LGMD 2C *ほとんどの患者は重い病状です。しかし、たまに比較的に軽いケースも報告されています。 *発病年齢は平均5,6歳です。 *10代後半になると、歩行困難で、車椅子を使うようになります。 *脊椎前彎症(lordosis)が見られます。 *病気の重さと進行の速さは、発病の時期と関係がありません。 *呼吸障害は30代に入ってからです。 *知覚神経の 聴覚障害が見られるケースもあります。 LGMD 2D *この病型はアダリンのレベルによって病状が異なります。アダリンが少なければなるほど病状が重くなります。 *発病は2と15歳の間です。 *発病が早い患者は、急速な進行によって、車椅子の使用も早いのです。 *心筋障害はめったに報告されていません。 *病状の重い患者は大腿四頭筋(だいたいしとうきん)が弱く、翼状肩甲骨も見られます。 LGMD 2E *重い病型の一つです。 *発病は通常2歳と10代半ばの間です。 *ほとんどの患者は16歳までに歩行が出来なくなります。 *舌とふくらはぎの筋肉の肥大が見られます。これは脂肪組織の浸潤であって,筋が肥大するわけでないので,仮性肥大と呼ばれています。 *翼状肩甲骨も見られます。 LGMD 2F *すべての患者の病状が重いです。 *発病は2と10歳の間です。 *車椅子を使うようになるのは16歳前です。 *通常、20歳前後に患者の死亡例が多いのです。 *ふくらはぎの筋肉の仮性肥大があって、つりやすいです。 LGMD 2G *ほとんどの患者は、穏やかな進行を示しています。 *発病は通常、10代前半の頃です。 *下垂足が見られます。 *患者は発病して20年後に車椅子生活になります。 LGMD 2H *進行が遅い病型です。 *発病は8と27歳の間です。無症状のために30代で診断される患者もいます。 *背痛と疲労は一般的な兆候です。 *心筋障害は報告されていません。 *進行が遅いため、50歳過ぎて歩行も可能です。 LGMD 2I *発病は2と27歳の間です。61%は5歳の時です。 *下半身の筋肉は先に弱ってきます。 *77%の患者にはふくらはぎと舌の仮性肥大が見られます。 *進行は発病の時期によって、違います。発病が速ければ早いほど進行も速いです。 *30%の患者には呼吸障害が見られます。 *30%から50%の患者の場合は軽い心筋症がエコーの検査で発見されます。 *脊椎側湾症も見られます。 *この文章は同じ肢体型筋ジストロフィーのアンナさんからお借りしました。 ありがとうございました<(_ _)> |