政治家の「敗戦の弁」に思う
昨日の続き、といいますが、雑談の続きになってしまいますが…。政治はよくわからないのですけど、政治家の発言というものが結構好きなのです。政治家の発言で最も好きなのは、戦後すぐの吉田茂政権下で吉田の政敵となり、鳩山一郎政権を樹立すべく奔走した政治家・三木武吉(みき ぶきち)の発言で、とある演説会で対立候補が「ある候補は妾(めかけ)が3人もいる、そんな候補に投票していいのか」と自分のことを暗に指して批判したのに対し、「先ほどの発言は事実と異なる。妾は4人いる。私は彼女らを捨てるほど冷酷ではない」と言って喝采を浴びたのがお気に入りです。今の時代では通用しないでしょうけど。今般の参院選挙で自民党の大敗を受けて、安倍総理がどんなことを言うのかと思っていたら、選挙当日でも各局のテレビ中継で出ていましたが、どれも冴えない、歯切れの悪い発言ばかりでした。敗戦の弁といえば、かつて金丸信が、とある地方選挙で、「(自民党の候補が)負けたら坊主頭になる」と言って臨んだら自民候補が負け、記者に「坊主になると言われてましたけど」と問われ、憤然と、「それくらいの気持ちでやるということだ」と言いのけて結局坊主にしなかったのも、苦しい言い訳ではあるけど、一つの言い方かと思います。敗戦の弁で最も好きなのは、自民党総裁選挙で大平正芳に敗れた福田赳夫の、「天の声にも変な声がある」です。単純ながら韻を踏んでいて、なかなか爽快な言葉だと思います。今回の安倍総理はテレビ報道でも涙目になって「反省すべきところは反省し…」などと、不祥事を起こした企業の謝罪会見のような様子だから、大敗したという印象がいっそう濃くなったように思うのです。もちろん、反省すべきところは反省してもらえれば何よりですが、対外的には、金丸信みたいに開き直るなり、福田赳夫みたいにとぼけるなりすれば、政治的な失点はまだ少なかったと思うのです。「昭和の妖怪」と言われた祖父・岸信介元総理のように、今後何か凄みのある政治的手腕を見せてくれるのか、それとも引き際だけは祖父(安保改定の際の混乱の責任を取って辞任)みたいにきれいに去るのか。政治はわかりませんが安倍総理の言動だけは見ていきたいと思います。